鈴なりのウインタークレマチス(「差別と日本人」)

ベル状の花が精一杯開くとこんな感じになります。真っ白な鈴が文字通り鈴なり

先日、ふらっと本屋さんに入って平積み本を見て歩きました。龍馬関係がズラッと並んでいるのに驚きました。
そして、私が選んだのは、野中広務さんの本。後藤田正晴さんとか野中さんとか、自民党の中でも気骨のある人がもういなくなっているので、今も政治的な活動や発言をつづけている野中さんは貴重な存在だと思っています。その本というのが「差別と日本人」という辛淑玉さんとの対談本。

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)

文楽を見に行く時もバッグに入れて、帰りの電車の中で読み終わりました。
部落差別と朝鮮人差別。辛さんが解説を入れています。
京都や奈良、近畿地方に差別が色濃く残っているのは、それだけ歴史が古いということなんでしょうか。
以前、京都の知り合いが部落差別の暴言(親心ゆえの?)を吐くのを当時高校生だった息子が聞いていて、あとでショックを受けているのを知りました。中学校では差別は良くないと習っていたので、身近に残っている差別意識に接して驚いたのだと思います。高校生になってから「中学校の教育は良かった、ほとんどの人は差別的発言を無意識にやっている」と云うのを聞いて、私も納得しました。中学校時代の同和教育には先生の指導の面で行き過ぎたところもあって、私は批判的でしたが、子どもたちが素直に受け止めているのを知って嬉しかったのを思い出します。
ところで、お二人に共通するのですが、差別と闘えば闘うほど、身内に不幸が降りかかり、虚しくなってくるという現実にお二人ともに悩みながらも闘い続けておられることに何ともいえない思いが・・・
この本で語られる麻生財閥、なるほどそういうことだったのかと麻生元首相の発言の根っこがわかります。麻生さんの出自が言わせる、と理解するとよくわかります。「実際そう思っているんでしょ。朝鮮人部落民を死ぬほどこき使って、金儲けしてきた人間だから」(野中さん)
部落出身だからこそ特別扱いの逆差別制度や法案には反対してきたという野中さんの生き方は素晴らしいですが、犠牲の大きさを知ると本当に差別の無い日本に早くならないかと思います。残りの人生は「戦後未処理問題」を解決することに、と仰っています。こういう政治家が自民党にいたということが不思議なくらいです。
帯のキャッチコピーは「部落とは、在日とは、なぜ差別は続くのか? 誰も語れなかった人間の暗部」となっています。