「下流の宴」最終回

NHKの火曜10時からの「ドラマ10」は「八日目の蝉」以来、注目して見ています。
大石静さん脚本の、鈴木京香深田恭子の一人の男性をめぐるバトルも壮絶でした。
女性のあらゆる問題をかなり極端な描き方をして見せるのですが、シッカリどの時代のどの女性にも当てはまる普遍的な問題を抱えて芯があるというドラマ作りです。あそこまでは、と思わせつつ、見続けるうちに、自分にもあるよな〜、あったあった自分にも、まるで私?なんてことにもなってきます。
この「下流の宴」も同じ系列の面白いドラマになっていました。
原作が林真理子新聞小説とかで発表された時から評判だったそうですが全く知らずに見ていました。脚本が中園ミホさんとか。この方の作品も、見ているかもしれませんが、初耳です。主演の黒木瞳さん(由美子)。今回初めて上手いな〜と思って見ました。 今までのウソっぽさが無くって…好演、快演です!
いわゆる教育ママのレールに従って”努力して頑張って安心な人生を”という生き方が出来ない息子翔。
沖縄出身の恋人珠緒は、由美子に結婚を認めてもらうため、発奮して医大受験を目指して頑張ります。
由美子さんの幼馴染で東大出の有名進学塾の経営者である塾長さんは、下流が上流に挑戦する手伝いをします。 
医者だった夫を亡くした後、女手一つで由美子さんを育てた母親(翔の祖母)は300万円を翔の恋人にと貸します。
2年後、予想を裏切って見事合格した恋人に、”君は別の世界に行った”と翔は別れを告げます。
偶然その場で二人のやり取りを聞いてしまった母親の由美子さんは、やっと解るのですね〜
別の生き方、上流を目指さない翔の生き方だって、自分が育てた結果であり、そういう生き方だってあるってことを。
娘(翔の姉)の方は、折角手に入れたセレブの結婚だったのに、夢破れて、どうも子連れの出戻りだし、
夫はリストラで、やっと転職叶って、安月給に甘んじているし。
夢破れた由美子さん、腹くくって、こうなったら娘の鬱(うつ)のダンナもここで一緒に住めば〜
”ゆるくてだるい家族と一緒ならウツだって治っちゃうかも”と言っちゃったりします。
バギーに孫を乗せて歩いていると、荷物をまとめて宮崎の医大に向かう翔の元恋人にバッタリ。
相変わらずの会話を二人が交わした後、振り返ると、彼女は手を振っています。
由美子と珠緒は同じ側の人間でした。努力すれば頑張れば何とでもなるというガンバリヤさん同士だったのです。
由美子は、珠緒が息子の翔に拒否される現場に居て、初めて翔の生(行)き方を受け入れました。
由美子さんの息子にかけた夢は叶わなかったけど、今度は孫よ!って感じで終わりました。
なかなか筋の読めない悲喜劇でした。
沖縄の恋人珠緒を演じた美波さん、初めて見る女優さんでしたがいいですね〜。一途な可愛さが素敵でした。息子の翔は窪田正孝NHK土曜時代劇で何年か前、敵塾の緒方洪庵の青年時代を演じていた時、新鮮かつ上手い役者さん!発見でした。
脇役の沖縄の母、余喜美子さんの沖縄弁、そして、娘を愛して信じて応援する大らかな母親。ルサンチマンから抜け切れていない受験のカリスマを遠藤憲一。300万円の仕掛けをする祖母を野際陽子。そして、カリカリする由美子を持て余しつつ見守る夫を渡辺いっけい
皆さん、それぞれ、とってもよかったです。