原発から風車へ・ロラン島の決断(1985)

10日(木)NHK夜8時からの45分番組「地球イチバン」という番組がとてもよかったです。
このところ原発関連の番組を録画、それをダビングして山仲間に勧めている夫のお陰で、この番組も録画されていました。後片付けをしながら背中で聞いていた箇所もあったので今回見直して更に番組の内容に感心しました。
出演者は渡辺真里菜さん、中川翔子さん、現地取材した俳優の時任三郎さん、経済ジャーナリストの萩原博子さんが半円になってビデオを見ながら感想や意見を言って、途中クイズを出したりの進行役の声の出演は最近NHKでよくお見かけする男性タレント(びびる何とかさん?)です。ちょとした教養エンタメクイズ番組といったところで、軽く見せて実はナカナカ…という内容でした。

写真をつけてブログに記録しておく値打ちアリと思ってやってみます。木曜日の夕刊の番組欄から週刊誌みたいな長いタイトル?を。
「100%自然エネルギーの島! 時任三郎ガチンコ取材 原発から風車へのナゼ? 北欧のチエ」
まず、デンマークは首都コペンハーゲンの南にロラン島があります。時任さんがナゼ旅人となって風車・自然エネルギーの島へ行くことになったかはご本人によるとカヌーのような「人力」が好きだからで自然エネルギーに興味があってとのこと。
まず、巨大な風車が映し出されます。高さ50m、風車の羽根の長さは20m。時任さんは風車のモーターのある場所まで上ります。地上45mといえば15階建てのビルと同じ高さ。直径3mの空洞の中にははしごがあって、用心のために6mごとに踊り場がついています。高いほど風が安定して吹き、騒音対策もあって背が高いそうです。
時任さんはポツリと風車が離れて立っている足元にくっ付いたように見える民家らしきものを目指して行ってみます。人が住んでいて「これは私の風車」といって、売電で収入を得ているとか。「1年の収入は576万円、月、48万円。メンテナンスを引いても借金は10年で返済できる」のも、”全量買取制度”があるから。「風が吹けばお金が入る」生活です。
600基中半分以上は住民が所有するマイ風車!だとか。風車の共同オーナー制度というのもあります。次に訪ねたのが120人がお金を出し合って元手の4倍が戻ってきたと楽しそうに話すおじさんたち。「風は地域の共同資源」で、よその人が勝手に風車を立てるのを防ぐ「風車から10km以内、2年以上居住」という”ご近所さん限定制度”があります。おじさんたちが風車をサカナにみんなで祝賀会やお祭りをしたという写真を見せられて、時任さんの「電気を売ってもうけるより、コミュニケーションを楽しんで、ビール代に消えてますね」に「そうかも…」とみんな楽しそうに笑っています。
洋上発電パーク」  電気発電量世界一、東京ドーム1200個分、島で必要な電気の2倍以上を発電、首都コペンハーゲンにも供給しています。海は陸地より強い風が安定して吹き、騒音問題もありません。陸と海の風車で年間必要電気量の5倍の発電をしています。では、なぜ、ロラン島に風車が根付いたのでしょうか? 
ロラン島はかつて原子力発電所を作る有力な候補地になった。大量の水が必要な原発にはあの岬がうってつけの場所だった。 切っ掛けは38年前のオイルショック(1973年)。真冬に暖房が使えない。政府と電力会社は、広い土地と首都に比較的近いロラン島に目をつけ、島の住民も島を支えていた造船業が傾き新しい産業を探していたこともあって、島に原発をということに。
ところが、15人の市民の有志が声をあげました。「急いで決めないで」と訴えました。ベンテさんは言います、「最初から原発に反対じゃなかったの、原発を持つとどうなるのか詳しく知りたいと思っただけなんです」「3年間考える時間が欲しい」という市民。デンマーク政府は受け入れて国民が3年間考える時間を設定しました。
政府は、オイルショックで切羽詰まった時、なぜ、急がなかったのか? 政府側で関わったキーパーソンを訪ねます。
原発導入のために作られた元原子力委員会の事務局長ウフェ・ケアトセンさんです。

元教師のウフェさん:「本当は電力会社、企業、労働組合、そして新聞やメディアも原発を推進するため大々的に宣伝していました。ですから3年間待ってもらうのにとても苦労した。しかしエネルギーの大きな問題です。市民一人ひとりが判断するためには、いろいろな意見を見聞きし議論するための時間が充分必要だと考えたのです」。 ウフェさんには信念がありました。「大事な問題を政府や専門家だけで決めてはいけない」、「決めるのは一人ひとりの市民だ」。 当時政府が作製したポスターが↑の右端、「エネルギーを決めるのは市民です」。
原発のメリット、デメリットを詳しく書いた「原子力発電とは?」などのテーマごとの情報誌を広く公表→
原発について賛成・反対、両方の専門家の意見を公平に伝えた。例えば原発の安全性について頁の左側に賛成(推進)派の考え、「原発で深刻な事故の起こる可能性は極めて低い」という分析を載せている。右側に載せた反対側の考えでは「人間はミスを犯すもの。もし、想定外のトラブルが起きた場合、人間のミスと重なって大惨事になる」と警告しています。異なる考えを比較出来るようにしてある。
「当時私たちにはとてつもなく大きな圧力がかかっていた。政府は原発を導入するために私達の委員会を作りました。国民を安心させる情報を出させるためだった。つまり政府は『原発は安全で経済的だ』と強調したかったのです。」 違う考えをあくまで公平にというウフェさんの考えは政府上層部の反感を買い、原子力委員会は2年で解散に追い込まれます。        つづく