小泉さんの脱原発とIAEA天野事務局長


◎昨日の「keniti3545」さんのブログ、<「東日本大震災」「311フクシマ」955日 今日の一題「機は熟したりどうした脱原発連合(?)」>(http://d.hatena.ne.jp/keniti3545/20131020/1382254780)で、あの原発推進の旗振り役の読売新聞が社説で小泉元首相の脱原発を批判したというのを知りました。お得意のワンフレーズの紹介もあります。
朝のモーニングバードではまさにこの件を取り上げて、その後小泉氏が社説に対して真っ向から反論する紀行文を載せ、同時にその際批判を併記するという異常事態。コメンテーターの方は、読売新聞が神経質になっているのは、それだけ小泉氏の脱原発の影響力が大きいと心配しているのだろうと。
◎先日、IAEAを取り上げた時、「天野事務局長の精力的な動きについては別に」と書いたので、天野氏の動きを追って見ました。検索して出てきた項目を並べてみます。

● 9月9日(月)IAEA、汚染水漏れは緊急課題 廃炉作業検証で今秋に調査団

 【ウィーン共同】国際原子力機関IAEA)の定例理事会が9日開会し、天野事務局長は冒頭演説で、福島第1原発の汚染水漏れについて「緊急に取り組む必要のある課題」と強調した。また、廃炉作業を検証する2回目の調査団を今秋、日本に派遣すると述べた。理事会の日程は5日間。IAEA加盟国の間では汚染水漏れに対する懸念が強い。日本はこの日の理事会で、凍土遮水壁の設置や政府の対策を説明した。

京都新聞http://www.kyoto-np.co.jp/environment/article/20131007000096

IAEA福井県が協力
原子力分野で人材育成


(写真は、人材育成に向けての覚書に調印するIAEA天野之弥事務局長(左)と福井県の西川一誠知事=7日午後、福井県庁)
国際原子力機関IAEA)の天野之弥事務局長は7日、福井県の西川一誠知事と県庁で会談し、原子力関連の人材育成に向けて相互協力するとの覚書を締結した。

 IAEA福井県は、県内の原発放射線利用施設を利用して国内外の若い技術者らの研修を実施する。IAEAは県内で国際会議も主催。県は、放射性物質のモニタリングなど原発安全管理に関わる分野や、放射線医療分野での技術支援を見込む。

 天野氏は会談で、電力需要増に対応するためアジアを中心に原発導入が増加傾向にあり、医療分野の放射線利用も増えると指摘。人材育成での協力の必要性を強調した。(共同通信)

●上の京都新聞(共同)と同じ内容をBLOGOSの田中隆作氏の記事によると:(引用元:http://blogos.com/article/71301/

 世界原子力マフィアの頂点に立つIAEA天野之弥事務局長が今日(10/7)、福井県を訪れ、西川一誠知事との間で覚書を締結した。筆者とIWJの原祐介氏は記者クラブではないが、正面突破で調印式場となった知事室に入れた。

 「福井県における原子力発電や放射線利用施設の専門知識や経験を有する人材を活かし、世界の原子力の平和的で安全な利用のため必要となる人材を支援、育成する」というのが覚書の趣旨だ。

 事業としては「IAEA主催の研修や国際会議の開催」「IAEAの制度等による研修生・研究者の受け入れ」などがある。

 趣旨、事業ともになんとも抽象的だ。要は福井県に15基もある原発施設を活かして世界の原発利用をもっと進めよう、ということだろうか。 


実際、天野事務局長は西川知事に向かって次のように語りかけた―

 「福島の事故後、IAEA総会で“原子力の安全のための共同計画”を採択した。世界中の原発を見て回ったが、安全性はかなり向上した。ドイツをはじめ一部の国々が“原発はやめよう”ということになったが、世界を見回すとかなりの国々が、原発なしではやってゆけない」。 
IAEAの見通しだと2035年には(原発は)低く見積もって2割、多く見積もって9割増加している。地球温暖化防止のためにも経済競争力を増加させていくためにも安定した電力の供給が不可欠だ」。

 驚くばかりのセールストークである。スリーマイル(1979年)、チェルノブイリ(1987年)、福島(2011年)と32年間で3回(平均で10年に1回)も事故を起こした原発を天野事務局長は褒めちぎった。 


原発銀座の固定化につながる」として覚書に反対する住民は、福井県に抗議の申し入れをした。覚書の内容が事前に県民に知らされなかったことにも、住民たちは反発を強めた。電源地域振興課の西岡務・課長補佐が対応した。

 「調印する前に県民に諮るべきだ。我々は県民ですよ」「研究機関ではないIAEAとどうして調印するのか?」……厳しい質問が飛んだが、西岡課長補佐は「ご意見は承りました」としか答えなかった。


 覚書は、トラブル続きで建設から40年を経ても、1Wの実用発電もしていない「もんじゅ」の延命を意図しているのではないか。こうした見方が住民の間にはある。IAEA主催による「高速増殖炉の研修」と言ってしまえばそれまでだからだ高速増殖炉の実験は米国から押し付けられたとの説もある。

