「山下洋輔&ブーニン」:続報

昨日、久しぶりに神奈川のEさんからファックスが届きました。駅のプレイガイドでチラシを見つけたからとのこと。
 前回、8月26日の「ブーニンとジャズ」でご紹介した演奏会の続報となります。
日本人ジャズピアニストとクラシックのピアニストの接点についてご本人の山下氏自ら語っています。

  ブーニンさんとの初対面は、1987年の月刊文芸春秋での対談がきっかけだった。資料として送ったソロピアノのCD「ラプソデヴィ・イン・ブルー」を聴いて大笑いをして喜んでいたという目撃談がとどいた。 対談では、そのCDに入っているバッハの「無伴奏チェロ組曲第一番ト長調プレリュード」に触れて、あれは「あなた自身のバッハだ」とジャズマンの勝手弾きを認める発言をしてくれた。 その時に図に乗って「今度即興演奏をして肘打ちをやって下さい」と言うと、「あれは痛いです」と肘を垂直に叩き下ろす格好をした。「そうではなくてこうです」と水平肘打ちをお見せしたが、まあ、スタニスラフ・ブーニンに肘打ち奏法を勧めた人類はぼくだけだろうと誇りに思っている。
  その後ブーニンさん主催のアルメニア地震チャリティ・コンサートに呼ばれたり、ケルンのジャズ・コンサートやトリノのコンチェルト発表演奏会に現われてくれるなどのよい偶然が続いた。今年の東京オペラシティのニューイヤー・コンサートにも来てくれている。その時に「来年はあなたにここに出てもらいます」と思わず言ったのが始まりだ。
  控えめで慎重なブーニンさんが同意してくれるのに時間がかかった。承諾の過程と共に細心の注意を払って曲目が選択された。果たして即興演奏家ブーニンがついに出現するのか「ブーニンの肘打ち」は炸裂するのか。乞うご期待であります。
                                                            山下洋輔

これによると、日本だけでなく、その後も、ドイツ、イタリアとお二人の交流は続いていたようです。
ブーニン・ブーム渦中の20数年前、まだブーニンがロシアにいた頃、質問に答えて「ジャズのオスカー・ピーターソンを聞いている」と発言したことがありました。お固い批評家や演奏家、クラシックファンには「ジャズとブーニン」の取り合わせは良い意味では受け取られなかったようでした。
それに、ショパンやバッハを楽譜通りに弾いていない、即興演奏、あるいは勝手に作曲して弾いているとまで言われたこともあったブーニンの演奏ですので、「慎重なブーニン」さんという表現には、ご本人、そういうところの意識がおありなのか訊いてみたいところです。
山下洋輔氏の方は出会いの最初から面白がっておられて「いつか舞台で共演」の夢を来年自分のプロデュースで実現されるわけで、ブーニンさん側はリスクを抱えつつも断りきれずに?なんて予想をしてみたり・・・
なにはともあれ、興味津津の「豪華驚愕の組み合わせ」(チラシより)が楽しみです。