「日米関係、三つの段階」「(孫崎氏プレゼン・そもそも総研12/31)

◎そろそろ越年の宿題に取り掛からないと、と先週、暮の31日(火)に録画した「そもそも総研」(テレ朝「モーニングバード」)大晦日特別番組「2013総決算ライブ」を見ました。「元外交官が生激論! 日米関係は今のままでよいのか?」という内容です。激論するのは、日本はアメリカに従属していると説く孫崎享氏と、日米関係は最重要と説く宮家邦彦氏、経歴はともに外務省出身です。


予定されていたタイトルの「今のままで良いのか?」というところまで話が行き着かない感じですが、日米関係の戦後史を4段階に分けて、3つまでを歴史認識とし、第4段階の今を現状認識として、まず孫崎氏から問題提起があり、宮家氏が反論するという形で進められました。
「生激論!」という触れ込みでしたが、見てみると、孫崎氏の圧倒的勝利!? 迫力が違います。ご自分の主張の正しさに確信を持っていることから来る迫力なのでしょうか。両者の違いを聞きたいと思って身構えて?いた私は、拍子抜けというか、もっと宮家さんの主張・反論を聞きたいと思ったのですが、何とも自信なさげで、もごもごと仰るのが・・・・・・・ところが、メモで読み直してみると、言いたいことは手元の書いたものを見ながらですが仰っている。これは目と耳のテレビと文字との違いですね。
いつもの「そもそも」は木曜ですが、特番で出席している月曜コメンテーターの石原良純さんが、見かねてか? 頑張って発言していましたが、これは面白かったです。孫崎さんに食って掛かって(憎めないのが持ち味ですね)「そんなこと言ったってアメリカがそう言うんでしょう〜?」 アメリカが言ったら黙って従わないといけない、のが「従属」ってことですよね。
それでは、いつものように私なりの書き起こしスタートです。孫崎氏の戦後の第3段階までのプレゼンから始まります。
<第1段階 戦後〜1950年代まで>
孫崎:アメリカの目的は「日本を二度と戦争の出来ない国」にすること、特に経済的に。占領時代にアメリカとの連絡折衝をされた事務局長を務めた鈴木氏が著した36巻の外務省日本外交史に書かれている。「日本をフィリピン以下にして、二度と戦争出来ない国に」と。 以下根拠資料。

宮家:イラク戦争後、サダム・フセイン後、そういうことがあった。歴史的にはよくあること。
<第2段階 1950年〜80年代半ばまで>
孫崎:「日本をアメリカの軍事基地に」時代は冷戦時代に入り日本の基地を使うことが一番大きな目標に。ジョン・フォスター・ダレスが「望むだけの軍隊を望むところに望む期間と言った。サンフランシスコ講和条約以前となり主権の問題が出てきた。 以下根拠資料

宮家:日米安保だけが世界唯一の安保じゃない。NATO条約もあり、ヨーロッパにも世界に駐留している。これ自体、間違いでもないし日本だけの問題でもないグローバルな問題。
孫崎:重要な事実があるドイツは、1993年にこの協定を改定している。2つのポイント説明したい。1つは、施設利用及び訓練の実施に置いてはドイツ法が適用される。2、基地の返還についてはドイツ側の利益が上回る場合はドイツの返還要求に従う。ここでいう「利益」とは、ドイツの非軍事の分野のことで、都市計画とか農業とか経済の利益が軍隊を置くよりも上回る時、ドイツはこれを返してくれて言い、アメリカがそれを飲むということを条約で決めている。日米安保にはない
宮家:日米地位協定には犯罪人の引き渡しとか、国内法の問題についても、決してNATO地位協定どころか、ある部分では先に進んでいて、ある意味もっとも世界で進んでいる協定です。地位協定の中に日米合同委員会があって、2週間に一回かな、我々も出ましたが、毎回そのような問題が生ずれば日米間で議論をして場合によっては日米合同委員会の合意と言う形で直していく。そういう意味で地位協定が1951年もしくは60年に出来た時から全然変わっていないが、実は、日米地位協定と言うのは合同委員会のもとで逐次改定されていると言っていい。
玉川:ちょっと先に進みましょうか。
<第3段階 1980年代〜現在まで>
「米軍の費用の一部を日本の負担で(思いやり予算のスタート)」
孫崎:重要なポイントは米軍というのは基本的に米国の利益のために存在するという前提なので費用はアメリカが持つという大前提がある。これは日米地位協定にある。ところが、日本のGDPが世界2位に(1968年)。そもそもは日本が負担するという話ではなかったが日本の力が付くにつれて日本のお金も使って基地の方に回そうとなった。特に人件費が円が強くなって増えた。金丸さんが、その分日本が思いやり負担するということを防衛庁長官の時にやった。
思いやり予算」って? 基本的には日本が出す条約上の義務がないんだけど米国の負担が大きくなるので、そこを思いやって義務じゃないがお金をあげましょうが「思いやり」です。
宮家:「思いやり」と言うのは地位協定の枠内で出しているものを思いやりと言うので、何度も改訂してきて問題ない。日本の関係とNATOの関係とどこが違うかと言うと、NATOでは相互に防衛義務があるわけです。日本の場合は日本だけが防衛されて、(アメリカを守る)義務がない。権利と義務のバランスを取るために経済的な支援をするのは問題ない。
玉川キャスター:是非聞きたいのが、バランスっていうと、じゃ、沖縄の人たちが非常な基地負担で苦しんでいるんだけど、基地の提供しているだけでバランス取れないのかなぁと思うんですが、(コメンテーターの皆さん)疑問、どーぞ。
石原良純:第1期は当然。第2期は朝鮮戦争があった時期で、共産主義の脅威があったので合致していた。
宮家:問題は第3期、アメリカの財政が悪化してきて肩代わりと言うのは世界的で、同盟国に支援してほしいのは、韓国にもで日本だけではない
石原:93年にドイツが見直ししたというのはロシア崩壊があるので、日本とは立場が違うでしょ。
孫崎:93年の当時、日本の一番の脅威はロシアだったから、ロシア崩壊による平和の配当はヨーロッパにはあった(蛙:冷戦の雪解けの恩恵)が、(その恩恵が)日本にあっても良かった。
石原:日本はロシアより中国を抱えた部分では欧州と同じようにならない。
孫崎:それはそうです。
玉川:じゃ、ここまでで、次どーぞ。

XXX:今の流れを成程と思ったとして、それにしても思いやり予算の額が増大している。あまりにも大きいと思うけど世界的に見てどうなんですか?
孫崎:数字を見るとドイツの方がアメリカの経費の30%弱。日本はこれに対して80%弱でしたから。外務省に駐米して次官をされていた村田と言う方がいるんですが、この人は日本はやり過ぎ、ドイツ並みにという主張をされている。
これは非常に大事な問題今、なぜ米国(軍)が日本にいるかというと、日本に居れば80%くらいをタダでもらえる。だからアメリカに置くより日本に置いた方が良いという風に、純粋に安全保障でない理由で、日本に駐在するということが出てきている。(つづく)