写真は8月30日(土)の日経朝刊社会面の記事です。
国連からクレームと言えば、8月24日のブログで国連の人種差別撤廃委員会から沖縄の米軍基地に関する政策をめぐって、名護市辺野古の基地建設では「地元の同意を得ること」とか「政策に地元住民を参加させること」という指摘を受けたことを取り上げました。
今回はまた同じ人種差別撤廃委員会からヘイトスピーチ規制勧告です。
これはすでに何回か注意されていますので、改善されていないことへの警告に当たるものと思います。(記事の続きでは)
ヘイトスピーチに関わった個人や組織の訴追(3)ヘイトスピーチや憎悪を広めた政治家や公務員の処罰ーなどを勧告した。
慰安婦問題については、日本政府による実態の認識や被害者への謝罪、補償が不十分であることの懸念を表明。その上で(1)元慰安婦の人権侵害調査、侵害に関与した責任者の処罰(2)元慰安婦に対する真摯な謝罪、全ての被害者とその家族への十分な補償(3)慰安婦問題を否定する試みの糾弾ーを求めた。
今の安倍政権は現憲法を尊重する姿勢はありませんし、人権とか民主主義とか立憲主義とかへの理解がありません。そこで、どうなるかというと、30日の「日本がアブナイ!」さんによりますと、自民党の対策委員会ではヘイトスピーチと金曜デモなどを同列に置いて一緒に規制する方向を打ち出しています。「ヘイトスピーチ対策の自民党プロジェクトチーム(PT)初会合では、出席者から「(思想の)右、左を問わず、騒音を規制すべきだ」との意見が出た。(共同通信14年8月28日)』
秘密保護法の時に石破氏は「デモはテロと同じ」とブログで発言しました。市民の意思表示のデモ(示威行動)も、高市早苗政調会長は「仕事にならない状況がある。仕事ができる環境を確保しなければいけない。批判を恐れず、議論を進める」と述べたそうです。
◎「日本がアブナイ!」さんのコチラでも:「国会前のデモとヘイトスピーチを同一視する自民党&批判者とサヨク排除を目指す超保守派」(http://mewrun7.exblog.jp/22342311/)
◎さて高市早苗氏には騒音にしか聞こえない市民の権利であるデモ・集会。30日の土曜日は8・30再稼働反対国会前大集会がありました。毎週金曜の官邸前再稼働反対デモに参加してルポをして下さる「特別な1日」さんの報告です。高市さん、一度「仕事」をやめてデモの皆さんの主張に耳を傾けるかプラカードを一つ一つ読んで、その「仕事」に活かしてほしいものです。
昨日のブログのタイトルは:<軍事マニアVSネトウヨ』と『原発の安全対策コスト』&川内原発再稼働やめろ! 0830再稼働反対★国会前大集会>
◎「軍事マニア対ネトウヨ」って誰と誰のこと?分りますよね。ところで、ヘイトスピーチとの関連は:
今日も含め度々、集会が行われてきた国会前は10月から2年間、工事が行われるそうだ。どう考えても嫌がらせとしか思えない。誰かがスピーチで『きっと2年後は安倍政権も倒れて、こんな抗議はしなくて済むようになるでしょう』と言ってたが、そうなればいいな。そういえば国連で日本のヘイトスピーチ対策への批判を受けたそうだが、自民党はどさくさまぎれに官邸前抗議を規制したいようだ。
東京新聞:自民 国会デモ規制検討 ヘイトスピーチ 街宣対策に併せ:政治(TOKYO Web:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014082802000256.html)
普通に抗議の声を挙げるのとヘイトスピーチのような下等なものと一緒にされるのは実に腹立たしいが、自民党はこの官邸前抗議が本当に嫌なんだろう。人数は一時期より一ケタ減っているとは言え、毎週1000人単位で抗議が行われて海外へも発信される。あれだけの大事故をなかったことにしようとしている連中にとっては、原発に反対する声があること自体が困るのだろう。
★是非、全文(「原発の安全対策コスト」も納得の内容です)をコチラで:(http://d.hatena.ne.jp/SPYBOY/20140830/1409401003)
◎30日の「生き生き箕面通信」さんは、<安倍という男の根っ子も、ヘイトスピーチの根っ子も同じ歴史修正主義>でこの問題を歴史修正主義の問題としてとらえています。
恥ずかしいのは、国連の委員会から指摘されたからだけではありません。日本政府は「何か悪いことでもしましたか?」という程度の受け止め方で、まだまだこの状況が続きそうだからです。おそらく安倍政権のような政治体制が続くかぎり、根本的に是正されることはほぼ永久にないのでしょう。
安倍という男が進める政治の根幹には、ヘイトスピーチのネットにあるものとほとんど全く同じと言えます。その根っこにあるものは、いわゆる「歴史修正主義」といわれるものです。人権を尊重することが理解できない歴史修正主義です。
