「憲法9条」:ルイス少年とネルソンさんと寂聴さん


日曜日のNHKスペシャルの「沖縄戦 全記録」を観終わって、思い出したニュースがありました。
アメリカの9歳の男の子が安倍首相に手紙を書いて、NPTの会議に被爆者の一人として参加していた日本人にその手紙を託し、それが国会でも読み上げられたというニュースです。
沖縄の戦争の行きつくところは殺し殺される狂気、人間が人間でなくなる狂気の領域。どちらが始めたとか、どちらに正義があるかとかは問題にならない狂気の世界です。幸い、日本は負けて多大な犠牲の上に憲法九条を獲得(与えられたのか押し付けられたのかも問題ではありません)、その後、直接の殺し殺されは免れています。間接的にはアメリカの戦争の後方支援だとか、戦争特需の利益で戦後復興をなしとげたとか、沖縄の基地がなければベトナム戦争はなかったとか、その後のイラクアフガニスタンの問題はありますが…で、戦争をしないことは、自国にとってだけでなく、他の国の人々にとっても殺し、殺されがなくなることです。それは、あのベトナム帰還兵のネルソンさんが、日本の憲法9条に出会ったときの思いそのものです。
それで、9歳の男の子の手紙の内容を確かめたくていろいろ調べてみました。丁度、安倍首相が訪米して議会で演説の機会を与えられたというニュースが大きく報じられていた頃のことです。ニューヨークの国連本部では核兵器不拡散条約(NPT) 再検討会議 (2015年4月27日〜5月22日)が開かれました。(外務省「2015年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議 概要と評価」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/ac_d/page4_001201.html
9歳のアメリカのローレンツ・ルイス少年はNPTに参加していた被団協の一人に『安倍首相への手紙』を託します。

アメリカの少年から戦争をしたい安倍総理への手紙。
NYのNPT会議でアメリカの9歳の少年から「安倍総理への手紙」を託された。少年は昨年広島に行き戦争は絶対ダメだと実感。日本のニュースを見て強い危機感を覚えて書いたという手紙。ごく一部。(http://togetter.com/li/833628

安倍総理、どうか僕の願いをかなえてください』9歳の米少年が託した手紙とは
日本共産党衆院議員藤野保史(ふじの やすふみ)さんが読み上げた、9歳の米少年ローレンツ・ルイス君が託した『安倍総理への手紙』。ルイス君は多くの体験談を聞いたことがきっかけとなり、被爆者の思いを届けたいと、6月4日、安倍首相に宛てて日本語で記した手紙を送った。

更新日: 2015年06月13日(http://matome.naver.jp/odai/2143413257950635401

◎手紙の詳細を掲載したブログを見つけました。
「岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞」(年6月11日)のアメリカの9歳のルイス少年が安倍総理に『手紙』。「日本は戦争する国になってはいけません!」これこそ世界の声だ!!から後半部分を:(全文はコチラ:http://kenpouq.exblog.jp/24244236/


<前略>


被爆者の心の治療をしているお医者さんは、 「被爆者達が今話している事は本当にあった事の10%しか話していないんだよ 。あまりにもひどすぎる経験をしているから全部は話せないんだよ」と教えてくれました。僕はこれが10%なら、もし100%の話を聞いたらどんなに恐ろしい話になるのか怖くなりました。

国連に行った次の日(4月28日)、クラスのみんなに国連で被爆者に会ったことを発表しました。

はじめに「広島と長崎の原爆を知っている人はいますか?」とクラスのみんなに聞いたとき、誰も知っている人がいなくて、悲しくなってきて目に涙がたまってきて声がふるえてしまいました 。

5月7日にもう1回クラスのみんなに発表する時間を作ってもらいました。

僕は、今度は原爆の本当のことを伝えるつもりでした。

でも途中で校長先生に止められてしまいました。

それでも最後に「僕は戦争のない平和な世界にしたいです」とみんなに伝えました。まだ話したかった事の5%しか話していなかったので、最後まで発表したかったです。



安倍総理が、日本の自衛隊を戦争に参加出来るように法律を変えようとしていると聞きました。僕は「そんなの絶対にウソだ!」と言ったら、お母さんは日本のニュースを見せてくれました。ウソではありませんでした。僕は本当に信じられませんでした。

70年前、広島や長崎の人たちは虫を殺すように殺されました。僕は虫も殺せないのに。僕たちの平和な未来のために死にました。戦争がどんなに恐ろしいのかを証明して死にました。

日本の自衛隊が戦争に参加する事になったら、何のために戦争でたくさんの人が苦しんで死んだの?何で同じことを繰り返すの?

