フジバカマと手放した着物

昨日、今日と、和ダンスの着物を整理して妹に段ボール箱二箱分を送りました。
先ほど、二箱目の箱詰めを終えて宅急便にして出してきたところです。
以前から、ほとんど手を通さず、これからも着ることがないだろう着物で埋まっている和ダンスの上半分を整理したいと思っていました。私は男の子が二人なので、残された息子たちが処分に困るだろうし、いつか片づけなければと思っていました。
今年は、ガスの床暖工事で食器類を少し片づけたし、ついでに着物もと思って思い切ったのですが、なんとも切なく哀しい思いに我ながら戸惑っています。きっと、スッキリしたとサバサバできると思ったのですが、違いました。
所有欲かしら…と思いましたが、どうも違います。女にとって着物は日本の女の子の夢であり思い出であり、憧れであり、懐かしさであり・・・だったのだと今頃しみじみ思っています。
着ることのない着物でも、時々開けてみて手で触って、そして着るときの胸のときめきやざわめきを噛みしめる。そして、また着る機会なく仕舞ってしまう。若い時に着物を着たときのことを思い出したり、二男の小学校の卒業式には、落ち着いた柿色の無地の着物を知り合いの方に仕立てて戴いて、絵羽織を着て出かけたっけ。あれ以来、着物を着る機会はなくなってしまいました。一度も袖を通したことのない着物や羽織もあります。
結婚する前、母に拵えてもらった着物や、特に母から譲り受けた着物は、中高校生だった頃、豊中から呉服屋さんが来て、8畳間につづらからたくさんの反物を出して、コロコロ広げて見せてくれたものです。私は、いつもその呉服屋さんが来られると、畳に座り込んで見物したものです。あれやこれやと薦められて、母もいいわね〜、すてきね〜、なんて言いつつ、最後は買わずに目のお正月とかいって、呉服屋さんが広げた反物を素早く両手で巻き取る手際の良さがまた見事で感心して見とれたものです。
断捨離とは、こういう思い出の懐かしい手ざわりや、ヒョットして又いつ何時袖を通す機会が来ないとも限らないという夢を絶つことなのですね。切ないな〜と感じるのは、そういうことなのですね〜。理屈ではこれで良かった、いつかやらなければいけないし、と思いつつ、段ボールを閉じるときには少し感傷的な思いがして、我ながら思いがけなかったです。
さて、お米屋さんで宅急便を預けた帰り、先日「アンデスの花嫁」を見に寄って下さったSさんのお宅にお花見に寄ってこようとそのまま自転車を走らせました。丁度玄関先に出ておられたので良かったです。ミニヒマワリが咲いていて、20度の気温があれば咲くので種を取って育てると仰っていました。いつも家のそばの駐車場にご主人と二人で土づくりから熱心にされていたので、我が家と違っていつもどの植物も葉っぱが美味しそうなくらい健康に育っています。
その駐車場に車がなく、鉢植えの説明を受けながら一番奥に。これは**といって、切り花にいいの、と言われました。そして、「実はね主人亡くなったの」。本当にビックリしました。「いつ〜?」「連休明け」「今年?」「そう」「急だったの?」「うう〜〜ん、もう5年、ガンだった」。
ご主人とはお話したことはなかったのですが趣味で写真をやっていると言われて作品を市の展覧会で見たこともありました。「それで、お供えの花がいるので、切り花用の花を育てているの。今頃、淋しくなってきた」と仰るので、「それは、淋しいわね〜。家は一人?」「うう〜〜ん、50近い娘が二人」「そう〜。でも、淋しくなくっていいじゃない」と。そういうこともあって、あの日、ピンポン鳴らしてきて下さったのか〜、解らないものです。玄関に回って、「アンデスの乙女」の鉢や珍しい草花の鉢を沢山見せて戴いて、「じゃ〜ね〜。また来てね〜」と帰ってきました。
お昼のニュースで沖縄にオスプレイが着陸する映像が。尾翼に赤い色がついているのは隊長機だという説明でした。日本の思いは踏みにじられるし、日本政府のやる気のなさは情けないほどです。
NHK土曜ドラマ吉田茂「負けて、勝つ」の4回目(今週最終回)を見ていて、あの時点で急いで無理矢理「独立」しようとしたことが良かったのかしら、と思ったり。結局、アメリカの基地を日本に置いたまま、それも日本の側から頼み込んでのような卑屈な・・・(ドラマ自体は脚本が素晴らしく、謙さんの吉田茂も回を重ねるほどにそれらしくなって)・・・少なくとも、「真の独立」ではなかったのに、意識の上では「独立」してしまったと錯覚した日本人を大量に生んでしまった元を作ったのが吉田茂総理大臣でしたね。
ところで、2年前に見学した朝香邸の車寄せの玄関が何度も映ります。
朝香邸は当時外務・首相公邸だった時期があります。(10年11/06「アールデコの館」)
(写真は、やっと咲き出したフジバカマ(藤袴)。いつ見ても何とも不思議な花です。蕾が開くと糸くずが踊り出すような・・・)