[ゼロの焦点」

松本清張生誕100周年にあたる今年はテレビでも「点と線」の放送がありました。再放送と知りつつ、見出したらやはり最後まで見てしまいました。たけしの刑事が良かったです。さて、清張作品は「砂の器」と短編の「張込み」しか読んだことがなくて、この犬堂一心監督の映画「ゼロの焦点」も原作は読まずでした。

広末涼子中谷美紀木村多江という今最も充実している三人の女優さんの競演で、見ごたえがありました。
主役の禎子を演じる広末涼子はナレーションも。あの当時の大卒のお嬢さんで、知的で大人しいがプライド高く、シッカリした女性を好演。中谷美紀は美しい社長夫人で初の女性市長を誕生させようと政治にも手を出している謎の女性。薄幸の女性を演じるならこの人という木村多江はズバリのはまり役。

金沢が舞台で石川弁が上手に使われています。私は、両親と夫が加賀市出身、小さい頃から田舎で夏休みを過ごし,その後夫の実家で28歳から2年間石川弁に囲まれて過ごしたので、石川弁はとても懐かしい方言。でも、いくら馴染んでいても、あの何ともいえないイントネーションは真似できません。それほど難しい石川弁を木村多江本田博太郎、他、皆さん本当に上手に話しています。それだけでこの映画、緻密に出来ていることが分かります。昭和30年代がキチンと再現されていました。どうもロケ地は韓国らしく、なるほど日本に「戦後」は無くなったと納得しました。

映画が終わった最後、出演者や製作者の名前が流れる画面にかぶって中島みゆきの歌声が流れます。なるほどの歌詞なのですが、その歌い方、地声を使いコーラスも入った勇ましい歌い方が可笑しいくらい。夫の「ヤンチャな歌い方やな〜」には笑ってしまいました。

映画自体は夫失踪の後、連続して起こる殺人事件の謎解きとともに、夫と二人の女性の人生が暴かれ、それに連れて日本の戦後という時代と女の生き方が焙りだされていくことになります。私も思い出しました。伊丹空港には米兵がいて、阪急電車蛍池に近付くと電車の中から、外人(米軍高官用?)さん用の住宅が刀根山あたりに見えましたし、パーマをかけてタップリしたフレアスカート、濃いお化粧をしたそれらしき女性が乗り降りするのもよく見かけました。

新しい人生をやり直したい、この人となら出来ると思っていたと知らされて・・・
辛い戦後を過去を忘れて生き抜けなかった三人が生き残った者たちに託した未来は価値あるものになったろうか・・・
終わっても、色々と思い出したり、考えさせられたり、余韻が残ります