「遺伝子組み換え作物と除草剤のセット売り」の心配

叶わぬ夢とは知りながら、それでも、つくづく、デンマークの解散させられる前の原子力委員会でウフェさんが取組んだように、TPPについても賛成と反対(慎重)派の両論併記の情報を公にして国民にも勉強する期間が与えられればいいのにと思ったり・・・
木曜朝の「モーニングバード」、玉川徹さんの「そもそも総研」コーナーは「TPPで農業は壊滅するか?」でした。このところ、反対派の意見が多かったのでという自己規制が働いたのかバランスを考えて賛成派の考えも紹介したという程度でした。農地を大規模化して生産性を上げれば競争力がついて困らないだろう、TPPはその切っ掛けにすればよいという賛成派の意見ですが、私はもう少し突っ込んで欲しいと思いました。
大規模農業を実現している農家の方の「日本の農業がこのままで何もしなければ農業人口が高齢化で途絶え自滅するのは明らかで、それはTPPとは関係なくそうなんだ」という発言も気になります。もう何年も前から分っていることなのに手を付けることが出来ない、だから、いっそのこと外圧で・・・?
生産性を上げるためにアメリカのような大規模化をはかるという考えも日本の地形を考えると限界がありそうですし、効率とか生産性とかだけで農業を考えるというのが本当に良いのか・・・。それだけではない問題について、先日の「永田町異聞」さんの10日の記事(http://ameblo.jp/aratakyo/)が気がかりです。このなかで書かれているアメリカ式の遺伝子組み換え作物と除草剤をセットで使用すると「麻薬のような依存システム」に取り込まれるというのが心配です。

(途中から)
TPPは、工業品、農産品など全ての品の関税を撤廃するとともに、公共事業など政府調達や、知的財産権、金融、医療サービスなどにおけるすべての非関税障壁をなくして自由化するのが目的だ。


経団連などに加盟する多国籍企業にとっては、国家の壁は邪魔でしかない。米英の金融資本家が描く世界政府構想に相通じる強者の論理ともいえる。


よく「日本のため」とか「国益」とか言いますが、「多国籍企業」ともなると、国を超越したグローバルな「企業の利益」が優先する考えを持つ人たちだということですね。地球規模で強者と弱者、富める者と貧しい者との格差が広がる世界・・・ということになってきます。引用つづけます。

ちなみに経団連会長、米倉弘昌率いる住友化学とその米子会社は、遺伝子組み換え農作物で知られるモンサント社との間で昨年10月20日、遺伝子組み換え農作物の種とともに、自社の製品を含む除草剤を米国内で売る契約を結んでいる。モンサント社の除草剤「ラウンドアップ」は世界で最も売れている農薬だ。その威力はすさまじく、過剰に使用すれば雑草だけでなく、肝心な作物そのものまで枯らしてしまう。


モンサント社はこの農薬に耐える作物をつくる必要に迫られた。そこで考え出されたのが除草剤への耐性を持つ遺伝子を作物の種に埋め込む方法だった。すなわち遺伝子組み換え作物をつくり、除草剤とセットで売る仕組みである。

これにより、農家は空中散布などで大量に除草剤を撒くことが可能となった。省力化で人件費などのコストダウンがはかれるため、農業経営の大規模化にはきわめて都合がいい。


一方で、一度このシステムを採用した農家はモンサント社に依存せざるを得なくなる。農地は除草剤大量使用のためにいわば不毛の地になり、耐性のある遺伝子組み換え作物しかつくれなくなる。
麻薬のようなこの依存システムにこそ、モンサント社の快進撃の秘密があるわけだが、遺伝子を人間が操作してつくった農産品を食べ続けることや、環境、生態系への影響など、不安は尽きない。


住友化学の米倉氏は9日、経団連会長として、全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章会長と都内のホテルで会談した。

利権集団のトップどうしの対面は、冒頭の握手と、それぞれの型通りの主張だけがテレビ放映されたが、欲の皮が突っ張った人間のぶつかり合いほど醜悪なものはない。



農協といえば、組合員の大半を占める零細兼業農家のコメ販売を一手に引き受けて、巨額の販売手数料を稼ぎだす。

同時に、農家が得る収入を預金としてJAバンクにあずかり、国内最大の機関投資家農林中金がその巨額資金を運用し、カネと票で農政に口をはさんでいる。零細農家の集積こそがその力の源泉だ。



一方、米倉氏の住友化学は、米国のみならず日本にもモンサント社と提携した自社農薬を売りたいだろう。農業改革を大義名分に、米国流大規模農業をこの国に広めようと皮算用しているかもしれない。

資金力をバックに政治を操る点で、経団連と農協は同質だ。似たものどうしだから対立もする。会談した二人の視線の先に国民は存在せず、利益共同体の主だったメンバーの顔だけが浮かんでいることだろう。



したがって、筆者が農協の肩を持つつもりは毛頭なく、ただひたすらTPPのうたう「自由」を疑い、競争原理がはびこってアメリカ化する「他律」となることを恐れている。

後略

日本の農家は、今までも農機具メーカーや科学肥料会社の熾烈な売り込み競争のターゲットとなり、営業で農家を回っている人が気の毒に思うほど買わされていたとも聞きました(ずい分前の話でしたが今はどうなのでしょう)。農業形態が変らないことが利益の源になっている企業もあるわけです。それなのに専業農家兼業農家の方達が本当はどう思っているのかが余り聞こえてこないような気がします。
知り合いで農地を貸していた方は、今はお金を払っても借りて耕してくれる人がいないとも。以前は収穫されたお米の一部が貸し賃代わりだったのに、今は田圃を持っていてもお金を出してお米を買わなければならなくなったし、手放そうにも買い手がないとも。勿体無い話、なんとかならないのかと思います。
国会での野党自民党議員さんの首相追及を聞いていると、自民党がもし与党ならTPPは断れない、入ることは前提、ただ、今は野党なので攻撃の為の材料にしているだけ…のような気がします。本当に守るべきものは何で、変えるべきものは何、参加して守ることが出来るのか、参加しないで済むのか、済まないのか、参加しなければならないのなら、国内の備えはどうすればよいのか、そういう議論がこれから間に合うのか、合わないのか・・・こういう議論をさせないで先に結論を決めて遣ってしまう・・・国会軽視、国民不在、やっぱり拙速!