元スイス大使の訴え(4号機と六ヶ所村の破局的危険と「地球倫理」の確立)

いつも貴重な記事を読ませていただいている「原発のない日本を目指して福島から叫びます」(http://blogs.yahoo.co.jp/phkhn641/folder/486442.html)の8日のブログに張り付けてあった記事は、3月22日参院予算委員会公聴会での、元スイス大使で核廃絶のために国際的活動を行っている村田光平氏の発言と質疑応答の記事です。
これはニュースでも見たり読んだりしたことがなかったので、読んでみてビックリしました。
海外から見た日本の原発をめぐる政府の姿勢がいかに恥知らずで自国民の命よりは経済、世界の迷惑よりは当面の原発電気という愚かなもので、世界はそれを呆れているということが分かります。これだけの被害、毎時0.7億ベクレルの放射性物質をいまだ出し続けて、世界の放射能汚染加害者になっているというのに、脱原発に踏み切れないのは「倫理の欠如」だと国会で述べられています。
紹介されているのは「カレイドスコープ」というブログで、タイトルは「原子力独裁者たちが断末魔の叫びを上げる日がやってくる」という6日付の記事です。全文はコチラ:http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-1198.html

カレイドスコープさんの書き出しは:

脱原発に躊躇するというのは倫理の欠如という誹りを免れない


3月22日、参院予算委員会公聴会が開かれました。


福島第一原発の4号機プール、そして敷地内の共用プールに格納・冷却されている使用済み燃料の状況について、国会議員たちに説明されました。


民事・軍事を問わず核廃絶を目指して、国際的な活動を行っている元スイス大使・村田光平氏に、国会議員は深い影響を受けたようです。


私たち日本人の行く末に一条の光が差し込んできたようです。

公述人:村田光平氏(地球システム倫理学会常任理事・元駐スイス大使):

今日、ここに参りますに当たりまして、特に、みなさま方に伝えたいことがございます。

それは、いかに現在、日本、そして世界が危機的状況に直面しているかということであります。
人間社会が受容できない、この原発のもたらしうる惨禍のリスク、これをゼロにしなければならない、と私は福島事故は全世界に想起させつつあると信じております

そして、このような事故を体験しながら、なお脱原発に躊躇するというのは倫理の欠如という誹りを免れないと、私は考えております


特に、この処理方法がいまだに発見されていない核廃棄物、これに象徴されるのは、今の世代の倫理の欠如と言えると思います。

そして、これは人類が緊急に取り組まなければならない課題だと信じております。

そして、この放射能汚染と、これを許すあらゆる行為は、計り知れない害悪を永久に人類と地球に残すものです。

私が出席した2005年のOBサミットは最終文書で、「未来の世代を含む、すべての人の認められる人権」ということで、未来の世代の人権を認めているわけですが、放射能汚染は、まさにそれを蹂躙するものであります。


特に今日、みなさまにお伝えしたいのは、福島4号機の危険な状況でございます。

毎日、日本すべての国民は、余震が起きるたびに怯えております。

この燃料プールが、もし崩壊して、1535本の燃料棒が大気中で燃えだした場合には、果てしない放射能が放出されると。
もちろん、東京は住めなくなるわけです。

この1353本という数字は、実は控えめでございまして、つい数日前、私が発見した数字がございます。

それは、1号から6号、共有のプールがございまして、それは4号機から50メートル離れたところでございますが、そこに、なんと6375本の燃料棒が収められていると、いうことであります。

