CSIS・アーミテージ&ナイ両氏の対日戦略は?


先日ブログのお仲間さんの「keniti3545の日記」さんのブログ(http://d.hatena.ne.jp/keniti3545/20121027/1351340143)でCSISアーミテージ・ナイ両氏が取り上げられていたのを見て、”そう、そう”と新聞の束を探して27日の新聞を取っておきました。
日本経済新聞社戦略国際問題研究所CSIS)共催のシンポジウムの記事は毎回見開き2面を使ってデカデカ載りますので、いつも注目しているのですが、今回(第9回)はスルーでした。大事な時期の「アメリカの意志」を知るには欠かせないはずと改めて気づかせていただきました。で、内容が重なりますが、遅ればせながら取り上げたいと思います。

まず、左頁右写真の下の「参加者の顔ぶれ」+発言(太字は新聞見出し,あとは適当に発言内容から)

カート・キャンベル米国務次官補:「基調講演」近く米大統領選挙があるが米国は超党派でアジアに関与する。米国がアジアで効果的に行動するには日本との強力な関係が必要。TPP より広範な内容へ。日中の良好な関係は米国の国益だ。


マイケル・グリーンCSIS上級副所長:(司会)米国の戦略は中国封じ込めではなく、中国をルールを尊重するパートナーにしたい。米国は軍事力を超え、アジア外交多角的に、環太平洋経済連携協定[TPP]交渉もその一環


ジョン・ハムレ米CSIS所長:同盟の価値 改めて共有


リチャード・アーミテージ元米国務副長官:日中対立 解決に時間



ジョセフ・ナイハーバード大学教授:尖閣は安保の範囲内


前原誠司・国家戦略相:日米同盟はアジア太平洋地域の安定のための公共財であり、繁栄のための基盤だが、注意が必要なのが沖縄の問題だ。TPP参加協議推進


林芳正・元防衛相:安全保障に影響する経済リスクに備えよ


・薮中三十二・元外務事務次官中国がルール守る体制に


北岡伸一政策研究大学院大学教授:国家安全保障会議NSC) 創設を


玄葉光一郎・外相:日本は世界の成長センターであるアジア太平洋地域のルール作りへの責任を果たし続ける。集団的自衛権について強い問題意識を持っている。尖閣」沈静化へ冷静に対応


石破茂自民党幹事長:日本国憲法は「軍隊の規定と緊急事態条項」の2点を欠いていて独立国家の憲法として体を為していない。次の衆院選で「国家安全保障基本法」を提示して集団的自衛権の行使を可能にする。日本も海兵隊を持つべき

今までのこのシンポの結果を見ていますと、 アーミテージ、ナイ氏の発言がアメリカの対日政策かつ圧力と見て間違いないようですので、「両氏日米関係を語る」の所から端折りながら:
▽両氏は22〜23日の訪中時、日本政府による沖縄県尖閣諸島の国有化に反発する中国政府に対し「尖閣諸島への侵略や威嚇があれば、米国は中立ではなく、対抗する」と中国側に伝えたことを明らかにした。
アーミテージ氏は指導部交代を控える中国の国内政治事情が絡み「日中対立は短期的には解決しない」との見通しを示した。
▽ナイ氏は米国の立場は「安定した(日米中)の三角形の関係を維持することだ」、「普天間基地の移設問題などで漂流する日米関係を正したい」としたうえで、対話を通じた日中関係の改善を求めた。
両氏が8月に日米同盟に関する新たな報告書をまとめた中で、「日本が引き続き一流の国家にとどまり、集団安全保障や通商などの分野で一段の貢献を果たすべきだ」と提言した。
▽日本の自主核武装の道は「地域情勢を不安定」にするとして、日米同盟強化を優先すべきと強調した。
憲法9条に絡む日本の集団的自衛権の行使の是非には、「憲法改正ではなく、解釈による対応の方がコストが小さい」(ナイ氏)という意見で会場でも圧倒的だった。
▽ナイ氏は「一流の国家から転落してほしくない」とTPP(環太平洋経済連携協定)交渉への早期参加を促した参加の利点として「東南アジア諸国に対しリーダーシップを発揮できる」「米国とカナダから天然ガスの供給保証を得られる」などを挙げた。
▼▼野田佳彦政権が打ち出した2030年代までに原発稼働ゼロを目指す方針には「受け入れがたい」と両氏とも口をそろえた。
ナイ氏は「立地を慎重にし、安全基準を確立することが原発事故の教訓だ」と指摘。
アーミテージ氏も「経済力の強い日本には原発が必要だ」と述べ、「再生可能エネルギー(への転換)がもくろみ通りに行っていない中、原発を放棄して自らの手足を縛る必要があるのか」と政府の方針に疑問を投げかけた。
原発建設に力を入れる新興国を念頭に、日本の原子力技術の重要性にも言及。中国も日本の原子力専門家を必要としていると指摘し原発の維持が日本の国益にかなうとの見方を示した。
▽▽原発に関する聴衆の意見としては、経済活動への影響を限定的にとどめ長期的に緩やかに脱原発を目指すべきだとの主張が目立った。
聴衆は「耐用年数を経過した原発から運用を順次停止しながら、経済大国の地位を維持する」との見方を支持。一方「野田政権が脱原発を国際社会で主導し、再生可能エネルギーへの転換を積極的に促すべきだ」との問いには、賛成意見が半分に満たなかった。
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以上が右頁の新聞記事のまとめからです。
「日本の国益にかなうかどうかは、日本人が自分で決めたい」と大多数の日本人は思っていると思います。
アーミテージ、ナイ両氏の発言を政策に掲げる党あるいは政治家は「どこ、だれ?」と今後の政治を見ていくと面白いと思います。