NHKスペシャル「プーチンのロシア」を見て

先週の日、月、2夜連続の放送でした。プーチンの目指すロシアの国家目標というのが「強い国家」というのですが、これがよくわかりません。単に軍事大国になりたいとは思えないし、経済的に足腰の強い国になりたいのか、どうなんでしょう。

第一夜「揺れる大国 プーチンのロシア プーチンのリスト〜強まる国家資本主義〜」
ソ連崩壊後、資本主義を導入、あっという間に資本主義国になって沢山の経営者が富裕層となり財閥が生まれ、政治より経済という時期がありました。変わり身の早さに驚いたものですが、今回は、それが昨年来の金融危機から国家資本主義の動きが強まり、国家が必要とする企業のみ国が支援して残す「プーチンのリスト」が作られ、そのリストに企業が残るために必死に活動する経営者が紹介されていました。

この経営者はつい最近まで自力更生を掲げて国を頼らずにこの苦境を乗り切ろうとしていました。国の支援を受けるということは経営の理念や収益に関しても国の言いなりになるということです。リストに載らなければ支援を得られず経営はなりたたない、載れば資金援助は受けられるが企業は国家のいいなりになる。「リストに載るも地獄、漏れるも地獄」とか。「国家資本主義」を強力に推し進めているプーチンは、これから第二次リストの作成にとりかかることになる。


第二夜「揺れる大国 プーチンのロシア 失われし人々の祈り〜膨張するロシア正教〜」 
市場主義導入、財閥の出現、金融危機、当然のように拡大する格差、貧困の問題の解決にプーチンロシア正教に多大の期待を寄せているという。宗教団体のある施設の電話に沢山の電話がかかってくる。貧困、病気、独り暮らしの生活不安、等々、聞いていると日本なら、市役所の地域福祉課か、民生委員か、社会福祉協議会がやっている心配ごと相談でうける電話と同じ内容。それをロシア正教がカバーしている。これって、百年以上も前にマルクスだかが「宗教はアヘン」と言ったことではなかった?
それこそ、システムとしての制度や仕組みで解決するのではなく、精神の問題として片付けようとしているのではないの?と一寸疑問が。福祉政策で解決すべき問題も宗教に任せているような? 国家資本主義でコントロールして国家が収奪する利益が国民のために還元され、高福祉の国になるのなら、野放しの資本主義より良いかも?と思いながら見ていたのですが、どうもプーチンの「強い国」はそっちの方向ではなくて、レーニン以前のロマノフ朝を通り越してイワン雷帝の頃に逆戻り、だとしたら時代錯誤! まさか? 
このシリーズまだ終わりではないようなので次回も楽しみです。