歴史修正主義とは、ウイキペディアから引用すると、「従来の歴史観と違う歴史観を主張する者に対して『客観的な歴史学の成果を無視し、自らに都合の良い過去は誇張や捏造したり、都合の悪い過去は過小評価や抹消したりして、自らのイデオロギーに従うように過去に関する記述を修正するものである』として批判する場合に用いられる言葉」とあります。
要するに歴史を捻じ曲げようとする所業です。
(引用元:http://blog.goo.ne.jp/ikiikimt/e/c8371969d5a0b376d2b34a3f76b2e495
◎左の写真は同じく土曜日の日経の国際面です。インド首相の会見が大きく取り上げられ<日印『防衛協力格上げを>と題されています。
安倍首相がインドとの関係を重視するのは中国封じ込め?に陸続きのインドを重要視していることもあると思いますが、2007年と昨年のインド訪問の際に東京裁判で被告全員を無罪としたパール判事の遺族との面会を果たしています。以下2007年、第一次安倍首相のインド訪問時の産経新聞です。
首相、東京裁判のパール判事長男と面会
【コルカタ=杉本康士】インド訪問中の安倍晋三首相は23日午前(日本時間同日午後)いわざわざコルカタ市を訪れ、コルカタ市内のホテルで、極東国際軍事裁判(東京裁判)で判事を務めた故パール判事の長男、プロシャント・パール氏と面会し、東京裁判で被告全員の無罪を主張したパール判事の業績をたたえた。パール判事は東京裁判に対する意見書で、戦勝国が事後法により敗戦国を裁くことに疑問を提起し、原爆投下を批判した人物。首相は冒頭、「お父さまは今でも多くの日本人の尊敬を集めている。日印関係の基礎を築かれた一人だ。パール判事のご遺志は日印関係を発展させることだったと思う。今日、日印関係は大変強化されている」と語りかけた。
プロシャント氏は、昭和41年に父親とともに日本を訪れ、安倍首相の祖父である岸信介元首相と面会したことに触れ「岸氏に会う機会を得てから長い期間が過ぎた」と振り返り、岸氏と一緒に収まったモノクロ写真を贈った。「安倍首相が、岸氏と同様に日印関係の発展に尽くされると確信している」と伝えると、首相も「関係発展に全力を尽くしたい」と応じた。
安倍首相は、東京裁判で有罪判決を受けたいわゆる「A級戦犯」について、国会答弁で「国内法的に、戦争犯罪人ではない」と明言している。首相には今回の面会を通じ、A級戦犯の合祀(ごうし)を理由に首相の靖国神社参拝を批判する中国とはまったく異なるインドの対応を際立たせることで、アジアには多様な歴史認識が存在することを浮き彫りにする狙いもあった。
首相は、先の大戦で日本とともに戦った「インド独立の英雄」であるチャンドラ・ボースの記念館なども視察した。
◎これがアメリカの不興を買って第一次安倍内閣は短命に終わったという見方もあるそうですが、そうだとすると、ここから安倍首相が学んだのは、自分の歴史認識を改めることではなくて、アメリカの言いなりになる方向で国民を、民主主義を、犠牲にすることだったのでは・・・?
その結果が今の辺野古であり、オスプレイであり、秘密保護法であり、集団的自衛権行使容認なのでは・・・。
◆「shuueiのメモ」さんより:
首相、A級戦犯ら法要に哀悼メッセージ「祖国の礎に」(27日付朝日新聞)
安倍晋三首相が4月、A級、BC級戦犯として処刑された元日本軍人の追悼法要に自民党総裁名で哀悼メッセージを書面で送っていたことが朝日新聞の調べで分かった。連合国による裁判を「報復」と位置づけ、処刑された全員を「昭和殉難者」として慰霊する法要で、首相は「自らの魂を賭して祖国の礎となられた」と伝えていた。
メッセージを送ったのは高野山真言宗の奥の院(和歌山県高野町)にある「昭和殉難者法務死追悼碑」の法要。元将校らが立ち上げた「追悼碑を守る会」と、陸軍士官学校や防衛大のOBで作る「近畿偕行会」が共催で毎年春に営んでいる。
追悼碑は連合国による戦犯処罰を「歴史上世界に例を見ない過酷で報復的裁判」とし、戦犯の名誉回復と追悼を目的に1994年に建立。戦犯として処刑されたり、収容所内で病死や自殺をしたりした計約1180人の名前が刻まれている。靖国神社に合祀(ごうし)される東条英機元首相らA級戦犯14人も含む。
◆「日本がアブナイ!」さん、8月28日
<安倍が戦犯追悼法要にメッセージ〜首相の思想&国内外への誤ったメッセージに要注意>(http://mewrun7.exblog.jp/22336839/)
◎新聞記事の国連委員会勧告の後半、慰安婦問題については改めて。
<花の写真は上が秋海棠(シュウカイドウ)、下は洋花の秋海棠に当たるベゴニア・センパフローレンス>