チャリィティーコンサート

先週末、大フィルの大植英次さんの復興支援のコンサートがあるから行かない?と誘っていただいたコンサートに出かけました。車で箕面駅前でピックアプしてもらって5人で参加です。場所は川西池田、時間は3時から1時間という以外何にも知らないで参加。川西池田駅の阪急百貨店の地下に駐車して最上階のアステホールへ直行です。
 指揮者の大植さんは、夫が10年ほどまえ仕事でミネアポリスミネソタ州)に住んでいた頃、アメリカの名門ミネソタ管弦楽団音楽監督でした。ミネソタ市のガイドブックに日本人音楽監督として紹介されているので知りました。その後、朝比奈さん亡き後の大阪フィルハーモニー交響楽団音楽監督に就任。いつか大フィルの演奏をと思いながら今だに聴けず。お誘いを受けラッキー!でした。
チケット代1000円を募金箱に入れて、5人で前の方の席について待ちました。大植氏、登場! 見頃にパイピングの入った襟の高いロングジャケットに紺色のポケットチーフを出してお洒落なイデタチ。小柄ながら精悍なお顔です。
昭和31年生まれということは55歳、田中良子さんと同年齢です。

ステージに現れるや否やマイク片手にしゃがれ声で趣旨説明。早口で慣れるまでは聞取りにくい日本語。とにかく未曾有の天災に人災まで加わって被災者の皆さんの為に何が出来るか・・・出身地の広島を皮切りに全国36箇所を連日のように強行チャリィティコンサートをやっておられるとか。広島では3日間で11回のコンサートだったよう。当日も3回目で、この後2回控えています。阪急が企画に賛成し、大植さんの名前でのコンサートになったという経緯も。

さて、演奏は大植さんのピアノでバーンスタインの「ウエスト・サイド・ストーリー」から「SOMEWHERE」。演奏後、バーンスタインとの思い出話のご披露が。最初の出会いがこの曲で、ピアノを弾き終わったらバーンスタインが立っていて大変褒めてもらい、「この曲は君に」と言われたそうです。その後一緒に舞台に立つ機会があり、バーンスタインベートーヴェンを振り、大植さんがバーンスタインの曲を演奏するように言われ、「逆じゃないの?」と思ったが「これでいい。君の演奏を聴きたいから」と言われたとか。
2曲目は大阪音大出身のピアニスト今井さんとのピアノ連弾で、ベートーヴェン交響曲第3番「英雄(エロイカ)」の第2楽章、被災者に捧げる「葬送」。今井さんがメロディを担当。二人でオーケストラ曲のピアノ演奏です。さすが指揮者、大植さんのリードで息を合わせてしめやかに勇壮に謳い上げられました。終わって「やっぱりベートーヴェンはいいですね〜」と大植さんのトークが始まります。
次は妹さんの今井さんのヴァイオリンでマスネの「タイスの瞑想曲」。次はヴィオラエルガーの「愛の挨拶」。楽器が段々大きくなっていきます。次はチェロで曲目紹介抜きで始まったのはジョン・レノンの「イエスタディ」。ニューヨークの一番古い住宅に住んでいたジョン・レノンとのエピソードの紹介です。「奥さんのオノ・ヨーコを愛していた事も勿論あったでしょうが、世界で一番平和を愛している日本人が好きだ」と言ってたそうです。
「イエスタディ=昨日」の次は、バーンスタインの「トゥナイト」をと大植さんのピアノで。最後は、リヒァルト・シュトラウスの明日を意味する「モルゲン」をヴァイオリンとヴィオラで。輝く未来を歌った曲だそうです。ヴィオラとチェロの演奏は大阪音大の学生さんたちでした。
ピアノと弦楽器の音色が会場一杯に。トークでも強調されましたが、大震災と津波原発(大植さんは口にするのも嫌と・・・天災と人災という表現でしたが)の被災者が主人公のコンサートであって、参加したみんなが作るチャリティだと仰っていました。音楽家がなぜボランティアという切っ掛けともいえるエピソードも紹介されました。国連でマザー・テレサの講演があって、大植さんが「私に何が出来るでしょうか?」と訊ねたら、「世界の為にとか、みんなの為になんて大きな事を考えないで、『あなたの隣の人を助けなさい。その隣の人がまた隣の人を・・・』そうすると世界は繋がって輪になるから」と。
絆があれば大丈夫でしょうというお話でした。 
いい音楽と世界の偉人たちとの生のエピソードを聞かせていただきました。
みんな大急ぎで夕食の足しになるものを買い込んで・・・5時前には家に着き夕食6時の支度に間に合いました。
大フィル率いてのチャリティかと思っていましたが、大植さん個人!!というのは驚きでした。
最後に募金を訴えて…チャリティのはしごをする人もいるので、重ならないように曲目も考えてと言われていました。声が枯れるほど、それに夜行バスでコチラに来て、リハーサルで合わせて・・・とエネルギッシュな奮闘振りに被災者への想いが伝わってきます。これは、大フィル、ぜひとも聴きに行かなきゃ・・・と改めて思いました。Noさん、声を掛けて頂いてありがとう!
そう、そう、「指揮者という仕事柄、世界中の街を歩いているが、街が人を作るのではない。人が街を作るのだ」と話され、大阪への熱い思いも聞かせていただきました。新世界の通天閣も大植さんのグローバルな目にはパリやニューヨークに負けない街をという大阪人の心意気が映っているようです。串かつのタレ二度漬け禁止も体験されたようでした。
音楽と人、絆、地域、社会、国、世界と、大植さんも仰っていましたが、そのまんまの生き方です!