耳に残るチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲

先日、関東地方の方から「オーケストラ」という映画が良かったと聞いていました。その直後、新聞の夕刊に映画評が載り、
その夜、友達からケイタイにメールが入り、行く時は一緒に、ということになり今日行ってきました。
この映画は梅田のスカイビルのガーデンシネマでやっています。
阪急梅田駅からスカイビルへ行くまでが様変わり。
スカイビル4階から見る大阪駅裏?もめったに見ることのない風景。ナビオの赤い観覧車が見えます。

空中庭園のあるスカイビル  さて、映画は良かったです。
「オーケストラ」という邦題は、見終わったら、原題の「コンチェルト(協奏曲)」の方が相応しいと思いました。
内容はチラシの文句から引用しますと:「劇場清掃員として働く・元天才指揮者は、昔の仲間とオーケストラを結成。ボリショイオーケストラで主席をつとめた天才指揮者だった。共産主義時代、”ユダヤ主義者と人民の敵”と称されたユダヤ系の演奏家たち全員の排斥を拒絶し、名声の絶頂期に解雇されたのだ。そんなある日、清掃中にアンドレは一枚のFAXを目にする。それは、演奏を取りやめた有名交響楽団の代わりに、パリのシャトレ座に出演するオーケストラを2週間以内に見つけたいという内容。アンドレはここで正気の沙汰とは思えない、とんでもないことを思いつく。」
で、彼は、30年前の精鋭オーケストラ団員を必死で集めて、敏腕マネジャー(共産党に郷愁を抱くとんでもない奴)やガス会社でのし上がった下手なチェロが趣味の大金持ちをスポンサーに、55名を集めてパリへ乗り込む。このドタバタ劇に焦点をあてると「オーケストラ」となりますが、お話はアンドレソリストに指名して譲らなかった美貌の29歳のヴァイオリニスト・アンヌ・マリーを巡ってシリアスドラマになります。

ユダヤ人迫害という過去の歴史と個人の運命がない交ぜになり、パリの公演当日が近づくにつれて、謎解きと人生模様が浮き彫りになり、そこにハチャメチャのドタバタが絡んで、そしてチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の甘く切なく熱いメロディとともに大団円へと。
このソロのヴァイオリンがオケを引っ張って名演奏に仕立て上げていくシーンが秀逸!圧巻! この最後の演奏の間に挟まれる場面で演奏終了後の成功した未来が説明され、感動の協奏曲が終わると聴衆が熱狂して総立ちに、舞台上では、見事にコンチェルトを弾き終えた彼女が、人間的にも一つの壁を乗り越えて指揮者のアンドレに寄り添う姿に、思わず涙が。

ブレジネフ時代からの共産党KGBに強烈な皮肉を利かせているのですが、ロシアでのユダヤ人差別の実態に疎い私は、最初のうちは話の筋を追うのに付いて行けない部分も。終わって、二人で復習したりしましたが、彼女は直ぐ「もう一度観たい!」でした。私は耳鳴りみたいにチャイコのVn協奏曲のお馴染みのあのメロディ部分が鳴り響いて、帰ったら誰かの演奏で初めから聞きなおしてみようと思いました。

それにしても、音楽映画として上手く出来ています。
でも、先日見た日本の「のだめカンタービレ」も負けてないな〜とも思いましたよ。