露木茂氏 「かつては圧力を局全体でハネのけた」と佐藤浩市氏「方向性見失うテレビドラマ」


◎テレビ界の報道の自由について、朝日のインタビュー記事に応える金平キャスターの自省を込めた告発(4/2ブログ)には、我が事として戦後の生き方を考えさせられました。この問題に関連して、いつもお世話になっている「日本がアブナイ!」さんが、露木茂氏の記事の一部を紹介されていました。最近は個人攻撃されているが、かつては番組につてのクレームは現場に降ろされることはなく局の上層部が盾になってくれたというのです。全文を知りたいと思っていましたら、「shuueiのメモ」さんが早速取り上げておられます。サスガ!!です。コピーさせていただきます:(引用元:http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20160402/1459540779


『誰がテレビを殺すのか <第1回>
露木茂氏 「かつては圧力を局全体でハネのけた」



 4月からテレビのニュース報道番組が大きく姿を変える。「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスター、「ニュース23」アンカーの岸井成格氏、NHK「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターが揃って降板。3人とも政権与党が煙たがる言説が信条だっただけに、圧力降板説が囁かれているかつてはフジテレビの“顔”として、63年の入局以来、38年にわたりワイドショー、報道、バラエティー番組のMCなどで活躍してきた元アナウンサーの露木茂氏(75)には、これらはどう映っているのか。 


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 岸井さんにしろ古舘さんにしろ、どうしてキャスターの個人名まで取り沙汰される世の中になっちゃったんでしょう


 僕は今年でテレビ生活53年、ニュースキャスターとしても30年以上活動してきました。でも、個人に圧力がかかったり、攻撃されたことはありません。もちろん、政権側から局に対してクレームが入ったことは何度となくあったでしょうでも、局の上層部がそのことを僕の耳にまで入れることは一度もありませんでしたそれは、番組の作り方と密接に絡んでいると思います


 本番の前にはもちろん、僕、スタッフ、それに番組責任者も含めて編集会議を開き、どのニュースをどんな順番で取り上げるかを綿密に決めていきます。もちろん、僕のコメント内容も。そこで僕が曖昧な発言をすると、責任者から「そこはもっと厳しく」とか、逆にあまり突っ込み過ぎると「もうちょっと別の表現で」といった注文がつく。こうして、本番に入っていくので、放送後、仮に僕のコメントに問題があったとしても、それは番組全体の責任です



 当時の上層部には「外部からのキャスターへの圧力は局全体ではねのける」という、テレビ人としての姿勢があったと思うんですところが今はキャスター個人の発言として問題視されることが多くなった。キャスターの個性に依存し過ぎているのかもしれません


 権力と緊張関係という意味で例を挙げるとすれば1972年に起きた「浅間山荘事件」でのこと。人質を取って山荘に立てこもる犯人グループに対して、外部の情報をあまり与えたくないということで、警察庁で当時、現場の指揮を執った佐々淳行さんからテレビ・ラジオの方には配慮をお願いしたい」という申し入れがありました。犯人が聞いている可能性があるからですしかし、いざ警官隊が「突入」となったとき、正面からは鉄球や放水などで攻め立てる一方で、犯人グループに気取られぬように山荘の裏側にも機動隊が近づいていっている。こうした事実を確認した以上、我々は目の前で起きている事態を伝えないわけにはいかない。ギリギリの判断の上、我々は事実を映像で伝えました。ひょっとして犯人側がテレビを見ていれば、何か対応するかもしれないとも思いました。


 犯人検挙と人質救出は最も重要でしたが、「伝える自由」もあるんですギリギリのところで判断するメディアの自主性は、大事にしなければなりません。


▽つゆき・しげる 1940年、東京都港区生まれ。早稲田大学を卒業した63年、フジテレビに入社。以来、38年にわたりワイドショー、報道、バラエティー番組のMCなどでフジテレビの“顔”として活躍。00年に定年退職。現在は東京国際大学特命教授を務める傍ら、BS11「報道ライブ21 INsideOUT」にも出演中。(日刊ゲンダイ16年3月20日)』

朝日新聞デジタル(3月30日)のインタビュー記事で俳優の佐藤浩市氏が取り上げられました。最近のテレビドラマについて語っています。一部をコピーします。全文はコチラで「方向性見失うテレビドラマ、希望はどこに 佐藤浩市さん」http://digital.asahi.com/articles/ASJ3R4S9ZJ3RUPQJ00W.html?rm=512 )<お二人の写真はネットの画像からコピーしたものです>




ナショナリズムに訴えかけるようなドラマしか、もう残された道はないんだろうか。冗談ですが、そんなことを口にしたくなるほど、テレビドラマの現状は方向性を見失っていると思う。


・お茶の間に届けるテレビドラマにも、かつては映画のようなイデオロギー性をはらむ、偏った番組が放映される余地がありましたそれがいつしか、どこからもクレームがつかない安全な方向を向いていく。僕のドラマでも数年前、昭和30年代の雰囲気を描こうと会議中に皆が喫煙したら、相当数のクレームが来たことがあって。その後、同様の場面は姿を消しましたね。


・これだけ視聴者の裾野の広いメディアだけに、難しさはあるでしょう。でもそうやって現場で自主規制を重ね、表現の自由を放棄してしまっては、自らの首を絞めていくだけです。


・ 欧米に比べ、日本の俳優には社会的発言が少ない? スポンサーとの関係性という、海外にはないしくみの違いはあるでしょう。それと、世間もメディアも我々に社会的、政治的発言を求めていない側面もあるこの島国では残念ながら、個人が自由に発言できる状況にはないのが現実だと思います。(聞き手・藤生京子)

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 俳優・佐藤浩市さん 1960年生まれ。80年にデビュー、映画とテレビで活躍。主演映画「64―ロクヨン―」前編が5月7日、後編が6月11日から公開予定。