「没落しゆく原子力産業」(「明日に向けて」)

<本日、小林節氏の対談、[戦争法をロックするためにできる事]が、クレオ大阪西(阪神、JR西九条)にて18時30分開演>
◎毎週、再稼働反対官邸前抗議活動に参加してブログでそのルポを書いておられる「特別な1日」さんですが、先週の記事の最後の結びはこうでした:


・・・ボクはどうしたって311前と比べてしまいますから、楽観的なんです。あれだけ強大に見えた原発メーカーは今や青息吐息(低コストの中国や韓国が競争相手なんだから、もう挽回できないでしょ)、電力会社だって電力自由化が始まって天誅(笑)を加えるチャンスはどんどん大きくなってくる、それに日本はどんどん貧乏になって、ばら撒く金は無くなってきます(笑)。それまで原発反対の意見を可視化しておくこと。それに現実的な代替案を考えること(アホみたいな話を排除すること)。それを続けていけば、原発に反対の人はもっと増えていくのではないでしょうか。どう考えても無理筋じゃないですか(笑)。日本が中国や北朝鮮のように非民主的な国家にならなければ、原発はいつかやめられるとボクは思います。

このSPYBOYさんの楽観的で確信的な見通しを具体的に語っておられるブログの記事を「ウィンザー通信」さんが紹介しています。
ウィンザーさんのタイトルは<「もうどうしようもないか」という崖っぷちに立っているのは原子力産業!トドメを刺すのはわたしたち!>(http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/3307e9271009ee4a94b90f6f57127c98
引用されているのは守田さんの「明日に向けて/福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。」からです。東芝三菱重工がガタガタというお話です。

没落しゆく原子力産業−稼動反対運動と原発災害対策の強化が問われている!2015年10月22日

<前略>


そうですね。再稼働が強行された上に、伊方・高浜も続きそうなことが報道されると、確かに「もうどうしようもないか」と思えてきます。
しかしこれはなかなか肝心なところをつかんで報道してくれないマスコミのせいでもあるし、政府による世論操作のせいでもあります。
現実は全く逆です!「もうどうしようもないか」というがけっぷちに立っている人々こそ、世界の原子力村であり原子力産業なのです尾道市でも広島市でもこれを強調したいです。



端的に言いましょう。東芝粉飾決算問題でガタガタです。粉飾決算大元は原発事業への無理な投資の焦げ付きによる巨額の赤字。経団連会長を出すなど日本のリーディングカンパニーだった会社が崩れ落ちようとしているのです。
これは相当に深刻な事態です。東芝粉飾決算は2006年に市場価格3000億円以下だった米ウェスチングハウス社をなんと6200億円で買い取ったことが原因。早くもリーマンショックを被った2008年に不正会計を開始しています。


もちろん、これを営業の挽回によって克服しようとしたのですが、あまりに大きな打撃となったのが福島原発事故でした。理由は福島原発の2,3,5,6号機が東芝製の沸騰水型原発であったことにあります。
この時期、東芝アメリカに初の原発輸出を行いつつありました。サウステキサスプロジェクトと言う名で沸騰水型の原子炉2基の建設が進行中でしたが、これがとん挫。共同出資していた東電が引き上げたこともあって中止に追い込まれてしまいました。
さらに日本の原発が次々停まってしまい、再稼働ができなくなりました。これで東芝には定期的に入っていた巨額の点検料も入らなくなりました


これに対し東芝経営陣は、現場に一方的に矛盾を転嫁して、無理な営業目標の達成を強いて凌ごうとしたのですが、そんなことできるわけもなく、ますます粉飾決算が構造化。ついに耐えきれなくなった現場からのリークで事態が露見したのでした。
このようにみてくると、この問題には原発に入れ込み過ぎた東芝の大いなる失敗が横たわっていることが分かります。しかもあまりに根が深く、健全再建の道が見えなくててすでにメインバンクが見放しつつあると言う情報すらあります。
無理な投資を重ねた末に福島原発事故を起こすことによって、東芝という巨大企業が沈みつつあるのです。



これに対して、もう一つの大きな原発メーカーが三菱重工です。加圧水型原発のメーカーです
東芝製の沸騰水型が信頼を失い、再稼働がおぼつかないことに対し、沸騰水型よりも安全だと宣言して再稼働に向けて走っています。すでに強引に動かされた川内原発も、これに続こうとしている伊方、高浜原発も同じ三菱重工製加圧水型原発です。
さらにもう一つ、僕が反対運動に関わっているトルコにも、三菱重工製の原発が輸出されようとしていますがこの三菱重工製の原発も実は今、「もうどうしようもないか」というところに立ちつつあるのです。


加圧水型原発は、構造的に「蒸気発生器」というところに大きな欠陥を抱えています。炉内を150気圧300度の温水となって回している一次冷却水の熱を、細いパイプを隔てて二次冷却水に伝える装置です。
そうすると二次冷却水が沸騰し、発電タービンを回すことになるので「蒸気発生器」と呼ばれるのですが、この細管の破断が度々起こっているのです。これが技術的にクリアできない。
その象徴が三菱重工アメリカのサンオフレノ原発に部品輸出して2010年と2011年に据え付けた最新型の蒸気発生器でしたこのうちの一つがわずか2年も経たないうちに事故を起こし、点検の結果、ともに著しく劣化していることが発覚したのです。
これに対して周辺住民が粘り強い廃炉要求の運動をする中で、アメリ原子力規制庁はサンオノフレ原発の改修の展望がないと判断。なんと廃炉が決まってしまったのです。


このため三菱重工原発所有者のサウスサウザンドエナジー社からなんと9800億円の損害賠償訴訟を受けています
これ自身が三菱の経営にとって死活を制する問題ですが、同時にこのことは三菱重工が今もってなお、蒸気発生器の致命的欠陥を克服できていないこと内外に明らかにしました。
問題が知れ渡るともう世界のどこでも東芝のみならず三菱の原発売れなくなります。もちろん国内での新規建設も望めない。ようするに二大メーカーが「どうしようもない」状態に陥っているのです


引用元:(上)http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/7d1a410718fce6c69a97167b7564322b

◎続く(下)では、再稼働は、「誰も困っていない『原発ゼロ』の4年4カ月を無くす必要があったから」、ともう一つは「機械を今、動かし始めないと、すべての原発が技術的にも動かせなくなってしまう」から。そして「楽観ばかりできない重大なこと」は、「このままでは死滅するからとなりふりかまわぬ再稼働に政府と電力会社、メーカーが走り出したため、原発事故のリスクが大きく高まっている」という内容です。

明日に向けて(1172)没落しゆく原子力産業−稼動反対運動と原発災害対策の強化が問われている!(下)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3215fa5a4303c892636ad4a4f6e60066

(鉄柵から道路に顔を出すチェリーセージアンデスの乙女。真ん中はツワブキ。いつまでも咲いている花が人を呼んで、立話になります。名前を聞いて覚えたいという人や、忘れたらまた聞いてくださいと言ったり。先日郵便局で会ったら、「乙女で上がアンデスよね」「正解!」なんて話にも)