<長生きは「幸福」なのか? 切実!高齢化というリスク社会 >


先週土曜日の朝のコーヒータイムでのこと。母がチラシを持ってきて、「今日ここへ連れて行ってほしいんだけど…」と。すぐ近くにオープンしたという有料老人ホームのチラシでした。「車を出してもらって、食事は奢るからどこかで…」と、母は言いますが、最近の父の様子では何を注文しても残すので、「それなら、ウチで」。「じゃ、材料が揃っているので、僕が…」と夫も。夫の自慢のスパゲッティを食べてから、その有料老人ホームの見学に行こうということに。
結局、夫が腕を振るったカニとチーズとトマトに松の実を散らしたスパゲッティは、かなり凝った味でしたが、父は一切手を付けず、母が、”美味しい美味しい”と言って食べてくれました。やはり、ちょっと無理だったかな・・・和風であれ、同じ結果だったでしょうから、気にしないで、私たちは平らげました。

見学の結果、どうなったか? 父は一言、「オマエが元気なうちは入らん!」だったと、母が、家に帰ってスグ、飛んできました。丁度3時ごろだったので、父も呼んで3時のお茶をしながら話を聞くことに。「入るなら、一緒に」「二人だったら大変よ」「家を貸せば、家賃が入る、それで入れば良い」と。「今時、こんな古家を借りる人はいない」と母が。結局、「私が弱るのを待ってるの?」と楽をしたかった?母が言い、私と二人で大笑い。最後は、母らしく、「私はなかなかへばりませんよ〜」と言ってましたが、要は、母次第ということです。
さて、今回の事で、両親の年金の金額が分かったり、母がギブアップした時の覚悟(お互いの)とか、が分かりましたので、無駄ではなかったです。母が、父に「娘三人遠くに嫁がせた時から、こういう時の為に贅沢もしないでお金を貯めてきたんでしょ」というと、父も頷いています。父の持株を売って入所の一時金を多めに出せば、月々の支払いは年金の範囲内で収まることも解り、安心しました。大正生まれの自立の精神に感謝です。
今週からコーヒータイムの時に血圧計を持ち出して血圧を測るようになりました。父の低かった血圧も元に戻り、食欲も出てきたと、昨日は、先週休んだリハビリにも出かけられるようになりました。先日、認知症について家族の責任認めずの最高裁の判決がありましたが、介護の問題は本当に他人ごとではありません。

我が家の南側、先週24日から解体工事に入るとのことで、足場が組まれました。

今週に入って重機が入り、2日ほどで平屋一部二階建てが消えてしまいました。
その前の道路の南側は、青いシートで囲まれた新築工事が完成真近です。(↑)
我が家の前の道路の北側でも、東半分では二階建ての新居が4月完成目指して工事中(⇒)
我が家の周囲では、家の世代交代が進んでいます。
南側も北側も、家の寿命は60年ほどです。
どちらも、空き地の時から知っているので、感慨深いものがあります。
という訳で、ということもありませんが、「世相を斬る あいば達也」さんのブログ(3月2日)の「●長生きは「幸福」なのか? 切実!高齢化というリスク社会 」から二つの読み物を:

 90歳の入居者が激白!介護ホームの“悲惨なる日常”



川崎市幸区の老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、入所者の男女3人が相次いで転落死した事件で、殺人容疑で逮捕された同施設の元職員の男は、 「(介護に)手がかかる人だった」 「ベランダまで誘導し、男性を抱きかかえて投げ落とした」 といった供述をしているそうだ。
 介護のいかなる状況にあっても、暴力や虐待は許されることでない。 だが、 「他人事ではない」ーーー。介護現場で働く人たちは、口をそろえる。 「……誰にでも、実はそういう事件を起こしてしまう立場にあるんだなぁって…」


 いや、働く人たちだけではない。
 ホームに入所している“高齢者”の方も、だ。
 現在、90歳。ご主人が要介護となり、ご夫婦で入所されている方から寄せられたメッセージを紹介します。介護現場のリアルを「我がごと」として一緒に考えてみてください。