まさに、この4号機が事故を起こせば、世界の究極の破局の始まりと言えるわけであります。

それにも関わらず、嘆かれるのは、危機感の欠如であります。

この対策として考えられている燃料棒取り出し作業の開始が※来年末以降というのは断じて理解できませんし、放置してはならないと考えております

<使用済み燃料プールから1535本の燃料棒を取り出す作業に取り掛かるのは2013年の12月からの予定>


国の責任が極めて重要だと信じます。

この点に関して、ついにアメリカが動き出したようであります
数日前、入った情報によりますと、この著名な核科学者が中立の評価委員会の設置の提唱を始めました。


これは、元国連職員で、世界中の著名な学者と連携を取っている松村昭雄さんが、米政府の元・上級政策アドバイザーで、使用済み核燃料の第一人者であるボブ・アルバレス氏、他の科学者たちに働きかけたものです


太平洋を越えて、アメリカ西海岸へも放射性プルームが飛んでいき、事実、多くのアメリカ人に重大な健康被害が出ています。

4号機プールが破損でもすれば、本当に北半球が終ってしまうので米政府も、いまだに危機感もなく世界に対しての責任感もない野田政権と日本政府に業を煮やしたのです。
そして上下両院の軍事委員会に、米軍の命の安全のための公聴会を開くように働きかけ出した、ということでございます。


次に日本から世界の究極の破局をもたらし得るものとして指摘できるのは、六ヶ所村の再処理工場であります。

この六ヶ所村の再処理工場(が、いかに危険か)につきましては、1977年の1月15日、毎日新聞が記事を書いております。

これによりますと、ケルンの原子炉安全研究所の発表では、極秘レポートでありますが、西ドイツの人口の半分、3050万人が死ぬであろうという報告であります。(記事写真アリ)



そして、この再処理工場の恐ろしさは、実はヨーロッパでもシェルブールの停電事件としてグーグル検索で、すぐ出てまいりますが、欧州全土を滅ぼしうるものだったと言われております。


シェルブールの停電事件
1980年人類絶滅寸前の事故があった − ラ・アーグ再処理工場事故

これは、20年以上前に出版された広瀬隆氏の東京に原発を! (集英社文庫)の本の一部抜粋です。

1980年、タイトルどおりの事故が、フランスのシェルブール近くのラ・アーグ再処理工場で起きそうになりました。
事故が起きていたら、下の世界地図のとおり、ほぼ北半球のみならず、南半球まで致死量の放射能に襲われるという非常事態。
(図、あり)

さらに、2011年12月1日の、アレバ社は、アレバ社・ラ・アーグ(La Hague)の核・放射性廃棄物再処理工場は、「放射能による危険性は無い(いつもの言い回し)」という「レベル1の事故」があったことをマスコミに公開したのです。(動画あり)
まさに、ヨーロッパの抱える時限爆弾です。


日本のラ・アーグは、青森県下北半島六ヶ所村です。
羊頭狗肉 使用済み核燃料 再利用の行方は その2 ラ・アーグ 六ヶ所村

この再処理工場の危険性を、私は内外に伝えておりましたところ、先週、欧州の代表的な環境学者、エルンスト・フォン・ワイゼッカー教授から、その伝えを正式に指示するという連絡が入っております。

この日本は、福島事故を経験しまして、民事・軍事双方の核使用の犠牲国となったわけでありますが、悲しいかな、今や世界的規模の放射能汚染の加害国にもなってしまっています。


毎日、毎時1億ベクレル近い放射能が出ているということも、さきほど東電で確認いたしました。毎時0.7億ベクレルでございますが、おびただしい放射能がでているわけでございます。

これを聞くにつけ、私はメキシコの原油流出事故が止まらないときに戦慄したのを覚えております。

まさに原油ならぬ放射能が同じような状況に置かれているということであります。


私は、福島を経験した日本は、民事・軍事を問わない真の核廃絶を世界に伝える歴史的責務を担っていると信じております

そして、私が今まで、あちこちで講演する際、この主張に対して異論を唱える人は皆無でありました。


そして、私はこのような危機的状況、そして福島では、まさに、事故当初、作業員の全面撤退が考えられていた。
もし、その全面撤退が行われていれば、確実に世界の究極の破局の第一歩が始まっていたわけであります。