 調印後のぶら下がり記者会見で、記者団から「再稼働をめぐって賛否両論あるなか、IAEAとの間で覚書に踏み切った理由はなにか?」と質問された西川知事は次のように答えた―

 「以前からエネルギー研究開発拠点化計画があり、その考えに沿って進んでいる。今回IAEAとの間で改めて協定を結んで研修内容を充実させてゆく…」

 原発推進派の知事らしいコメントと言えばそれまでだが、10年に1度の割合で起きる原発事故への対策は二の次のようだ。

●10月9日、天野国原子力機関(IAEA)事務局長が茂木大臣を訪問し、会談を行いました。会談では、福島第一原発の汚染水対策等での協力について重要性を確認するとともに、その強化の方向性について話し合いました。
●本9日午後2時05分から約20分間,岸田文雄外務大臣は,外務省において,天野之弥国際原子力機関IAEA)事務局長と会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。
1. 岸田大臣より,天野事務局長が,着任以来,北朝鮮やイランの核問題をはじめとする多くの困難な課題に精力的に取り組んできた実績を高く評価しており,二期目に向け,IAEAの取組を引き続き最大限支援していきたい旨述べました。
2. これに対し,天野事務局長より,IAEAの活動に対する日本の支援に謝意を表明するとともに,IAEAとして,原子力の平和的利用の促進のため,核不拡散体制の強化と原子力安全・核セキュリティに関する国際的な取組を今後ともリードしていきたい旨述べました。
3. その後,両者の間で,日本とIAEAとの協力関係全般について意見交換が行われ,日・IAEA間の今後の一層の連携・協力を確認しました。

【参考】 国際原子力機関(International Atomic Energy Agency:IAEA

●天野IAEA事務局長と会談=官房長官(時事通信社

菅義偉官房長官は9日、首相官邸国際原子力機関IAEA)の天野之弥事務局長と会談し、東京電力福島第1原発の汚染水漏れについて「最も緊急性の高い課題だ」と述べ、国の責任で問題を解決する考えを強調した。
天木直人氏はブログでこの件を次のように:(引用元http://www.amakiblog.com/archives/2013/10/10/#002730

 すなわち茂木経済産業相が9日、国際原子力機関IAEA)の天野之弥事務局長と経済産業省内で会談し、東電福島第一原発放射能汚染水漏れの問題の対策について政府として全力を挙げる姿勢を強調した上で、「信頼性の高いモニタリングと情報発信の分野で協力してほしい」として、周辺海域の水質調査の信頼性向上や対外説明などで支援を求めた、という(毎日新聞)記事だ。

 茂木大臣の目的は、もちろん後段の部分にある。

 つまり汚染水問題につい信頼性向上や対外説明などでIAEAは日本を支援してくれと言っているのだ

 これは有体に言えば、汚染水の数値は危険のレベルではないと言ってくれと圧力をかけたということだ

 天野氏は日本政府によってIAEA事務局長に天下りさせてもらった官僚である。

 経済産業省に呼びつけられて大臣から命令されて逆らえるはずがない。

 汚染水問題で進退きわまった安倍政権は、とんでもない不正を行なってまで汚染水問題を誤魔化そうとしているということだ。

 これは世界を欺く、恥ずべき国家犯罪ではないか。

 こんなことがばれたらそれだけで安倍政権は吹っ飛んでしまうだろう・・・

●天野事務局長は10日に東京都内で原子力規制委員会の田中俊一委員長と会談し、IAEAと日本が共同で海洋モニタリングを実施する方針を確認している。調査開始は来年になる見込みだ。

●天野氏は13日に韓国入りした

 韓国を訪問中の国際原子力機関IAEA)の天野之弥事務局長は16日、ソウルの韓国外務省で尹炳世外相と会談した。

 東京電力福島第1原発からの汚染水漏れを理由に日本の水産物の輸入規制を強化した韓国はIAEAや日本政府と共に海洋モニタリングを行いたい意向だ。会談では調査への参加問題のほか、北朝鮮核問題、核セキュリティーが焦点。

◎天野氏は世界の原発推進の最先端にいる方ですので、当然、日本の原発推進環境を整えるための来日であったはずです。原子力ムラの温存に協力し脱原発の力を何とか削ぐためのNHKや民放での発言でした。それをそっくりそのまま流したNHKの役割もまた見えてきますね。
天木直人氏は、「茂木大臣は汚染水の数値は危険のレベルではないと言うように圧力をかけた。 天野氏は日本政府によってIAEA事務局長に天下りさせてもらった官僚だから、経済産業省に呼びつけられて大臣から命令されて逆らえるはずがない」と断定されています。これが本当なら世界に向かって宣言した安倍首相の「アンダーコントロール」を補強する誤魔化し作戦?という大変なことになります。汚染水問題についての天野氏やIAEAの今後も注目です。
(白い花はシュウメイギク秋明菊、母のところのはとっくに咲き出していましたが、サンルーム正面の花がやっと咲きました。その近くにあるオオデマリの葉がきれいに紅葉しています)