読売新聞の「性奴隷」謝罪と米国2紙の反応


先日、日経を読んでいた夫が、「やってるじゃないか! 讀賣だって朝日のことを批判できるのか!!」と大きな独り言を言っています。
讀賣が謝罪文を出したというニュースです。それも、あんなに批判していた「性奴隷=sex slave」という言葉を、自ら英字新聞で20年以上も前から使い続けていたという事を謝罪して、これからは使いませんという謝罪をしたという記事です。
この件について丁度解説文のような記事を天木直人氏が書いておられます。
産経ニュースの後に天木氏の解説を入れながら順を追って並べてみます。

2014.11.28 11:22更新

デイリー・ヨミウリに「性奴隷」など不適切表現記事97本 読売新聞が朝刊で謝罪記事


 読売新聞社慰安婦問題に関する報道で同社が発行する英字紙「デイリー・ヨミウリ」(現ジャパン・ニューズ)が平成4年2月から25年1月にかけて、「性奴隷」など不適切な表現を97本の記事に使用したとして、28日付読売新聞朝刊に謝罪記事を掲載した。同社の社内調査で判明した。


 謝罪記事によると、慰安婦問題に関する読売新聞の翻訳記事やデイリー・ヨミウリの独自記事で、性奴隷を意味する「sex slave/servitude」を85本使用した。「慰安婦(comfort women)」という表現が関連知識のない外国人読者には理解が難しいため、外国人通信社の記事を参考に「性奴隷となることを強制された慰安婦」などの説明を付け加えたという


 また、性奴隷という言葉は使用していないが、慰安婦を「日本軍によって売春を強制された女性たち」などと定義し、政府・軍の強制を客観的事実かのように記述した記事も12本確認された。5年に発表された河野談話についても、当初は「官憲等が直接これ(慰安婦募集)に加担したことはあった」と訳していたが、単純化し「軍当局による強制連行を認めた」と誤解を招く表現を使用したこともあったという。


 同社は「誤解を招く表現を使ってきた」と謝罪し、記事データベースの該当記事に表現が不適切だったことを記載する方針。該当記事はジャパン・ニューズのウェブサイト(the−japan−news.com)に掲載している。
(引用元:http://www.sankei.com/life/news/141128/lif1411280013-n1.html

◎天木氏の「米国の眼はごまかせなかった読売新聞の慰安婦謝罪記事」より、解説部分を引用すると:(引用元:http://www.amakiblog.com/archives/2014/11/30/#003015

 これは朝日の謝罪のどさくさに紛れて、自らの矛盾をたくみにごまかそうとした謝罪記事である。

 つまり読売新聞は、みずから認めているように、慰安婦の英訳はCONFORT WOMENという表現にしたかったが、この表現では関連知識のない外国人読者には理解困難だったため、外国通信社の記事に倣ってSEX SLAVEなどと安易に書いてしまった。しかしこれでは自ら否定する強制性を認めるようなものだSLAVEとはまさしく強制された奴隷だからだ、だからこの際それを使った事をお詫びして訂正するというのだ。


 これは強制性を否定する右翼の読者に向けられた謝罪と訂正である。


 しかし、こんなごまかしの謝罪と訂正は、読売新聞の読者や、問題意識の希薄な多くの日本国民には通用するかもしれないが、「性奴隷」という言葉を最初に使った米国はもとより、多くの国際社会には通用しない


 慰安婦が「性奴隷」であった事は事実であり、その最も適切な表現であるSEX SLAVE という言葉は、次期米国大統領の最有力とされているヒラリーク・リントン自身が国務長官時代に率先して使っていた言葉であるからだ。
だから SEX SLAVE という表現を撤回して、今後は使わない、とする読売新聞の謝罪記事は、いよいよ読売新聞がその本性をあらわしたか、と警戒されて受け止められた。


 すなわち共同通信が配信し、それをきょう11月30日の産経新聞が報じた。

 米国のワシントンポスト紙やニューヨーク・タイムズ紙らが、この読売「新聞の謝罪記事を次のように警戒心を持って報じた、と。

 (この読売新聞の訂正記事の動きは)「日本の戦争中の歴史を再評価しようという安倍晋三首相が主導する大きな動きの中で起きた」と。


 米国の眼はごまかせなかったということだ。

 墓穴を掘るとはこのことだ

 またひとつ、安倍首相とその応援紙である読売新聞は、米国の不信感を高める事をしてしまった(了)

◎そのアメリカの2紙の反応を産経ニュースが報じています。

2014.11.29 15:11更新

「性奴隷」謝罪に米紙関心 読売英字紙の慰安婦報道…「安倍主導の中起きた」「中韓刺激は確実」


 米紙ワシントン・ポスト電子版は28日、慰安婦問題をめぐり、英字紙「デイリー・ヨミウリ」(現ジャパン・ニューズ)の記事に「性奴隷」を意味する単語など不適切な表現があったとして同紙を発行する読売新聞が謝罪記事を掲載したことを詳しく伝え、関心をのぞかせた。


 ワシントン・ポストは「(謝罪記事掲載は)日本の戦争中の歴史を再評価しようという安倍晋三首相が主導する大きな動きがある中で起きた」と解説。「韓国や中国との関係を刺激するのは確実だ」との見方を示した。


 米紙ニューヨーク・タイムズ電子版も今回の謝罪記事について伝え慰安婦に関する朝日新聞の一部記事取り消しなどについても紹介した。(共同)

(引用元:http://www.sankei.com/world/news/141129/wor1411290026-n1.html


◎読売新聞は、性奴隷という言葉を使って世界に訴える韓国のやり方を徹底的に非難していました。ところが、実際には身内の英字新聞では「適切な言葉」として”sex slave"という言葉を20年以上も前からつい昨年1月まで使い続けていたという。
な〜〜んだ!という話ですが、これを朝日新聞に倣ってというか、学んで、大問題にならない内に『謝罪』したのが、余計にまずかった、という事が分っていないということに。どこまで続くぬかるみぞ…です。歴史認識を改めない限り世界には受け入れられない主張をつづけることになりそうですね。