 「Sアミューユ川崎幸町で起こったことは、他人事ではないような気がしています。殺害なんて絶対に許されることではないし、虐待も暴力もいかなる場合も許し難いことです。
でも、入所者の中には大声で喚き散らす人、たえずヘルパーを呼びつける人、自分が判らなくなってしまった人、思うようにならないとヘルパーの手をかみつく人など、さまざまです。
そんな人達の家族に限って 面会に来ることがなく、ホームに預けっぱなしなのです。


私は夫とともに、毎日、食堂で食事をしているのですが、食事は終わったのに、食べた感覚がなく「食事を早くください!」「死んでしまいます」と大声でわめいている女性がいて、若いヘルパーが優しく対応している姿に頭の下がる思いがしています。
ヘルパーさんたちがあまりに大変そうなので、食器を運ぶくらいお手伝いしようと申し出ました。 でも、絶対にやらせてもらえません。ナニかあったときに、施設の責任になるからです。



先週、またヘルパーが二人辞めてしまいました。理由は『給料が少なくて結婚できないから』ということでした。離職者があとを絶たず、その補充もなかなか見つからないので、残ったヘルパー達が、過重労働を強いられているのが現状です。
ホームには各部屋にインターホーンが設置してありますが、認知症の進んだ入所者がひっきりなしに夜間押すこともしばしばです。 夜勤ヘルパーは、その度に対応しなくてはならない。就寝前に投薬が必要な人もいるので、夜勤の仕事はかなり重労働です。


ヘルパーの中には夜勤はしない、という条件で勤務している人がかなりいるので、限られたヘルパー達が順番でやっているのです。
すぐに順番がやってくるので、真面目なヘルパーは体重は減るわ、顏はやつれるわで見ていて可哀想になります。私はいつもそんな彼等に感謝と激励の言葉を送っていますが、そんな感謝の言葉だけでは、彼女・彼らが報われません。


みなさん、献身的にやってくださります。でも、……人間には限界ってものがありますよね。
政府は施設を作る、と言っていますが、その前にヘルパーの待遇を改善すべきだと思います。ヘルパー不足は入所者へ深刻な影響をもたらしているのです。オムツ交換が4回だったのが3回になり、夜間見回りもなくなり、適性があろうとなかろうと採用するしかない。悪循環です。


高齢者へ3万円支給する余裕があるなら、介護関係に回すべき、だと思います。 ここはまさしく姥捨山です。入居者たちはみんなそういっています。 入所者は家族が介護の限界にきたために本人の意志でなく入れられた人が多いので、私のように発言できる入所者は滅多にいないと思います。 私のコメントがお役に立つようでしたら、こんな嬉しいことはありません。どうか薫さんのお力で、たくさんの方に現状を知ってもらってください」


■……これが介護現場のリアルです。

  介護職の方たちの多くは、「おじいちゃんやおばあちゃんに、少しでも笑顔になってほしい」と献身的に働く人たちが多い。だが、そもそもそういう方たちでさえ、常に心の葛藤に襲われるのが介護の世界だ。
 だって、関わるのは全員「人生の大先輩」。それぞれの人生、価値観で長年過ごしてきた高齢者の方に、注意するのはとても気を使う。自分の親でさえそうなのだから、他人であればなおさらだろう。 「本当にこれでいいのだろうか?」 「他にもっといいやり方があったんじゃないのか?」 そんな不安に苛まれる。


 相手が“人”である以上、10人いれば10通りの問題が起こる。一つひとつは小さなトラブルで、ちょっとした対応で処理できるかもしれない。だが、「ホントにコレで良かったのかな?」と不安になる。特に高齢者の“変化”は突然起きるので、対処が実に難しい。
 本来であれば、そういった不安を現場のスタッフたちで分かち合えればいいのだが、全員が自分の仕事でいっぱい いっぱいで時間的にも、精神的にも、余裕がない。他の職員を気にかける余裕など微塵もない。おまけに夜勤、早番、遅番とシフト勤務なので、顔を合わせるこ とも少なくなる。
 介護の現場というのは、実に「孤独」なのだ。


