ヤッタね!!  WBC2冠達成!

昨日の決勝戦、日韓五度目の対戦は文字通り「雌雄を決する世紀の一戦」となりました。準決勝では日本はアメリカと、韓国はベネズエラと対戦。奇しくもアジア型野球とアメリカ大陸型ベースボールの戦いということになり、アジア勢が勝ち残りました。

準決勝のアメリカ戦でベースボール発祥の地アメリカのラソーダ監督が5回で「もうダメ」と憮然とした表情でスタジアムから姿を消したと報じられていました。柔道で日本が経験していることを野球でアメリカが経験し始めたとも取れます。

勝戦は初回から気の抜けないシーンの連続で最後までハラハラドキドキ、身体に堪える展開でしたが、最後の最後、イチローのセンター前一発で解放されました。すごい試合でした! 抜きつ抜かれつ、最後まで粘りに粘った韓国もお見事でした。本当はもっと楽に追加点のチャンスをものにしていてくれれば、と思いますが、そこは韓国、そう簡単には負けてくれません。それでも、終始押し気味にプレイして、最後には韓国チームを総力戦にまで押し込んだことが、良かった!! ピンチヒッターに持ち駒全部出し切って、土壇場で交代したキャッチャーに延長戦10回の裏、イチローに対する監督の敬遠の指示がうまく伝わらなかったとか、いや、キャッチャーとピッチャーの間が、と韓国側監督の敗戦の弁ですが、たとえ指示ミスがなかったとしても、韓国はすでに力尽きていた、いずれ日本の勝利は明白というほど日本の攻めが圧倒していましたし、余力もありました。

イチローの不調はご本人には気の毒でしたが、かえってそれをカバーしようと青木、川崎、中島、内川、片岡らのコンスタントに元気な活躍を引き出したようでしたし、その存在自体が求心力を持ってチームのまとまりが出来て来るという役割が貴重です。つなぎの野球、小技を効かせ、機動力を生かした野球というのが小柄な体格で、細かい技術の習得に熱心で、総合的な身体能力には長けている日本人が編み出した野球です。それに目的達成のためにチーム一丸となれるというのも日本人の特質です。チームの利益に個人は従属する。4番打者にバントを命じて喜んで従う、というのは日本人には当たり前ですが、「なんで??!!」「そんな無茶な」「考えられない」というのが普通というのも面白い! 因みにベースボールを「野球」という日本語に翻訳したのは正岡子規なので、もはや日本の野球も100年以上の歴史です。

今回、原監督の采配ぶりもよかったですね〜。まず、監督名でチームを呼ばなくしたことが一番です。チームは監督のものではないので、と原さんが言ったとか聞きました。「侍ジャパン」のネーミングも良かったです! 「サムライ」は世界に通じる日本語ですし、これから先、代表監督が代わってもニックネームとして使われ続けられますし。原監督がチームのメンバーを自分の駒のように使いまわすのではなくて、どの選手も所属チームを代表する立派なプロ選手という扱い方が感じられて、見ているだけでも気持ちがよかったので、実際プレイする人たちも却って「この人のためには」「この人のもとでなら」という気持ちになったのではないでしょうか。途中であれこれ語らず前向きな発言のみというのも本当にリーダーとして立派だったと思います。結果よければ全てよし。悪ければ責任は監督に、というのが本当の責任者です。

イチローの最後のセンター前ヒットも印象深いシーンですが、私にとっての印象的なプレイは内川左翼手の5回の守備。岩隈がそれまでの好投にもかかわらず一発ホームランを浴びて、続くレフトへの大きな強い打球、抜ければ同点、逆転、チームはガタガタになりかねない、という時、内川はグローブをかぶせて押さえつけるようにしてショートバウンドでとめて、今度は体を大きく旋回させてセカンドへボールを投げる、この間、何が起こっているのか、内川が何をしようとしているのか、一瞬ついていけてない時間、2塁打当然と滑り込んでくる韓国選手にタッチアウト!!  素晴しいスーパーファインプレイ!!

思い起こせばあのシーン、このシーンと沢山、素晴らしいプレイがありました。その一つ一つの積み重ねがじわじわと相手の焦りを引き出し、相手に重圧を与えて、心理的にも圧倒していく野球というゲームの面白さ。ラテンアメリカアメリカ型の楽しい野球、パワーではじき飛ばす野球もいいけど、こういう緻密でそつのないチームワークを生かした野球もいい。勝つために必要ならアジア型の野球もまた世界的になる可能性は多いにあると思います。MVPをもらった松坂が前半戦あたりのインタビューで「アメリカに来て日本を意識するようになりました。日本のよさがわかるようになりました。日本のために戦えるのがうれしい。」と言っているのを見ました。うれしいですね〜

ところで、この日、大坂ではWBCならずのWTC問題が府議会で決着。府知事、市長合意の府庁をワールド・トレード・センター・ビルへ移転させるという案は否決されました。橋下知事も初めての挫折。もう一人、イチローならずの小沢一郎氏も涙の記者会見。政権交代を目標に民主党党首続投と発表。あとは、国民がどう判断するか。2009年はいい年にしたいですね。WBC優勝、連覇達成はそのステップになる快挙でした!!