科学者の目に涙

柏葉アジサイの花が満開です。
円錐形の花房が重くて鉄柵にもたれかかって咲いています。

今朝のテレビ朝日の”モーニングバード”、木曜恒例の玉川徹さんのコーナー「そもそも総研」は二人の科学者の取材から。
一人は京大助教小出裕章氏、もう一人は日本大学生物資源科学部の小澤祥司氏のお二人です。
民放でこれだけ現状をハッキリ伝えた番組も珍しいかもしれません。
福島原発事故の現状を小出氏が解説。燃料棒は溶融して2800度の高温の塊が、メルトダウンからメルトスルーを通り越し、建屋の底が抜けて土台のセメントを突き抜けているのではないか。今は地下水に達して地下水を汚染し、その汚染水が海へ流れるのを止める為の工事が必要。建屋の横に岩盤に達する深い溝を掘って地下水ごと封じ込めることをしないと止められない。今すぐにでも取り掛からないと後手後手になる。
玉川さんは小澤氏にチェルノブイリと比較して福島の現状はどうなのだと迫ります。小澤氏は、20キロ、30キロ圏内と風向きによる北西部を加えた強制避難区域と屋内避難区域の部分がスッポリ55万5000ベクレルのチェルノブイリと重なる。今避難されている方たちは、今回の事故がなければ、本来あの地域で静かに老後を送ったであろう、また、子育てをしたであろう方たちであり、それが今、故郷を失っている理不尽。これが原子力災害である。私は何度もあの地域へ入って調査もしているので、申し上げにくいが、数十年は帰れないし、元に戻るには100年以上かかる。
小出氏も、何十万という人が移動を余儀なくされている。今まで住んでいた所から避難しろといわれ、とどまれば被曝、ガンになる。その選択をしろという。どちらを選ぶにしても悲劇の選択で、正直、私にはどうしていいのかわからない。東電は漁業被害、農業被害は補償するといっているが、原子力災害とは、そんな簡単な問題ではない。
小澤さんの声は震え、小出さんの目には涙が滲んでいます。
玉川さんは、こんな厳しい内容を放送していいのかと考えたが、事態を過小評価しても希望にはつながらない。
それよりも事態を真正面から正確に伝える事の方がこれからどうすべきかを考える事が出来ると思って放送することにした、と。