11年11月11日あの日から8ヶ月(京都で印象派)

今日は3・11から8ヶ月、春は名のみのあの日から、季節は巡って昨日今日は初冬の寒さ。
復旧も復興も事故の収束も未だ見通したたず、野田首相は今日TPPの参加に向けて関係国と協議に入ると表明しました。(TPPに参加するとは言わなかった?言えなかった?)
今朝は雨、生協さんの集配に我が家のガレージを開けました。「週間文春」の坂本龍一の記事が良くわかったと言ったFさんに、先週、私は「通販生活」の原発特集をお渡ししました。Fさんが「今すぐ原発なくしてやっていけるかな〜?」と仰っていたので、「原発なくしても大丈夫」という記事と、落合恵子さんと河野太郎氏の対談が良かったからとお勧め記事を伝えてお渡ししておきました。今朝、解散間際に呼び止められ「あの本、まだ読んでないところがあるからもうしばらく貸して貰っていい?」と言われました。「読むところ沢山あるでしょう!」と私。署名を断られたことが切っ掛けでお渡しし出した原発関係の記事、読んでもらっていろんな考えが有ることを知っていただくだけでもヨカッタ〜と朝からチョッと嬉しいスタートでした。

雨の今日は、夫の誘いで京都へ印象派の絵を観に行くことに。京都市美術館の窓に目玉の3点がかかっていました。美術展のキャッチコピーは「印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション」、チラシから「アメリカの首都、ワシントン、D.C.にあるワシントン・ナショナル・ギャラリー、国家のための美術館の建設を願った銀行家・実業家のアンドリュー・メロンの美術品受贈をもとに、1941年、創設された。所蔵品とその収集の為の資金は、現在に至るまで全て一般の人々からの寄贈で成り立っている「奇跡のコレクション」。今回、開館70年を記念に印象派とポスト印象派の83点の展示が実現。クールベやコロー、マネら印象派に先駆けて斬新な表現法や主題を追求した画家たちを始めとし、モネ、ルノワールドガピサロセザンヌ、ファン・ゴッホ、スーラら印象派とポスト印象派のオールスターが、京都で夢の競宴を果たします。」
19世紀から20世紀初頭にかけての流れが分る展示でした。19世紀のはじめフランスのバルビゾン村で風景を写実的に描こうとする画家たちは「バルビゾン派」と呼ばれました。一方、パリでは急速な近代化に伴い、「新しい時代に相応しい革新的な絵画表現が模作され,明快な色彩や従来の遠近法にとらわれない平板な空間表現を大胆に追求し、印象派の画家たちに直接的な影響を与えた。」ここには、日本の浮世絵の影響も大きかったようで、展示作品のなかには構図と言い色合と言い「日本画」みたいな油絵もありました。
クロード・モネの「日傘の女性、モネ夫人と息子」(←絵葉書)が全作品の中では一番印象に残る作品でした。女性の顔はヴェールに覆われて定かではありませんし、子どもの顔もはっきりとは描かれていません。逆光の中、日傘で太陽の光を遮りながら風の中にたつ女性は光と風の中にいます。この絵にはその光と空気が描かれています。セザンヌの「水辺にて」と「川辺」の絵はキャンバス地が塗り残されています。それがまた光に見えます。
パレットの上で絵の具を混ぜないで色を分解して原色をキャンバスの上で点描し、見る者が目で見て色を再構成する点描画法のスーラの風景画2点も静かな画面で良かったです。
セザンヌの「リンゴと桃のある静物」の前で夫が「この絵はおかしいよ。机が曲がっていて、遠近法で描かれていない」というので、知ったかぶりの私がかつて読んだ(音楽評論家の)吉田秀和さんのセザンヌの絵の鑑賞方法を講釈しました。もうずい分前に読んだのですが、相手が夫ですから大丈夫、「吉田秀和さんはセザンヌ静物画に運動を持ち込んだと言って、視点が一つではないと言ってる。上から見たり、横から見たり、斜めから見たりのいくつかの視点で見た絵が同一画面の中に同時に描かれている、と思って見るといいらしいよ」と。私も実物の絵の前で吉田秀和さんを実践してみたのは初めてでしたので、とっても楽しめました。
マネの黒は相変わらずドラマチックで色彩豊か?でしたし、ゴッホは圧巻でした。アルルでゴッホを訪ねましたのでチョッと身近にも感じましたが、作品最後大トリの位置に展示してある「自画像」とその前の「薔薇」(↑絵葉書)の絵は晩年の作品ですし、落ち着いた色を使っている分筆のタッチのうねりが迫ってきます。
パレットの上で色を作らないで、色を分解し、原色をキャンバスの上で点描し、見る者の目で色を再構成する点描画法のスーラの風景画2点も静かな画面で良かったです。
帰りにチョッと歩こうと南禅寺の方角へ。手前の琵琶湖疎水記念館に寄ってみました。(←琵琶湖疏水

南禅寺境内は歩いて300mもあるし、煉瓦造りの水路閣(ローマの水道橋のような)も大分ありそうというので、戻り始めると無料公開の無隣庵の看板。
読んでみると山県有朋の旧邸と庭園ということで立ち寄ることに。東山を借景にした回遊式のお庭(→)と、土蔵造りの洋館を見ました。
東寺をあとに日没に間に合うようにと帰路に。トップの赤いツタの葉はここから平安神宮前の地下駐車場へ戻る時に見た土塀のツタの紅葉です。