23日(木)の新聞から、世界と日本

昨日は天皇誕生日でした。朝のコーヒータイムで、滅多に昔話をしない母が珍しく昔話を。昭和8年、まだ女学校に上がる前だったので中学生の頃、この日、男の子が生まれたと狼煙(のろし)が上がったのを覚えているとか。
その天皇陛下喜寿を迎えられ、皇居での記者会見で、今年一年を振り返り、高齢者の所在不明問題や宮崎県の口蹄疫奄美大島での豪雨災害に心を痛めたと述べられ、嬉しい出来事として「はやぶさの帰還」や、さかなクンが発見に尽力があったという富士五湖の一つ・西湖で確認されたクニマス(親元の秋田県田沢湖では絶滅)を挙げておられます。
 ヘリテージの蕾・寒風の中、開き切れるでしょうか?

同じ日の新聞(日経)、1面の囲み記事に、「08年の文科省まとめ」によると、日本人留学生は前年より11%減で6万6833人。4年連続の減少で、落ち込み幅は過去最大。文科省は「不況や就職活動の早期化などで留学を避ける若者が多い」と分析。一方、日本に留学する外国人は今年5月時点で14万1774人で過去最多。増加は4年連続。出身国・地域は中国が8万6173人、9%増で最も多い。「内向き志向くっきり」というタイトルです。
経済的なことも大きいでしょうし、若者に覇気が無くなっているというのもあるでしょうし・・

2面の囲み記事は「谷垣氏、アポとれず訪米断念」というタイトルで、来年1月11〜16日の日程で総裁就任後初めての訪米を検討していた自民党谷垣禎一総裁が来年の訪米を断念したことが分ったという記事。訪米してシンクタンクなどでの講演をはじめ、米政府関係者や有識者らとの会談を計画していたが、米政府要人などとの面会日程が入らず・・・ということで、「来年1月召集の通常国会菅直人首相を追及する構えだったが、目算が外れた」。
アメリカ側からすれば、政権交代しても2番手の菅さんで以前の自民党の役割と同じ、あるいはそれ以上の貢献を評価しているということでしょう。国民の側、政権交代に期待した者からすると、日米関係について政権交代した意味が全く無いと言わざるを得ない状況ではないでしょうか。

落葉の唐池公園
3面から4面全体は、外務省が22日公開した1950〜70年代の外交文書約280冊から
「公開された文書のポイント」として挙げられているのを◎印で、解説記事を<>で箇条書きに紹介してみます、

琉球政府首席公選での裏工作(1968年)
<沖縄自民党総裁西銘順治候補を日米両政府が水面下で支援。琉球政府主席公選実現自体を西銘氏の功績によると演出し同氏の功績を印象付けようとした。また、米側は自民党に資金面でのテコ入れも促し、米軍基地の存続を容認する主席をなりふり構わず選ぼうとした実態が浮き彫り(記事のまま引用)。公選では革新系の屋良朝苗氏が勝利。>
佐藤首相が朝鮮半島有事の際は「韓国の後ろ盾になる」と米に伝達(69年)
日米首脳会談で佐藤首相が繊維問題の年内決着を確約(69年)
沖縄返還交渉で日米が尖閣諸島の表記で折衝(71年)
<愛知揆一外相とマイヤー駐日米大使の会談記録や、当時の外務省アメリカ局と条約局の文書から。「米側は、尖閣諸島が日本領土であるとの米政府の見解に変更はないとしつつも、経緯度線で囲む方式によって協定上、尖閣問題を表面化することは避けたいとしている」。『米中和解をにらむ当時のニクソン政権には、尖閣諸島の領有権を主張し始めた中国や台湾との緊張を避けたいとの思惑があったようだ。米政府は現在も尖閣諸島は日本の施政下にあり、日米安全保障条約の対象とする一方、最終的な帰属に明確な態度を示していない』(記事のママ)>
日本が求めた沖縄返還時の核撤去証明を米大統領が拒否(71年)
福田赳夫外相がジョンソン米国務次官に「返還時に核は沖縄に存在しない旨を大統領の宣言
または首相への書簡で明らかにしたい」と要請。しかし、米側は「大統領を巻き込むのは好ましくない」と拒否。佐藤政権は「核抜き本土並み」の大方針を掲げたが、交渉は最後まで難航。抑止力低下を懸念して米側は核兵器の存在を明らかにする事に、一貫して消極的。一方、佐藤首相の家族が保管していた秘密文書では、米政府が返還後も沖縄に核兵器貯蔵地を使用できる状態に維持しておくことが明記されていた。今回、大統領が核撤去の証明を拒否していた事実が判明し、沖縄に核が存在したという説を補強する材料が増えたといえる。(ママ)「今回、米軍のベトナムへの出撃にも沖縄の基地を使わせるよう米側がもとめ、日本が容認する文書も見つかった。米側は核の配備と並んで在日米軍基地の自由使用に強くこだわっていたとされ、沖縄の在日米軍基地を極めて重要な戦略拠点と位置づけていたことがうかがえる。(ママ)>
日独首脳会談で福田首相が「中ソ対立はわずらわしい」(78年)
<シュミット西ドイツ首相との10月の首脳会談で、同年8月の日中平和友好条約締結について「いかなる第三国との関係にも影響を与えるものではないとの明文規定があるにもかかわらず、ソ連は『条約はソ連を敵視するものだ』と言っている」と説明し「中ソ対立は極めて煩わしい」とこぼした。>

