今朝の新聞で知るアメリカの”苦悩”と対日圧力

(金曜デモに次いで二つ目の記事です)


日本の動きですら毎月、毎日、目まぐるしい動きですが、世界もまた輪をかけて…というこの頃です。8月1日、72時間のガザの停戦がうまくいきません。すでに死者は1500人を超えたとか。イスラエル軍は兵士60人以上が死亡とか。人の命に軽重の差があるとは思えません。皆殺しまでやる気でしょうかイスラエルは。

まず新聞の内容から。
イスラエルによるパレスチナ自治区への激しい攻撃を巡り、欧米でイスラエルの世論が強まっている。欧州では歴史的経緯から反ユダヤ的な言動はタブー視されてきたが、アラブ圏からの移民らがガザ支援を訴えている。米政府内ではイスラエルを擁護するのは厳しいという声が出始めた。」
写真は7月26日(金)のパリ。「イスラエルのデモが予定される中、フランス当局は一部を禁止する異例の措置に踏み切った。それでも当局の制止を振り切って一万人程度が町に出て一部は警官隊と衝突。数十人が拘束された。南部マルセイユなどでも数万人がイスラエルを非難。ロンドンベルリンでも数千〜数万人規模のデモがあった。」記事の後半は:

 オバマ米政権はイスラエルとの間合いに悩む。
到底容認できず、まったくかばいようがない」。アーネスト米大統領報道官は7月31日の記者会見で、ガザで国連が避難所として開放していた学校へ砲撃したのは「イスラエル軍だった」と明言。米政府が学校砲撃を巡りイスラエルを名指しで非難したのは初めてだ。
 一方、国防総省イスラエル国防省の要請を受け米軍の弾薬を供与すると発表。「イスラエルの自衛能力の維持は米国の国益にも重要だ」と指摘した。
 米政府内で友好国イスラエルへの空気が変化したが、批判一辺倒というわけでもない。
 ユダヤ人国家のイスラエルと米国の結びつきは強い。人口の2%程度に過ぎないユダヤ系米国人は、献金などを通じて米政治へ強い影響力を保つ。11月には中間選挙を控え、ユダヤ系の対応は選挙戦も左右する公算が大きい。オバマ大統領がイスラエルに「停戦」を求めるにとどめている背景にも政治事情がある。
 ただ世論も無視できない。米テレビでは連日、パレスチナ人の子供が死亡し、親が悲嘆にくれる場面が映し出されている。 人権重視のオバマ政権が「沈黙」から停戦の仲介や批判に動かざるを得なくなった一因だ。
 国防総省イスラエルに弾薬を渡し、ホワイトハウス高官はイスラエルを批判。オバマ氏は「停戦」を求める立場にとどめる。微妙な役割分担に政権の苦悩がにじむ。

アメリカが国内のユダヤ系に気兼ねしてイスラエルにはっきりした態度をとれない。そのアメリカが弱い立場にある日本に圧力をかけているのが日露関係です。記事後半から:

ウクライナ東部でのマレーシア航空機の撃墜を機に高まるロシア批判を背に包囲網を一気に狭めたい米国。犠牲者を多く出したEUでも対ロ強硬論が強まっているのを受け、日本政府内には「この状況でプーチン氏の訪日を実現させるのは困難」(外務省幹部)との見方が強まってきた。
 政府関係者は「日ロ両政府が合意する形で当面延期するのも選択肢だ」と漏らす。米国のメンツを立てつつ、ロシアとの対話のパイプを繋ぐ苦肉の策だ。
 政府は資産凍結などのロシアへの追加制裁を5日にも閣議了解するが、ロシアは「2国間関係全般に深刻な打撃を与えることは避けられない」と日本の制裁への批判を強めている。
 北方領土交渉の進展を目指す日本の足元を見て牽制球を投げ、G7の連携にくさびを打つ狙いが透ける。
 プーチン氏来日の前提となるはずの岸田外相の訪ロ日程は固まっていない。日本の対ロ外交は苦しい判断を迫られている。(ワシントン=吉田直也)


◎どこの国にも悩みはありますね。アメリカの対イスラエルの外交は米国民の世論が決定権を持っているようにも思えます。オバマ大統領が無視できないほどの世論があればオバマ大統領も決断しやすくなりますね。ただ、圧倒的な世論があったとしても2%のユダヤ系圧力に屈するか、決めるのは大統領ですが。
日本の場合、強い立場のアメリカの圧力に屈しないで自主的な判断で外交をするには、憲法とか世論の動向とかが盾になるはず。その憲法を投げ捨てて、アメリカのお先棒を担ぐような政権に、世論を背景に日本独自の外交(北方領土だけでなく、平和や人権についても)をする気はないのでしょうね。それでも、黙っていては言いなりですので、国民は黙っていてはイケナイと思います。そう、そう、丸山真男氏によると、民主主義とはそういうものだそうです。