「解釈改憲は2012年の第3次アーミテージレポートの要望」とNHKにジョセフ・ナイ氏登場!

「日々坦々」さんの15日のブログを下書きしていました。タイトルに書いた内容だったのですが、NHKのニュースウオッチ9でジョセフ・ナイ氏が録画出演、そこにアーミテージレポートが出てきたのには驚きました。まずは「日々坦々」さんのブログからです。

タイトルは「驕れる自公政権は久しからず…猛き池田教もついには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ!」と長いもの。平家物語の冒頭部分を滋賀県知事選の結果に当てはめて始まります。選挙は、「今月1日に憲法解釈変更の閣議決定され集団的自衛権の行使容認が選挙戦に大きく響いた形だ」として、三日月氏の当選は、「憲法で放棄を高らかに謳われている戦争に参画出来る機会を与える、いわば戦後最大の重要問題を国務大臣18人だけの『閣議決定』だけで憲法解釈の変更をしてしまった事に、多くの国民は反発したといっていい」としています。そして、これは、日米ガイドラインにさかのぼるアーミテージレポート(2012年)ですでに要望されていたことだと。以下引用です:(引用元:http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-2322.html

自民党の歴代政権が堅持してきた集団的自衛権行使は憲法がそれを禁止しているとの解釈を、安倍政権が強引に変更した背景には、17年ぶりに改訂される日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)に集団的自衛権の行使を反映させることがアメリカからの至上命令であり、それを実行することが安倍政権に課された最大の課題となっているからである。


現在、アメリカを訪問している小野寺防衛大臣は、ヘーゲル国防長官に集団的自衛権の行使についての閣議決定を説明し、日米防衛協力のガイドライン見直しに反映させることで一致(朝日)とのことだ。


これは、既に2012年の「第3次アーミテージレポート」から要望されている事でもあった。

民主党タカ派で、前原誠司議員と共に「集団的自衛権行使」容認派である長島昭久議員が次のようにツイートしている。

長島昭久 ✔ @nagashima21
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2001年に月刊誌『論座』8月号に寄稿した拙稿「日米同盟に設計図はあるか「集団的自衛権論議のための指針」が、今回の閣議決定とおよそ同じ内容。以下、ご参考まで。
http://www.nagashima21.net/media/2003/asahi_ron0108.html

その長島氏が寄稿した『論座』8月号≪日米同盟に設計図はあるか「集団的自衛権論議のための指針≫には次のような文言がある。<<アーミテージ報告書は…日本との協力では「集団的自衛権をめぐる制約が障害になっている」との認識を示したのである。>>


この第3次アーミテージレポートは岩上安身氏率いるIWJが邦訳してくれている。この中で集団的自衛権に関して直接言及している箇所を抜粋させていただく。

■【号外】第3次アーミテージレポート邦訳全文掲載! ※公開記事

(岩上安身のIWJ特報!2013-02-04)

集団的自衛の禁止
3つの危機から成る3.11とトモダチ作戦は、米国と日本の軍事展開に興味深い皮肉を提示した。3.11は外部の脅威に対する防衛の問題ではなかった為、自衛隊と米軍が集団的自衛の禁止に注意を払うことなく対応したという点である。米国の軍艦は、緊急事態に対応して北海道の陸上自衛隊を東北に移動させた。両国軍は、軍事的及び市民的な組織が災害救助と支援活動を行った、仙台での作業上の鍵となる飛行場を設ける活動に従事した。これらの努力が北東アジア地域の回復への条件を生み出した。トモダチ作戦時の憲法第9条の大まかな解釈に加えて、日本と米国は、他のいくつかの国々と協力してエデン湾での海賊行為と戦っている。日本はインド洋における極めて重要な海賊行為撲滅の任務に参加するために法的問題を再解釈している。しかし皮肉なことに、日本の利害の保護を必要とする最も深刻な条件の下で、我々の軍隊は日本の集団的防衛を法的に禁じられている。

