大阪市長と「カジノについて」(内田樹氏)


◎先週の月曜日、橋下大阪市長在特会の話し合いがありました。公開ということでしたが、30分の予定が10分以内で決裂でした。「お前」と「あんた」の応酬で、品のないやり取りに終始。「在特会」の正体みたり、でした。
「☆句の無限遠点☆」さんのブログ、翌日のテーマ「仁義なき内ゲバ−維新の会橋下徹在特会高田誠」でしたが、在特会の会長さんは桜井だったような…。コチラで:http://d.hatena.ne.jp/haigujin/20141021/1413856919
在特会に劣らずの橋下市長、電話で批判が相次いだそうです。それを受けて、「選挙で落とせばいい」と言った、と今朝、母から聞きました。”選挙で当選すれば何ををやってもいい、何を言ってもいい。ダメだと思うんなら選挙で落とせ”というのは、子どもの言い分ですね。橋下市長の民主主義の理解はこの程度なんですね〜。で、その市長が一生懸命なのがカジノ誘致。安倍さんも一生懸命のようです。お金を稼げれば何をやってもいい。お金にならないものは何百年続いた古典芸能であろうが失ってもいい。人間の品格、都市や国家の品格はどうでもいいんでしょうか…そんな大阪、そんな日本になってほしくありません。
◎「内田樹の研究室」でカジノについて内田先生がハッキリ言って下さっています。


カジノについて


朝日新聞カジノ法案についての意見を聴かれましたので、こんなことをお話ししました。
2014年10月21日の朝刊に掲載されたものです。 


<前略>


 ――安倍晋三首相は、シンガポールでカジノを視察して、日本の経済成長に資すると発言しました。経済を活性化する良策ではないですか。  
「賭博は何も生み出しません。何も価値あるものを作り出さない。借金しても、家族を犠牲にしても、人から金を盗んででも、それを『する』人が増えるほど胴元の収益は増える。一獲千金の夢に迷って市民生活ができなくなる人間が増えるほど儲かるというビジネスモデルです。不幸になる人々が増えるほど収益が上がるビジネスである以上、そのビジネスで受益する人たちは『賭博に淫して身を滅ぼす人』が増大することを祈ることを止められない。国民が不幸になることで受益するビジネスを国が率先して行うという発想が、僕には信じられません」


 ――しかし観光振興の起爆剤になり、自治体財政にも寄与する可能性はある。デメリットを上回るメリットがあるとは考えられませんか。  


安倍政権の経済政策は武器輸出三原則の見直し、原発再稼働などいかに効率的に金を稼ぐかにしか興味がない。でも、当然ながらリスクが高いほど金は儲かる。一番儲かるのは戦争と麻薬です。人倫に逆らうビジネスほど金になる。でも、いくら金が欲しくても、あまり『はしたないこと』はできない。その節度が為政者には求められる。その『さじ加減』については先人の経験知に謙虚に学ぶべきですが、安倍政権には節度も謙虚さも何も感じられません」

 「為政者の本務は『経世済民』、世を治め、民を済うことです。首相は営利企業の経営者じゃないし、国家は金儲けのためにあるんじゃない福島の原発事故対策、震災復興、沖縄の基地問題の解決の方がはるかに優先順位の高い国民的課題でしょう。厳しい現実に目を背け、なぜ金儲けの話ばかりするのか」

<中略>


 ――私たちは政治とどう向き合ったらいいのでしょう。  

民主制のもとでは、失政は誰のせいにもできません。民主制より金が大事という判断を下して安倍政権を支持した人たちは、その責任をとるほかない。もちろん、どれほど安倍政権が失政を重ねても、支持者は『反政府的な勢力』が安倍さんのめざしていた『正しい政策』の実現を妨害したから、こんなことになった。責任は妨害した連中にあるというような言い訳を用意することでしょう。そんな人たちに理屈を言って聞かせるのはほとんど徒労ですけれど、それでも『金より大切なものがある。それは民の安寧である』ということは、飽きるほど言い続ける必要があります」

◎全文はコチラで:http://blog.tatsuru.com/2014/10/21_0853.php