「富士山会合」と「日経・CSISシンポ」[1]

原子力ムラ」と並んで日本を(ミス?)リードする大きな利益共同体の「日米安保ムラ」という捉え方がありますが、日本経済新聞社が関わっている2つの会合、21〜23日の「富士山会合」と、24日の「日経・CSISシンポ」は、この日米安保ムラの会合ではないかと思います。「富士山会合」には、「日米の政府関係者、経営者、専門家ら200人弱が参加」したそうです。アメリカの議会を通さない軍産複合の、ジャパンハンドラーとも呼ばれる人たちが日本に期待していること、又、日米安保の恩恵を受け続けたい安保ムラの住人リーダーたちが何を考えているのか、ある程度、この記事の中から見当がつくのではないかと思います。日経新聞に載っている記事を紹介してみます。
1)日経21日(土)朝刊1面


富士山会合きょう開幕
[地域の平和 日米で創る]
官房長官、同盟の意義強調


 官房長官20日、都内で開いた日本経済研究センター日本国際問題研究所が主催する日米政財界の要人を集めた国際会議富士山会合」の開会記念のレセプションであいさつした。アジア太平洋地域の安全保障について「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値観を共有している日米両国は手を携え、地域の平和と繁栄を創り上げていかなければならない」と訴えた。
 安倍晋三首相による4月の米議会の上下両院合同会議での演説や、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)改定に触れ「盤石な日米同盟がさらなる高い次元に飛躍した」と強調した
 海外訪問中の首相は「日米両国間の人と人とのつながり強化、志を同じくする仲間同士の真剣かつ率直な議論、日米の知的精鋭による知の研鑽が不可欠だ」とのメッセージを送った。富士山会合は21〜23日に長野県軽井沢町で開く。


2)日経21日(土)朝刊社会面(写真記事の続き)

 レセプションであいさつした菅官房長官は「日米間の知的交流を強化していくことが日米関係に一層厚みを加えることになり、大変有意義なものになる」と述べ、両国政府関係者や学識者、企業経営者らが一堂に会し、安保や経済などを議論する富士山会合に期待を寄せた。
 ケネディ大使も「強固な日米同盟を私たちの世代が引き継いだ時より強くして未来の世代にバトンタッチできるかは我々次第だ。富士山会合はこの目標を実現するために重要だ」と話し、日米同盟のさらなる発展に意欲を見せた。レセプションには石破茂地方創相らも出席した。

3)日経21日(土)夕刊1面

大統領選「米の岐路」
CSIS所長 富士山会合始まる


 国際関係や安全保障に関し日米の政府関係者や専門家らが対話する第2回年次大会「富士山会合」(日本経済研究センター日本国際問題研究所共催)が21日、23日までの日程で長野県軽井沢町のホテルで始まった。
 ジョン・ハムレ米戦略国際問題研究所【CSIS】所長は「米大統領選と2016年の日米関係」をテーマに基調講演した。「米国の二大政党は崩壊しつつあり、米国の政治は今岐路に立っている」と語り、来年の米大統領選が内政及び外交面で米国の行方を大きく左右する重要な選挙になるとの認識を示した。 
 
 ハムレ氏は、与党・民主党が上下院で多数を押えていないほか、野党・共和党も党内で分裂している現状を指摘。米議会で圧倒的な多数派というものが生まれる状況にないと述べた。大統領と議会とのねじれの関係で「政府機能がマヒしている」とし、こうした構造問題をとらえ直すことが「将来に向けての出発点になる」と語った。

 基調講演に先立ち茂木友三郎運営委員長(キッコーマン名誉会長)が「(富士山会合の)議論が国内外で注目され、国際社会の中での日米連携のあるべき姿、役割について広く関心を高める切っ掛けになることを期待している」と開会宣言した。
 また、自民党稲田朋美政調会長が「伝統と創造」と題して講演し、日米が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意について「経済における法の支配を貫徹させるという意味において非常に大きな意義がある」と評価した

4)日経22日(日)朝刊1面

5)日経22日(日)朝刊5面上半分と下



6)日経23日(月)1面(写真と切れている部分をかき出して)

 ホーマッツ氏は「TPPには経済的な利益だけでなく、政治や安全保障の協力を促す地政学的な側面もある」と指摘した。米国が批准しないと「アジアで役割を果たす決意がないという(誤った)シグナルを周辺国に送ることになる」と語った。
 日本の新たな安全保障法制をテーマにしたパネル討論では、リチャード・マイヤーズ元米統合参謀本部議長が「安保法制がうまく機能すれば、今後50年のアジアの安定に寄与する」との見方を示した。「日本が米国のキーパートナーとして(役割を果たすことで)中国の海洋進出や北朝鮮を抑止できる」と期待を寄せた。
 一方で、自衛隊と米軍の協力など運用面の改善の必要性にも触れ、安保法制の運用がうまく行かなければ「中国の軍事化が進み(アジアにおける)緊張が高まる」と警告を鳴らした。

7)日経23日(月)7面

▼「日米の輪つなぎ直す」 富士山会合始まる /三井住友FG会長( http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM01H1I_R01C14A1MM0000/)

 日本経済研究センター(岩田一政理事長)と日本国際問題研究所(野上義二理事長)は2014年度から会員制の新事業「日米知的交流・共同研究プログラム」を立ち上げた。米戦略国際問題研究所(CSIS)など外部のシンクタンクとも協力し、日本の考え方を対外発信する広報外交にも取り組んでいる。

▼富士山会合閉幕、「日米対話継続を」(http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM02H01_S4A101C1MM8000/)(つづく)