日経の22日(水)夕刊一面の左肩に討論型世論調査の結果と意見公募(パブコメ)の結果の記事が載りました。
<討論型世論調査の結果>
▲2030年時点の原子力発電への依存度でゼロを支持する参加者が討論を通じて33%→47%に増えた。
▲一方で一定の原発比率が必要と見る割合は合計で3割近くあり、あまり変わらなかった。
<パブリックコメント(意見公募約7000件)の結果>
▲「即時の原発ゼロ」を求める意見が全体の81%に上った。
「政府は30年の原発比率で3つの選択肢(0,15、20〜25%)を示し、15%を軸に検討してきた。『冷静に議論すれば原子力の必要性が理解される』との期待もあっただけに、討論型世論調査の結果を『誤算だった』(経済産業省幹部)と受け止める声もでている。」
討論型世論調査は3段階に分け、
1:7月7〜22日にかけて無作為に選ばれた6849人を対象に世論調査
2:8月4日から2日間の討論会に参加した285人が討論前に回答
3:討論後に回答ーーの要領で実施した。
最初の世論調査で原発ゼロのシナリオを支持した割合は全体の32.6%。これが討論前の段階では41.1%となり、討論後に46.7%に高まった。原発比率15%シナリオを支持する割合は16.8%→18.2%→15.4%。 20〜25%シナリオの支持者の割合は13.0%→13.3%→13.0%とほぼ同率で推移した。
原発比率の判断材料で「安全の確保」を最も重視すると答えた比率は一連の調査を通じて上昇した。企業への負担増や経済競争力の低下は議論の中心になっていない。
政府は8月末をメドにエネルギー政策を決める方針だったが、9月にずれ込みそうだ。民主党は政権公約含みで提言をまとめる方針。政府内には衆院選を見据えて原発ゼロに踏み込んだ政策になるとの観測も出ている。
同じく日経の昨日の朝刊5面の囲み記事では「脱原発巡り閣僚にズレ」と題した記事が。
それによると、古川元久国家戦略相は21日の記者会見で「原発に依存しない社会を作っていく」と述べた。一方、細野豪志環境相は「原子力がない世界が望ましいとの思いを持っている」と語ったうえで、東電福島第1原発の廃炉に30〜40年かかることから「技術者の確保も極めて重要」と述べた。中東情勢の不安定さや原油価格の高騰を念頭に「化石燃料への過度な依存について真剣に考えるべきだ」とも付け加えた。「閣僚から脱原発を意識した声が出始めたのは、次期衆院戦を視野にこうした民意を無視できないとの心理が働いているためとみられる。」
今朝の日経朝刊でも、昨日の首相が反原発団体と面会した写真付きの<「原発ゼロ」の扱い焦点/エネルギー政策 意識調査でそろう」>という記事では、なぜ「ゼロ」の回答が多かったのか、時期が短かったから積極的に意見を寄せたゼロが突出した可能性があるとか、討論会ではゼロの発言が多くて雰囲気に流されたからとか書いた後で、「政府が9月にも決める中長期のエネルギー政策は民主党の政権公約になる見通し。次期衆院選をにらみ『原発ゼロ』を求める世論を意識せざるを得ず、現実的な政策論議が後回しになる可能性もある。 政府内には『政策としてどう具現化するかは選挙結果次第』(経産省幹部)との声もある」と、”困ったもんだ”という調子です。
「先延ばし」は、国民がますます冷静に原発の危険性を理解することになるので、先延ばしすればするほど脱原発の方向は明確になってくると思いますが、「選挙」が大事になってきます。
原発維持推進の国会議員は落とす、脱原発を掲げる候補者を当選させる、ということが「選挙」で出来るでしょうか。日本人にとって義理人情の「選挙」は別物という事情が変化しているか? 原発を焦点に変えることができるか? 立地地域の方たちが未来志向になることが出来るか? 大きな問題です。 (写真、上はマタタビの実、下は登ってきた鞍掛山)