「チェルノブイリの少年たち」

独立系通信社「ジャパンプレス」のジャーナリスト、山本美香(45)さんが20日にシリア北部のアレッポ付近で取材中に死亡したというニュース。最前線の危険な仕事は大きな会社は手を出さず、下請けのフリーの方たちがというのは原発事故収束の現場と同じかな〜と思いました。それにしても、女性ならではの取材を通して世界に戦争の実態を訴えていこうというジャーナリスト魂は崇高です。山本さんの平和への願いが生かされるようにと願っています。
昨夜は珍しい人から電話。時々私のブログを覘いてくれている遠方のSさん。何事かと思ったら「書いてないけど関心ないの〜?」と。竹島尖閣問題です。
愛国心旺盛な彼女のこと。韓国大統領の竹島上陸と天皇についての発言に、ご本人「切れた!」とのこと。
「関心、あるよ〜。書くとしたら安達峯一郎の応訴義務に絡めて書きたいと思っていた」と言うと、Sさんも良く知っていて、「オランダの…」「そう、ハーグの国際司法裁判所の。領土問題が国際紛争の種。戦争ではなく平和的な解決をめざして、小国が司法に訴えても裁判に応じない大国に、訴えに応じる義務『応訴義務』を課すことに尽力、当時、母国日本は帝国主義に踏み出していてこれを拒否、その後も孤立主義で国連を脱退し、という歴史。応訴義務は今も国益の壁に阻まれているという…歴史って皮肉だな〜と思って。」(参照:蛙ブログ2009年4月12日「プロジェクトJPPAN」プロローグ『戦争と平和の150年』http://d.hatena.ne.jp/cangael/20090412/1239498494
想像以上に冷めてる?私にガッカリだったかも。「ナショナリズムの発火点は低いから気を付けないと。こちらは大人になって冷静に対応しないと戦争になったら負けるし」というと「負ける!」と、ここは一致でした。それから、原発事故の話やオリンピックの話、彼女の趣味のピアノや英語の話などをして、途中電話が入ったということでお仕舞になりました。久しぶりのSさんでしたが、相変わらず好奇心も愛国心も旺盛でした。「ブログの意見はともかく、よく書くね」って感じでしたので、「私はそうは思わない」を書いてよ、とお願いしたのですが・・・。
さて、今日の本題。
1987年に書かれた「ドキュメント・ノベル」と銘打った「チェルノブイリの少年たち」という本を読みました。著者は広瀬隆。出版社は「太郎次郎社」となっています。チェルノブイリ原発事故直後の逃避行を描いています。山の会の女性から夫が借りた本です。同じ方に借りた「原発ジプシー」(堀江邦夫著・1979年)も読みました。
内容は、事故処理のために原発事故現場に戻って亡くなった夫と、死の灰を浴びて亡くなっていく子どもたち、離れ離れになった子供を必死に探し出そうとする残された母親が描かれています。当時のソ連が、事故そのもの、亡くなった子どもたち、人々を隠そうとしたことも描かれています。

 悲惨な大事故はすでに起こってしまい、一刻も猶予が許されないところまで、現実が先行している。子どもたちが口にしている食べ物には、チェルノブイリの死の灰が、この大事故発生前の楽に数百倍から一千倍以上も含まれている。


 これが、ダイオキシンであれば、人間の直観にすぐ触れるだろう。ところが死の灰について、多くの人は騙され続けてきた。原子力発電もまた原水爆の秘密技術に属するため、過去四十年以上にわたってウソの安全PRが全世界で徹底しておこなわれたからである。


 地球全土に、ほぼ四百基の原子炉が建設され、すでに取り返しのつかない量の死の灰が生産されてしまった。これが、チェルノブイリのような形で大事故を起こすか、それとも廃棄物という名前で呼ばれる管理不能の危険物として人類を死滅させるか、誰にも的確な予測ができない。つまり、いずれかを待っているわけである

これが書かれたのが1987年、出版は88年です。(私にとっても)失われた25年です。
25年間も何も考えないで来たこと、まさに「待っていた」末が、3・12につながっている気がします。
その間、ドイツでは脱原発の運動が続けられ、昨年のメルケル首相の決断に至っています。
●●お薦め動画です。「shuueiのメモ」さんの「電力会社を追い出した町」(http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20120819/1345318813
2012.4/30放映.時任三郎 エネルギーの旅 ドイツ。「南ドイツの小さな町シェーナウ。人口はわずか2500人。
シェーナウの住人は、自分たちの力で電力供給会社をつくってしまった」という痛快な内容、もちろん実話です。
●●●もう一つのおススメ記事:「先進ドイツから 脱原発の英知 在独30年の通訳士 高田さん」(http://d.hatena.ne.jp/eirene/
[eirene's memories]さんの8月21日の記事です。 (写真は19日の鞍掛山の登山道)