 さらに、平均月収は21万円程度で、他の職種より10万程低い。ただ、これには施設長や看護職員など、比較的高い賃金の職種の方たちも含めた数字なので実際には10万程度という人もいる。
 この低賃金を一般平均である30万程度にするには、年間1兆4000億円ほど必要となり(NPO法人社会保障経済研究所算出)、労働人口で単純計算すると「ひとりあたり年間3万円弱の負担」が必要になる。


 ご存じの通り、昨年、4月から介護報酬が2.27%引き下げられたが、これは2006年の2.4%の引き下げから2回目のこと。介護施設の 人権費率は約6割、訪問系介護は7割と大きいため、報酬引き下げはダイレクトに労働力不足に影響を及ぼす。前回の引き下げで労働力不足に拍車がかかったに もかかわらず、再び引き下げを決めたのは狂気の沙汰としか言いようがないのである。


  「月額1万2000円引き上げるっていってたでしょ?」
 そのとおりだ。だが、それが本当に労働者にちゃんと支払われているかどうかは確かではないのが実情なのだ。 また、前述の女性のメッセージからも人手不足なのは痛いほどわかるのだが、2020年代には、さらに約25万人もの人材が不足するとされている(厚労省算出)。
 重労働、低賃金、超高齢化社会ーーー。この先どうなってしまうのだろう……。 「高齢者へ3万円支給する余裕があるなら、介護関係に回すべき」という、“高齢者”からの意見を、どう政府は受け止めるのか。



 もし、質の高いサービスを望むなら、もっともっと介護保険料を国民が負担すべきで、それができないのであれば、サービスの質を下げるしかないと思う。
 食事、排泄、入浴のニーズに対応するためだけのサービスと割り切り、現状の劣悪な環境を変え、当然、残業はゼ ロ。1人でも離職者を減らし、1人でも多くの人たちが介護士さんを目指し、1人でも多くの高齢者がケアを受けられ、1人でも多くの家族が自分の仕事と両立 できるようにする。 「でも、それじゃあ……」
 うん。それでは……だ。だが介護現場は、頑張りすぎた。頑張らないことから、議論し直す。崩壊するよりその方がまし。
 だって、このまま質を求め続ければ、介護業界は破綻する。
 これ以上の甘えは、暴力と同じ。崩壊も、虐待も、破綻もイヤ。誰もが老いる。親も老いる。自分も老いる。その人生最後の終の住処が、こんなにも悲惨な状況じゃ誰1人、幸せにならないのではないか。 そして、私も、もっとこの闇の解決策を現場に耳を傾け探して行きたいと思っています。


河合薫 健康社会学者(Ph.D.,保健学)。
千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。 2004年東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究。フィールドワークとして行っている働く人々へのインタビュー数は600人に迫る。医療・健康に関する様々な学会に所属し、東京大学早稲田大学で 教鞭を取る。2月下旬発売・新刊「考える力を鍛える『穴あけ勉強法』・難関資格・東大大学院も一発合格できた!」(草思社)  ≫(yahooニュース:個人―河合薫

◎2つ目は、

≪ 声に出して言いにくい「日本の大問題」第2回 藻谷浩介×湯浅誠 


人口減少社会 日本人が「絶滅危惧種」になる日 地方が消滅し、都会は認知症の老人ばかり 毎年20万人以上が消える「人口減少社会」となった日本このまま人は減り続け、地方は消滅してしまうのか。「絶滅」を避けるためにすべきこととは。地域振興と貧困問題の専門家が激論を交わした。

■介護離職が激増する
■みんな見て見ぬふりだけど
■精神論では解決しない
■「消費者」がいなくなる
(現代ビジネス:オトナの生活・賢者の知恵・2014年02月21日週刊現代

☆全文はコチラで:http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/72955cfc742e5ad7d7821d55e753bfa9