日本は原爆を落とされた唯一の国だから、「戦争は絶対にいけない!」と世界のみんなに言い続けていくリーダーの国です。もし日本が戦争に参加したら世界のみんなは「日本も戦争に参加しているし、僕たちの国も戦争をしてもいい」と思ってしまいます。

それは世界に「戦争をする事は悪い事ではなくて良い事です。人を殺すのは良い事です」と言っているのと同じです。そして日本が戦争に参加することになったら、世界中の国がどんどん戦争をはじめて、地球は戦争の世界になってしまう。


そして地球はなくなります。

世界平和のために、日本は絶対に戦争に参加してはいけない国なのです。

戦争は人を殺す事です。全てのものをこわします。戦争は何の問題も解決しません。それどころか戦争はとても大きな問題を作るだけです。

世界中の子供達は 原爆や戦争の怖さを知りません。でも本当の怖さを知っているのは日本人だけです。そして世界が平和になるために、戦争の本当の怖さを伝えるのも日本人しかできません。日本はいつまでも世界のお手本でいなくてはいけません。

★ルイス君に被爆体験を語った方の記事は、毎日新聞の地方版のコチラの記事で:「NPT再検討会議:被爆女性、草の根外交 米の少年「戦争の怖さ伝える」 /石川(http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20150609ddlk17040363000c.html

◎アレン・ネルソンさんの「9条を抱きしめて」より:http://d.hatena.ne.jp/cangael/20150504/1430710034


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アレン・ネルソン


1996年に来日した時、ある人が日本国憲法の英文冊子をくれました。ホテルで第9条を読んだとき、立ち上がるほどのショックを受けました。信じられませんでした。
キング牧師の有名な演説「私には夢がある」のように力強い衝撃を与えました。
これこそ人類の未来、これこそ人類が持たなければならないもの、そうしなければ人類は滅亡してしまうだろうと思ったのです。
そして憲法9条を読んで気づいたことはこれは国の法律というだけではなく、私たちの生きるべき道を示しているということです。


日本国憲法第9条はいかなる核兵器よりも強力であり、いかなる国のいかなる軍隊より強力なのです。
日本各地で多くの学校を訪れますが、子どもたちの顔にとても素晴らしく美しくかけがえのないものが私には見えます。子どもたちの表情から戦争を知らないことがわかるのです。それこそ第九条の持つ力です。
日本のみなさんは憲法に9条があることの幸せに気づくべきだと思います。


ほとんどの国の子どもたちが戦争を知っています。アメリカの私の子どもたちは戦争を知っています。イギリス、イタリア、フランス、オーストラリア、中国、韓国の子どもたち、みんな戦争を知っています。
しかしここ日本では戦争を知りません。憲法第9条が戦争の悲惨さ、恐怖や苦しみからみなさんを救ってきたからです。



ご存知のように多くの政治家が憲法から第九条を消し去ろうと躍起になっています。断じてそれを許してはなりません。
みなさんとみなさんの子どもたちはこれまで憲法第9条に守られてきました。今度はみなさんが第9条を守るために立ち上がり、声をあげなくてはなりません。
第9条は日本人にのみ大切なのではありません。地球に住むすべての人間にとって大切なものなのです。アメリカにも9条があって欲しい。地球上のすべての国に9条があって欲しい。


世界平和はアメリカから始まるのではありません。国連から始まるのでもありません。ヨーロッパから始まるものでもありません。
世界平和はここからこの部屋からわたしたち一人一人から始まるのです。

◎「寂聴さんが怒っています」(毎日新聞 2015年06月12日より)より:

せっかく戦後70年、日本は戦争で誰も殺さずにきた。なぜ、今になって憲法を、憲法9条を変えなくちゃいけないんですか、と。アメリカからの押しつけ? 棚ぼた? この平和憲法を手にするまでどれだけの同胞が死んだと思うんです。その犠牲があって、もらった憲法じゃないの。

(引用元:http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20150614/1434211007
写真は、芦原公園周辺です。9時少し前になると消防自動車が遠慮気味にサイレンを鳴らしエンジンがかかります。メイプルホール前の立派なケヤキ。ヤマモモの実がいっぱい。枯山水?のほとりに釣り人のバイクが置いてあります。