昨日、2時過ぎに電話が、「あの〜今日、お茶なんですが〜」「はぁ〜??」でした。慌てて、カレンダーを見ても、今日、何日だっけ? で、しばらくは、頓珍漢が続きました。8月は暑いのでお休み、その代り9月は早目の第一週に決まったのでした。
毎日、10月中ごろ予定の中学校の同窓会の出欠の返事が届いて、その集計をしたり、水曜日はヨーガの初日、土曜日は古典文学の会の世話役初日で、お茶のお稽古日がスッカリ抜けていました。「待ってますので…」と言われて、電話を切ってから、大慌て。スカートに履き替えて、走って出ました。お座敷に入ったら、先生と電話を下さったNaさんお一人。Nさんは体調が悪くお休みとのこと。「遅刻にしては遅いし、お休みなら電話があるはず、これはきっと忘れているんだ」と話してたとか。「すみませ〜ん、すっかり忘れてました〜」で、一寸言い訳をして「失礼しました〜」でした。
さて、お軸は「江月照松風吹」。
そのまま読めば、大河の上の月が照らし、松風が吹くとなりますか。
先生は「江月」というのは「よい月」のことも言うらしいですよと。
お月さま.といえば、中秋の名月の九月ということですね。
お花は、アケビ籠に入っています。
ピンクの秋海棠(シュウカイドウ)、白い木槿(むくげ、もくげ)に、秋明菊(シュウメイギク)の蕾。
「ピンクの秋海棠はかわいいですね。我が家のは白いんです」と言ったら、
先生が、「そうなの!? 白い秋海棠なんて、あるの? 聞いたことない」と仰るので、「玄関わきに今たくさん白いのが咲いてますので、今度持ってきます」と私。
床の間に置いてある瓢箪(ヒョウタン)型の香合。紋所が表裏に描かれていて、裏は梅鉢(左の写真)、加賀の前田家の家紋も梅鉢です。瓢箪が太閤さんの千成瓢箪とすれば前田家の梅鉢は関係がありますね。『切れ目がなくて、どうなってるんだろう…』と思ってると、Naさんが、ヒョイと持ち上げて、思いの外、下の方で二つに分かれました。なるほど、こうなってるのか・・・でした。
先生が仰るには、ある年、小さな瓢箪が何個もとれて、塗師さんに「何とかして」だったか「何とでもして」だか、頼んで、上の方で切って茶入れ、下の方で切って香合となったそうです。「楽しいですね〜」と私。
「ヘタのついたのがあるともっと良かったんだけど。子どもが投げて、ここが割れてるの。一寸ふさいでくれればよいものを、そのままなので、こちらが裏で梅鉢の紋になった訳」と。
お棚は涼しげな水(さし?)棚と仰ったかな・・・
真ん中の棚板の切れ込みが水を表しています。
両脇の切り抜きも大きくて涼しげです。
溜め塗りの濃いえんじの色艶が良い感じ。
それに合わせて釉薬がたっぷりかかった
高取焼の小ぶりの水差しが置いてありました。
棗(なつめ)は、瓢箪に合わせてか、瓢箪の絵。
先生が、「無病息災を表して六つ描かれているので数えてごらんなさい」と言われました。
数えると、確かに六つの瓢箪が金彩で描いてありました。
いつも私が先にお点前をするのですが、この日は後に回りました。一カ月ですっかり忘れています。お点前を見ながら思い出しています。
使われたお茶碗は、紀州焼の良い姿のお茶碗に跳ね兎の絵が。「優しい兎でしょ、人柄がそのまま出てて、描いた人も優しい人」と先生。
ウサギは、ウサギ年と九月にも使えるとのこと。黒いお茶碗には芙蓉の絵が描いてあり、九谷焼とのこと。
私は無地のお茶碗と菊の絵のお茶碗を選びました。
主菓子は虎屋の夏菓子。
お干菓子はオレンジピールのようなのと先生手作りの水色の落雁。
二服、お点前をして、片づけかけたら、お仕舞いと言われるまでは点て続けるのよと言われました。
三服目は、「御自服をどうぞ」と言われ、自分で点てたお茶を自分で戴く作法を教わりました。
最後に、柄杓と蓋置を入り飾りに。
来月のお稽古日を3人で決めて、帰りにNaさんがNさんをお見舞いがてら寄って伝えるとのこと、よろしく伝えてと言って別れました。
家に帰った私は、すぐ玄関先の白い秋海棠の根をスコップで起こして、ビニール袋に入れて、今度は自転車で先生のお宅へ向かいました。
玄関を出て来られた先生が、見るなり「珍しいわね〜。」「そうそう、思い出した、これは、葉の裏が赤いのよ」と言われて、葉の裏を見ると赤い筋が一杯入っています。色素がそちらに取られて花が白くなったのかと思うくらい。先生に言われるまで葉の裏が赤いのを知らなかった。先生のお宅の玄関を出たとこ直ぐに植わっているピンクのシュウカイドウの葉の裏を先生が、「ほら、赤くないでしょ、表と同じ緑よ」とひっくり返して見せて下さいました。葉の裏は、なるほど赤くありません。
帰り、門の近くに咲いていたオレンジ色の花の名前を先生に聞くと、姫ヒオウギとのこと。極小の姫ヒオウギよりは大型ですが、ヒオウギはもっと大きいのだそうです。白い秋海棠は、パラパラ雨も来て、先生のお庭でも、きっとうまく根付いてくれるでしょう。