このような認識が世界に正確に伝わるならば、脱原発というものが非常に早い時期に世界的に実現し得るし、また、そうしなければ今の危機的状況を回避できないと、そのように私は信じております。



核を推進する国に対する最大の貢献は、その国を核の恐ろしさに目を向けさせること

私は、そういう中で、ひとつの希望を与えてくれるものは、お配りした資料に書いてあります「天地の摂理」であります。

天地の摂理は人類と地球を守る、これが悠久の歴史から導き出される歴史の法則であると。

しかし、そのためには惨い警告を与えてきました。

私は、1年半前、バーゼルの核戦争防止会議で、
「次の大惨事は核惨事である。
もし、これが起これば究極の破局につながりかねないので、人類の英知を導入して、これを未然に防ごう」
という呼びかけを行いました。

残念ながら事故は起きてしまいました。



そうした中で、この日本の事故の経験から、ほとばしり出る声は、ますます国際社会の心ある人からの支援の対象になりつつあります。

具体的事例を申しますと、一月ほど前、マハティール元首相(マレーシア第4代首相)から私に対しまして、いかに脱原発というものが正しいかと、マレーシアは、核技術−人類がまだ把握していない技術−を、断固拒否したという主旨の手紙を受け取っております。

それから福島の事故の教訓のひとつとして、これからは新しい文明作りを始めなければならないということでございますが、この新しい文明の突破口となるのが、地球倫理の確立である、ということで、国連倫理サミットの開催と言うのを呼びかけているのでございますが、これに対しまして、今月に入りまして、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長から、私に手紙がありました。

そして、加盟国が国連総会にこの議題を提出すれば、喜んで支持するという手紙をくださいました。


そして、アメリカのルース大使を通じまして、私たちがやっているこの国連倫理サミット、それから今の文明を、力の父性文明から和の母性文明に変えると、こういう努力はオバマ大統領の提唱した「核兵器なきビジョン」が、そのために力をあわせていくことがいかに大事であるかということを想起させるものであるとして、私に感謝の意を表明する手紙を下さっております。


そして、この核廃絶、真の核廃絶、民事・軍事を問わない核廃絶、これは福島事故を契機に具体的な動機になってきましてた。それは、何と言えば、日本は、もし核廃絶が実現せず、中国がおびただしい数の原発を造る場合には、黄砂だけでも被害者は出てしまいます。

これは、なんとしてでも防がなければならないわけであります。


それから福島事故で、もうひとつ立証されたことは、いかに原発は核テロが容易であるかと、水と電気を止めればいいと。

そして、防護されていない冷却燃料プール、これさえ襲えばいいと。

そういう事実を世界に知らせてしまったということで、保有国に取りましても、核廃絶は重要な、実質的な動機を与えられたということでございます


そして、私は今までの経験から、核を進めようとしているフランス、インド、アメリカ等が、このような核廃絶を求める運動に対して、理解を示めしていると。
中国でさえ、天津科技大学が私に名誉教授の称号を与えました。

それからフランスは、昨年の国際会議に、私を招いてくれましたし、アメリカは、先ほどのルース大使の書簡がありますし、インド前石油大臣は、私にエールを送ってきております。
パチャウリIPCC議長も、しかりであります。



このように私は、核を推進する国に対する最大の貢献は、その国を核の恐ろしさに目を向けさせること、これこそ、こういった国々に対する最大の貢献であると、そのような信念のもとに活動を続けております。

そして、特にこの際、みなさま、福島4号機の危機的状況、再処理工場の恐ろしさ、こういったものについて、ぜひ必要な危機意識を持って、これからその対処に、急いで、緊急に、もっと国が責任を持って、対処、対応できるような体制づくりに、ぜひご尽力いただきたいと思います。
以上であります。 (色字、太字、大きさは by 蛙)

資料動画や各党の議員の質疑と応答も掲載されていますので、詳しくはカレイドスコープさんのブログで是非。