70年以上前のフランス映画「望郷」

「コイン・ド・シネマ(500円硬貨一枚で映画を見よう)」、今回はジャン・ギャバンの「望郷」、原題「ぺぺ・ル・モコ」です。ヨーガの帰り5人で昼食をとってメイプルホール2時からの上映を見ました。
製作年は5人とも生まれる前の1936年、ジャン・ギャバン32歳の白黒映画です。

パリ生まれの前科15犯、強奪33件、銀行強盗2件でパリ警視庁から追われるぺぺ・ル・モコがフランスの植民地、アルジェリアのカスバへ逃げ込んで2年。カスバの迷路のような街並みや、屋上のテラスで繋がっている独特の構造や、住人や仲間たちに守られて、アルジェ警察のスリマン刑事の執拗な追跡にもぺぺは容易に捕まらない。

ある日、ぺぺは、カスバの見物に訪れた美しいパリジェンヌのギャビーを一目見て、虜に。
街に出れば捕まる逃亡生活に嫌気がさしていたぺぺには、カスバの女のイネスの存在も疎ましく、パリを懐かしく思い出させるギャビーに惹かれ、彼女がパリに帰る日、ぺぺはカスバを捨てて船に乗る決心をし、危険を承知で波止場に向かう。
ぺぺを失いたくない、ましてギャビーのもとにはやりたくないイネスはスリマン刑事を訪ねる。船に乗り込んだぺぺはギャビーを探すも見つけ出せず、刑事に手錠をかけられる。船から降ろされたぺぺが最後に船を見送らせてほしいと頼み、波止場の格子越しに見送るぺぺの目の先、船尾にギャビーの姿が。
ぺぺの「ギャビー!」という叫び声は、けたたましい汽笛にかき消され、気づかぬギャビーは姿を消す。ぺぺは隠し持ったナイフで命尽きる。

チラシには「男のメロドラマ」とか「男の美学」と書かれていますが、女の立場で見るとイネスの女心が切ないです。ぺぺが向かう先を刑事に告げる「捕まえてほしい」という気持ちと、「逃がしてやって」と口では頼む、この矛盾! 
「嫉妬よ、嫉妬!」と誰かが。 女心ですね〜。 それにしても映画の日本名はうまくつけたものです。
「望郷」という一言で映画の内容を言い当てて見事! 
ぺぺが本当にギャビーを好きだったのかさえ解らない、ギャビーを通して、ただ、ただ、望郷の念やみ難し、だったのだと。

監督はジュリアン・デュヴィヴィエ 公開は1939年。