「かぐや姫の物語」

金曜日、10時開演の映画「かぐや姫の物語」、夫と自転車を走らせてマーケットパークヴィソラの映画館へ。
よく知っている竹取物語のアニメーション映画化。高畑勲監督といえば「火垂るの墓」です。テレビでは「アルプスの少女ハイジ」もそうでした。可愛い女の子のイメージですが、今回は、意思のしっかりした女の子のかぐや姫です。
キャッチコピーになっている「姫が犯した罪と罰」にはこだわらないで見ました。
落ち着いた色調で描かれた、日本の野草や動物、竹や木々、山里などの自然の描写が美しい。
かぐや姫を授かって育てる、愛情あふれる翁(おきな)と媼(おうな)の優しさがとてもいい。
生れたばかりの赤ちゃんの可愛さ。赤ちゃんが、這い這いから立ち上がるまでの丁寧な描写。
かぐや姫が、ある瞬間、目に見えて大きく育っていく様子が、まるで「竹の子」。
村の子供たちとの楽しくて無邪気な関わり。
この期間の克明な自然と人の描き方、描かれ方が、この映画の魅力の大きな部分でした。

人間はこんなふうに生まれて、こんなふうに大きくなって人になるんだ…と思いました。それは私が、父を通してここ一週間、人はこんなふうにして老いていくんだとつくづく感じた事と対照的でした。

少女から自立した意思を持つ娘へ。村から都へ。時と所を変えて成長するとともに自由への渇望と悩みは深まります。
月の世界と下界である地球。高貴な身分の五人の男たちの求婚と最下層の身分の捨丸との夢のような恋(?)夢の中の二人の飛翔のシーンは見ていて気持ちがよかったです。
そして昔話で知っている結末通り、かぐや姫は月の世界へ連れ戻されます。
わらべ歌とお琴で奏でられる曲が画面によく合っています。
観終わって、なぜか、美智子皇后の人生は複雑という言葉を思い出しました。

 子供達が、自分の中に、しっかりとした根を持つために
 子供達が、喜びと想像の強い翼を持つために
 子供達が、痛みを伴う愛を知るために
 そして、子供達が人生の複雑さに耐え、それぞれに与えられた人生を受け入れて生き、
 やがて一人一人、私共全てのふるさとであるこの地球で、平和の道具となっていくために

◎1998年、インドでの国際児童図書評議会の世界大会での基調講演(ビデオ)の結語の部分より。
 全文はコチラ:http://www17.ocn.ne.jp/~hana2/shiryou/mitiko-kougou_kouen.html
◎写真は、トップの映画館前のポスターを除いて、映像サイトからお借りしました。