比良山系 武奈ヶ岳 西南陵
来年の話をすると鬼が笑うんだったら、今年になって昨年の話をすると鬼が泣く？ 昨年の30日（月）、夫が日帰りの比良山行に参加するというので、私は一人で朝一番9時20分上映の「永遠のゼロ」を見に出かけることに。年内やり残して年を越すのは嫌だったので、思い切って、隣りの母に”3人でのコーヒータイムは午後から…”と出がけにお願いして運動兼ねて歩いて出掛けました。
昨年は宮崎駿監督引退記念の「風立ちぬ」がゼロ戦を設計した方を主人公にした映画でしたが、「永遠のゼロ」は2006年に出版された原作があり、それを映画化したものですし、原作者の百田氏が安倍政権にすり寄る発言（「たかじんそこまで言って委員会」で
現場を見ました）でか？、NHKの経営委員会のメンバーになったりしているのを知っているだけに、見るには勇気？がいりました。ブログ仲間の方に「岡田准一君お目当てに見るよ」と約束？していましたが、本の感想はずいぶん前にどなたかのブログで読んでいましたし、日経新聞の映画評でも好評でしたので、”見てもいいかな”と後押ししてもらいました。
特攻隊員のゼロ戦パイロット宮部久蔵を岡田准一、妻松乃を井上真央。孫の健太郎に若手俳優三浦春馬。その姉には吹石一恵。二人の母親=久蔵の娘に風吹じゅん。再婚相手に夏八木勲=二人の祖父にもあたる。夏八木さんの遺作となっていますが、昨年夏に見た「そして父になる」での父親役に次いで今回は祖父役です。
物語は、祖母松乃の死をきっかけに実の祖父のことを調べ出した姉に手伝わされた春馬くんが特攻で死んだ祖父の最後を知る人たちを訪ね歩きながら、戦争当時が描かれ、過去と現在を複雑に絡ませながら、「家族のもとに必ず帰る」と言い、実際、当時を知る仲間から「海軍一の臆病者」とまで言われるほど死を避けていた祖父が、最後には特攻でそれも米艦船めがけて突っ込んで行くような死に方を何故したのか、謎解きのサスペンスがあります。
当時の青年とその後の老人の二つの世代が、この物語を通して、戦争とは特攻作戦とは、生きるとは、死ぬとはを考えていく（考えさせる）構成になっています。俳優たちもそれぞれ若手とベテランが配役されています。染谷将太（NHKのドキュメンタリーでラバウルの朽ちたゼロ戦を訪ねていました）＝夏八木勲、三浦貴大（三浦友和と山口百恵の子）＝山本学、荒井浩文=田中泯、濱田岳＝ 橋爪功。さすが70代のベテランたちの演技には迫力がありますし、若い世代の青年たちの初々しさも際立ちます。こうして戦争の物語が受け継がれるのを観客の私たちも見ながら受け継いでいることになります。後半は涙が…両隣りの皆さん（男性でした）そんな感じです。監督は「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの山崎貴監督。
久蔵が松乃に誓った”生きて帰る”が、こうやって実現されているということを松乃さんが最後の手紙を託された染谷に向かって言います。染谷くん以外にも久蔵の意を汲んで人知れず松乃と娘を救った人が居て、それが誰であったか、観客には解っているという…このあたりも心憎い構成になっています。久蔵の生きることへの執念を『生きろ』というメッセージとして受け取った仲間によって家族のもとに届けられるということになります。（小説は読んでいませんが）映画のこのメッセージは、私の中で宮崎駿監督の「風立ちぬ」の「いざ生きめやも（堀辰雄）＝生きろ」に重なりました。
映画の中では、現代の青年健太郎を合コン？に誘った若者に、「ゼロ戦の特攻隊って洗脳されたテロでしょ」と言わせたり、「自爆目的の特攻作戦を考える時点で戦争には負けている」というセリフがあったり、先の大戦の失敗を考える上でのハッとするような言葉がありますが…小説を書いた百田氏自身の言動を知っているだけに、裏切られた思いも強いです。そのあたりを、本の感想を書いたブログ（昨年7月）で見つけた言葉を引用すると：
ところが。この文章を書いた後、百田氏の「従軍慰安婦」の発言を知って愕然としました。これだけ戦争を勉強されても「ネット右翼」のような発言をされるのは困ったことです。「過去の日本人を美化する為」の『永遠の０』だとしたら残念です。その軽々しい発言から（ちょっと天狗になってない？）所詮は流行放送作家なのか、と思わざるを得ないのです。（放送作家の方々、他意はございません。）
一句！ 百田氏に 梯子はずされ 宙返り ……おそまつ。
（引用元：http://webneo.org/archives/10312）
原作者の百田尚樹氏や、31日にこの映画を観た安倍首相のことは忘れて、映画を観ることをお勧めします。好天の山行でご機嫌で帰った夫に大晦日、この映画の鑑賞を勧めました。
●パブコメを出そう！（締切1月6日）
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620213015&Mode=0