これだけ明らかになって思うのは、日本とアメリカの関係で問題なのは、アメリカよりは日本の政府です。
アメリカは自国の世界戦略のなかで日本が果たす役割を日本に強要してきます。それに対して、日本政府(去年までは自民党)が日本の立場や国民の総意を代弁してきたか?が問題です。民意がアメリカの要求とは異なると予想された場合、アメリカと日本政府は、一緒になって、国民に嘘をついて騙したり誤魔化したりしてきたということがわかります。
沖縄返還交渉で思うのは、今年知った若泉敬氏のことです。若泉氏は、自分が沖縄返還交渉で佐藤総理の密使として、アメリカと交渉し、沖縄にとって良かれと思ってアメリカ側と密約を交わしました。しかし、返還後も核持込、基地の固定化と、若泉氏の良かれと思った意図は裏切られました。その後、若泉敬氏が命を懸けた密約の告発はマスコミからも政治家からも無視され、日本は「愚者の楽園」かと憤死にも似た最期でした。何故、無視だったのでしょう・・・
先日のNHK「安保50年」の最後は国谷さんが司会する討論番組でした。その中で、寺島実朗氏が「世界の常識では、首都周辺に外国の基地が65年も居座り続けている国は独立国とは呼ばれない」というようなことを言われました。その非常識な現実を何とも思わない日本、日本人が大変な問題だと思います。何故、思わないのか、思えないのか、ということを考えなければならないと思いますし、是非、考えて欲しいと思います。
とにかく、戦後65年以上、新安保条約から50年、私たち日本人は、これも今読んでいる寺島氏の本から借りて言えば、「アメリカを通じてしか世界を見なくなって」います。「日本人」の中に、私も、政治家も、貴方も、含まれていると言えます。龍馬が勝海舟に広い世界を教わったように、アメリカの見方ではない、世界の見方を、日本人は意識して獲得する必要があると思います。


一面の記事にあるもう一つは、「新START 来年前半に発効  米ロ、戦略核を削減、米上院承認へ」。

新STARTというのは新戦略兵器削減条約のことで、「米上院本会議は、米国とロシアによるこの新STARTの批准を承認する決議を22日採決。 今年4月、オバマ大統領とメドベージェフ大統領がプラハで調印。射程の長い「戦略核」について核弾頭配備数を1550発に、大陸間弾道ミサイルICBM)や爆撃機など核兵器の運搬手段を総数800に削減する事が柱。発効後、7年以内に削減する。」 オバマ大統領が掲げる「核なき世界」の実現に向けての小さな一歩です。
今日は終業式、そしてクリスマスイブです