安倍政権の教育批判(NYタイムズ)と道徳の教科書に曽野綾子氏登場


先日偶々見た国会中継が安倍首相の感情丸出しの朝日ねつ造攻撃でした。例の「撃ち方やめ」発言で、朝日他、毎日、讀賣、日経、産経、共同通信が同じように伝えているのに、朝日だけを取り上げて、得意げに「ねつ造」と呼び、「それは、朝日が安倍政権を倒したいからだ」とか。被害妄想の精神状態でもなければこんな言いがかりを一国の首相が言う事?と呆れてしまいました。夕方の民放番組の解説でも、「あれこれ行き詰って感情的になっての事でしょう」と。情けないことです。
○海外のニュースを翻訳して紹介しているブログ、「星の金貨プロジェクト」(10/20 )さんから、安倍政権と教育についてニューヨークタイムズの記事です。こうまで書かれると安倍政権も長くはない…と思うのが常識でしょうね、日本では。そういうこともあっての感情むき出し?なのかも。

【 安倍政権の教育現場への介入が生む混乱と困惑 】


マイケル・フィッツパトリック / ニューヨークタイムズ 2014年10月12日



日本の教育現場では国際感覚に優れた人材の育成が求められる一方で、同時に国家主義的教育の実施も要求され、教育政策の立案現場には困惑が生じています。
日本では『愛国的教育』の実践への圧力が強まる中、教科書の内容を書き換える作業が進められ、近隣諸国の不興を買っています。
しかし日本では同時に、大学の国際競争力を高めるためその国際化と広く門戸を開く取り組みが行われています。


「教育方針に関する日本の右傾化と、大学の国際化を図ろうとするその取り組みの間には明らかな矛盾が存在します。」
日本の政治を専門に研究しているボストン大学のトーマス・バーガー教授がこう語りました。
「日本が教科書検定基準を改め、記述内容を変えようとしていることは、アジア地区における緊張を高めることにつながっています。そして日本国内では近隣諸国の研究を行なおうという意欲を削ぎ、国外では日本に留学しようと考える学生の減少につながっているのです。」
バーガー教授はこう続けました。


「日本の教育方針はここに来て行き詰っています。経済的にも政治的にも国際的感覚を養成する強い必要性があるにもかかわらず、日本は実際には教育をその逆の方向に動かそうとしてきました。」


民主党が政権を握っていた間の失われた時間を取り戻そうとでもするように、日本の保守勢力は昨年末に安倍政権の誕生によって再び権力の座に座ると、まずは第二次世界大戦当時の日本の事歴について反省的な姿勢を捨てることに着手しました。

そして歴史教科書の重要な記述である、第二次世界大戦当時の日本軍の侵略行為は『愛国的』行動という表現に変えられてしまいました。

安倍政権は右翼的な見方を学校の教育方針に強引に持ち込もうとしているという批判が高まっています。
新しい教科書検定基準で認可された教科書では、中国の南京大虐殺の犠牲者の数を減らし、さらには虐殺では無く単に『事件』という表現に変えられました。
こうした変更に対しては若干の抵抗もありましたが、全国の教育委員会は概ねこの変更を受け入れました。


新しい教科書を採用する最初の教育委員会のひとつは日本で二番目に大きな市、横浜市教育委員会でした。
しかし日本では同じ保守勢力がその内向きな教育制度を国際化するための取り組みが同時進行させています。
安倍首相は国内の10の大学あるいは研究機関が世界のトップ100の中に入ることを望んでいると語りました。
現在は世界の最高学府のランキングにおいては、東京大学京都大学だけがトップ100の中に入っています。

政府の計画には外国人教授を迎え入れて教授陣を強化し、大学の施設設備を充実させ、一定の規準の下確立した評価システムを導入することなどが含まれています。

新しい教科書検定基準の採用によりさらなる関係悪化が懸念される、まさにその当事国 – アメリカ合衆国、中国と韓国 – との間で交流を促進しようという動きも見られます。—。
アジアの近隣諸国は、新たな『愛国主義的教育』が日本を平和主義から国家主義体制へと変貌させ、戦争時の残虐行為については曖昧にしてしまう事を恐れています。
そして戦後の日本で長く否定されてきた軍国主義について、その価値感を復活させたとして安倍首相を批難しています。<後略>

★全文はコチラで:http://kobajun.chips.jp/?p=20395


◎「教育」についの記事でしたので、ついでに教科書について。
文科省の「私たちの道徳」中学生版に曽野綾子氏の言葉が掲載されているのだそうです。

「私たちの道徳」で引用されている曽野綾子の言葉


<人生において何が正しいかなんて誰にもわからないのだから、自分の思うとおりに進んで、その結果を他人の責任にしないことが大切ではないかと思う。>


「私たちの道徳」中学生版
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2014/06/23/1344901_2.pdf

◎道徳の教科書には実に多くの人達、古今東西、時代を問わず、老いも若きも、偉人も現役アスリートも含めて、いろんな方たちの「名言」が引用されています。どの方たちもその道で何かを成し遂げた人たちで成程と思いますが、曽野綾子氏に関しては、今は小説家というより人生相談が専門? 教育に関して御夫婦でかなり過激なエリート主義の発言を読んだことがあり、それを探していたのですが、やっと三浦朱門氏の発言として挙げられているの見つけました。(引用元:http://amaebi.net/archives/2136902.html)

曽野綾子
・ 「カラードはカラードと結婚するのが一番幸せ」
・ 「エチオピアの難民は厚顔無恥で感謝を知らない」

三浦朱門
「出来ん者は出来んままで結構、エリート以外は実直な精神だけ持っていてくれればいい」 ・ 「魚屋の息子が官僚になるようなことがあれば本人にも国民にとっても不幸になる」

○「道徳教科化決定記念!安倍政権が指導書にのせた曽野綾子トンデモ発言
http://lite-ra.com/2014/10/post-575.html
◎発言をいろいろ取り上げた後:

 しかし、こうやって発言を読めば読むほど、こんな人物を「誠実」の手本として「道徳」の教科書に載せてしまっていいのか、と心配になる。でも、きっといいのだろう。弱者を叩いて強者に媚びる、自分に甘く他人に厳しい、国家に頼らず自己責任を要求する、女性はよき母親か性の道具でしかなく、社会で活躍するなんて我慢ならない、自分のことを棚に上げて他人に上から説教する……考えてみれば、これ、全部、安倍政権を支持するネトウヨと共通する心性でないか。国民総ネトウヨ化を狙っている(?)安倍政権としては、曽野綾子はまさにうってつけの教材、モデルなのである。

○「曽野綾子「東電に責任はない」「放射線の強い所は、じいさんばあさんを行かせればいい
http://d.hatena.ne.jp/dj19/20110518/p1
○2013/1/24 「教育再生会議メンバー辞めろ」 橋下市長が曽野綾子氏に怒りのツイート

http://www.j-cast.com/2013/01/24162597.html?p=all
○「曽野綾子大批判」(佐高信 山崎行太郎(共著)2014年4月刊行)
http://gekkan-nippon.com/?p=6136
○「権威のコバンザメ三流作家・曽野綾子が「誠実」の見本? 
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/37ca56d896d345dfd56fce7cdab3d2f8

(◎昨日は11月最初の土曜日なので「平家物語」を読む日。午後から中央生涯学習センターの講座室へ。メープルホール前の欅が色づき始めています。終わって、いつもの場所の「菊花展」。大きな菊の花が並んでいます。)