NHKスペシャル「昔 父は日本人を殺した」を見て

小出裕章著「原発のウソ」が「発売即12万部突破」の大反響だそうです。
私が買った「原発のウソ」は夫と息子が読んだ後、我が家を出て、貸し出されています。
今日は叉、夫が宝島社の「これから起こる原発事故 原発問題の専門家からの警告」という本を買って来ました。

改訂版 これから起こる原発事故〜原発問題の専門家から警告 (別冊宝島) (別冊宝島1469)

改訂版 これから起こる原発事故〜原発問題の専門家から警告 (別冊宝島) (別冊宝島1469)

さて、昨夜のNHKスペシャル<「昔、父は日本人を殺した」〜ピュリツァー賞作家が見た沖縄戦>を見ました。
新聞の番組欄では「▼沖縄戦・米兵が初めて明かす真実▼少年兵と民間人をなぜ殺したか」と書かれています。
なんとも息苦しいというか、重苦しいというか、胸の痛む時間でした。
自分の父親が沖縄戦でどうも少年兵か民間人を殺した事で苦しんだまま何も言わずに死んだと思っているピューリッツア賞受賞者のアメリカ人作家がその謎を解こうと沖縄を訪れ、父が残した遺品を持って「沖縄戦」をたずね歩きます。
その行為自体は頭の下がる思いです。しかし、戦争の悲劇は、末端で銃を持った者同士の究極の最悪の事態・殺すか殺されるかに追い込まれることにある、というのは既に自明のことです。
番組は1945年の4月1日にアメリカ軍が沖縄上陸を果たして以降の数ヶ月を追っていきます。
最後に、当時14歳の少年兵で、身内をアメリカ人に殺され、今は82歳の男性に会って話を聞きます。
この沖縄の少年兵だった男性の恨みのこもった悲しい目と表情がこの番組の内容の全てでした。
彼はアメリカ人を前に言います、恨みのこもった悲しい目で。「アメリカ人はなぜ民間人を殺したのか」「アメリカ人の正義とは何だったのか」。

日本人の捨て身の抵抗にあって平常心を失う中で民間人を殺したに違いないアメリカ人を父に持つ作家は答えます。「私には答えることができない」。
少年だった日本人は言います、「戦争はしてはいけない。戦争はやってしまったら取り返しがつかない。やるかやられるかしかない。戦争はやってはいけない。それだけです」。
海兵隊員だった父を持つアメリカ人作家は言います、「戦後60年以上、日本は戦争をしていない。アメリカはそれ以後も沢山の戦争をしてきた。私たちはあの戦争から何も学んでいないのかもしれない。」と。
番組を見終わって、私は考えます。仕掛けた戦争で、4年もの間戦い続け、沢山の敵と沢山の関係のない人々を巻き込み死なせ、挙句に自国を焦土にし、広島、長崎に原爆まで落とされた日本が、あの戦争で本当に「学んだこと」は、戦争は二度としてはいけないということであったはずです。
それは9条が与えられようと、そうでなかろうと、私たちが戦争で亡くなった夥(おびただ)しい人の死を無駄にしない唯一の道であるはずです。
ところが、最近では、与えられた9条だからと、憲法を変えて、戦争の出来る国にしようという動きが出てきています。
ピューリツァ賞作家のアメリカ人の「あれ以来日本は戦争をしていない」という言葉の重みをしみじみと噛みしめながら、これからもそうであらねばとあらためて思います。