リュベロン地方(プロヴァンスの田舎)を観光しながら車でエクスからアヴィニオンへ移動 <5日目>

9日(火曜日)、今日は10時ホテル前でピックアップということで最後のエクスの朝をゆっくり。

まず、昨日のおいしいパン屋へ。樹齢500年を超えるプラタナス並木のミラボー通りは夕方には沢山の土産物屋が出て賑わう。ここのカフェで朝食。
昨日、日本人女性が教えてくれた朝市をさがすが見当たらず。バスを待っている少年に「マルシェは?」と尋ねると丁寧に教えてくれるが、どうもオカシイ。
とうとう携帯のナビを使いだしたので、3人も寄ってきた。「マルセーユ」行きの駅を教えてくれているのが途中でわかったが、誰も言いだせないで丁寧にお礼を言って別れた。「マルシェ」の「ル」のフランス風発音が全く出来ていなかった所為だろう。

時間があるのでホテルの反対側に足を運ぶ。塀越しに夾竹桃がこぼれるように咲いている。映画館の近くで子供たちが列を作って歩いている。
これから映画鑑賞か。映画館の近くの看板に英語で「DEPARTURES」とあり、「おくりびと」がかかっているようだ。


10時過ぎホテル前に現れたのはトヨタの乗用車を運転する日本人女性。トランクに荷物を積み込んでいざ出発。
アヴィニヨンから1時間で迎えに来たという。これから村々を訪ねて観光がてらアヴィニヨンに移動するわけですが、出発してすぐ渋滞に巻き込まれる。
何回かパトカーや救急車が行き来するので、大きな事故があったらしい。とうとう外に出る。ガイドの彼女も様子を前の車の人に聞いたり、会社に連絡をとったりしている。後続の車はどうも止められてUターンしている様子。取り残されているのは我々だけ? それにしても何の連絡もない。交通整理をしている警官に彼女が様子を聞くと「わからない。たぶん待っていても時間はかかるだろう」とハッキリしたことは言わない。判断するのは君たちだというフランス式らしい。引き返して別の道を取るという彼女の決断で車列を離れた。1時間のロスタイム。これがその後に影響したことは間違いないのですが、久しぶりにガイドさんに何分で観光して、写真スポットはここ、何時何分に戻るようにという忙しない観光モードに。つくづく今までの気ままな旅の良さを思い知ることに。

リュベロン地方はピーター・メールの「南仏プロヴァンスの12か月」がベストセラーになり、世界中にプロヴァンスブームを巻き起こしたんだそう。
まずルールマランへ。古城の方は寄っている暇はありませんよということで写真のみ。反対側の町の方へ。
作家のアルベール・カミュが晩年をこの村で過ごし、村はずれの墓地に埋葬されているそうだ。お城は15,6世紀のものらしい。

急いで次の村、リュベロンの奥地のルシヨンへ。ここは山肌全体が赤っぽくその上に木が生えている。顔料の原料となるオークルの丘に築かれた村。
ローマ時代から採取されたという土は、全盛期の19〜20世紀初頭にはヨーロッパ中に輸出されていたとか。


次はゴルド。ここでコーヒーとパンで何とか昼食を。
この辺で遅れを取り戻したガイドさん、お見事!

次はゴルドから北西2キロの深い谷合いにあるセナンク修道院
1148年創建で17世紀末から修道士がいなくなった時期があり、1989年から再開。現在も中世さながらの禁欲的な修道生活が続いているとか。
フランス革命でも被害を免れ、ロマネスク様式の創建当時の姿がそのまま。ラベンダー越しの建物がポスターになって有名になったが、今はラベンダーの代わりに麦畑になっている。スッキリと無駄な装飾をそいだ素朴な建物が見え始めると一斉に歓声があがった。
車は傍まで行けないので皆しばらく歩いてたどりつくのが又よかった。

最後にリル・シュル・ラ・ソルグ(人口2万1000人)の町へ。「ソルグ川の島」という名前通り豊かな水量の川に囲まれた街。駐車場に車を止めて歩いて街へ。古い水車がかかっている。200以上のアンティークショップがあり、パリに次いでの集中とか。中心には今までとは違ったバロック調の教会が。中に入ると金箔づくしで仏壇の中へ入ったような感じ。17世紀に再建されたものだそうだ。
 
予定を全部こなして時間通りにアヴィニヨンに着けそう。車中運転しながらガイドの彼女と色々話を。アヴィニヨンの郊外にフランス人と結婚して住んでいて、娘さんが一人。フランスは両親の国籍に関係なくフランスで生まれればフランス人だとか。大学生の娘さんは20歳になったらどちらかを選ぶそうで、今は2重国籍。埼玉出身とかで標準語の美しい日本語で丁寧な説明をしてもらった。後藤久美子の邸宅前を通ったときもジャン・アレジがここ出身で家は他にもあるそうだがという説明。生け垣と門扉は見えたが広大なお屋敷らしく建物は見えず。

行く手に城壁が見えた。アヴィニヨンは城壁の中の町。城壁沿いにしばらく走って城門から大通りに入り、今日のホテルの近くで降りる。
旧市街区域にあるホテルには車をつけられないといわれ、荷物を転がしてホテルへ。5時半着。ここは3階建ての古い建物。全部で10室。私たちは2階、F夫妻は3階。急なラセン階段を荷物を担いであげる。中は落ち着いたオレンジ色で天井は木組み。

夕食は7時から外の大通りでイタリアンを。前日で懲りて一人一品づつ注文してシェアすると告げると「それはいい」とお皿を4枚持ってきてくれた。4品を頼んでみんなで美味しく無駄なく食べられて、このやり方がいいと納得。9時半ごろに暮れなずむ。カルフールへ寄って明日のための仕入れ。水、さくらんぼ、ジュース、などなど。
エクスからアヴィニヨンへの一日が終わる。