日本の集団的防衛の禁止に関する改変は、その矛盾をはっきりと示すことになるだろう。政策の変更は、統一した指揮ではなく、軍事的により積極的な日本を、もしくは平和憲法の改正を求めるべきである集団的自衛の禁止は同盟の障害である。3.11は、我々2つの軍が必要な時にいかに軍事力を最大限に活用できるかを証明した。平和時、緊張、危機、及び戦争時の防衛範囲を通して完全な協力で対応することを我々の軍に許可することは責任ある権限行動であろう。

アメリカから秘密保護法に関しても、特に軍事面での法整備を要望していることからわかるように、歴代の自民党政権は、このような要望書をもとに重要政策が執行されてきた側面がある事は自民党が実現させようという主な政策と、米国からの要望が一致していることからよくわかる。

拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる (文春新書)

拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる (文春新書)

このようなアメリカからの要望に応えようと焦り、数にモノをいわせた強引な政権運営のツケが滋賀県知事選に結果として表れ、これに福島、沖縄での知事選をもし安倍政権が落とすような事になれば、目に見えて衰退していくのは確実である。

◎ここまで書いた時点でNHKの夜9時のニュース。何というタイミング!! 大越キャスターがジョセフ・ナイ氏とインタビューです。

ここで、2012年のアーミテージレポート(*INSS=アメリカの国家戦略研究所レポート)が出てきます。レポートが指摘・要望してきた課題であった憲法上の制約に風穴を開けた安倍首相に早速お祝いメッセージを送るとともに、米国の極東アジア政策の邪魔をするなと歴史認識問題で事を荒立てて日中間にこれ以上波風立たすことの無いようにと注文です。ジョセイフ・ナイ氏もアーミテージ氏もジャパンハンドラーと言われる大物。だいたいこの人たちの意見通りの日米関係になってきました。
大越キャスターの「阿部首相の決断をどう評価するか?」には、「日本防衛のため、同盟関係の中で米国と協力できるよう集団的自衛権を構築することは正しい方向への第一歩だ」。ただし、ここでNHKはタイトルを「知日派の忠告」と入れます。そして、「外交は過度のナショナリズムに陥らないことも非常に重要」と答えた後で、「ジョセフ・ナイ氏は元クリントン政権で国防次官補をつとめ、アーミテージ元国務副長官らと日米同盟強化について政策提言をした対日政策の理論的支柱」と紹介(↑ここでトップの写真が出ます)。
大越氏の「日本が集団的自衛権行使すると米国にどんなメリットがあるのか?」には、ナイ氏は「不測の事態が起こった場合手続きが整わず行動を起こせないのは困る。日米両国にとって非常に良い」。
大越:「必要最小限度の集団的自衛権行使については?」にナイ氏は「極めて限定的だと思う。たとえばウクライナで米国がソ連と戦争になっても日本が巻き込まれることはない。」
日中関係」と「日本外交」についてのナイ氏の要求は、「靖国や歴史問題に関する日本の声明は日本にとってマイナスであってもプラスにはならない。来年は第2次世界大戦終結70周年を迎え中国は歴史問題を再燃させる。中国が歴史問題を対日批判の道具にしているのを忘れてはイケナイ。日本は慎重に対応して罠にはまっていけない。」そしてナイ氏は最後に、「米日中の良好な三角関係を望んでいる。ただしこの三角は正三角形ではない。日本と米国は同盟関係なんだから、そんなに疑わなくてもよい(焼きもちやかなくてもいい…みたいな言い方?)」ということです。
いつもならこの人(たち)を通してアメリカの意向を伝える日経新聞が大々的に取り上げる人物が、この時点でNHKに登場とは!?! 要は、せっかく日米同盟の新たな一歩をやっと踏み出した今、過度なナショナリズムは控えるようにと釘をさしたわけです。そのまま有難く伝える大越氏は安倍放送局のキャスターから今度は一転、アメリカのスポークスマンに見えました。
(*INSS=Institute for National Strategic Studies)