憲法に「緊急事態条項」が加わると・・・

(<「沖縄で今起きていることは、参院選で自民を落選させた民意に対する『報復』だ」と、「【生前退位vs.日本会議系】>に次いで2つ目です)

いよいよ今日の午後から、父の百寿のお祝いの会です。おじさん(父の91歳の弟)やおばさん(86歳の妹)、それに孫やひ孫や娘家族も集まります。母の願いが叶います。そして父の願いも。生きていてよかったを実感できます。一度我が家に集まって、隣の父の顔を見て、それから山荘で一泊、帰りまた我が家へ寄って皆で昼食、父と少し話して解散の予定です。(2,3日ブログお休みします)
さて、昨日、水やりをしようと外に出たら、瑠璃トウワタブルースター)の花後の鞘に、黄色と黒の縞模様も鮮やかなトンボがじっとしていました。珍しいトンボです。百日紅サルスベリ)の奇妙な形の花も咲きだしました。メドウセージが一茎花をつけています。

水草牧師さんのブログ、21日の「憲法に「緊急事態条項」を加えると・・・」は、「緊急事態条項」が憲法に加わると、どんなことになるのか? トルコの現状を参考にすると、かなり具体的にこの条項の危うさが分かります。為政者がやろうと思えば、ナチスの1933年や、トルコのように日本も即なってしまうという「緊急事態条項」のこの上ない危険を表しています。全文コピーさせていただきます。(引用元:http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20160721/p1

憲法に「緊急事態条項」を加えると・・・


 トルコでクーデター未遂事件が起こり、3ヶ月の非常事態宣言がなされた。自民党憲法改正草案には「緊急事態条項」があり、大災害時などに備えて、これが必要なのだと説明・宣伝しているが、緊急事態を口実に政府に独裁を許してしまう相当に危険性のある条項であることが、トルコの状況を見ると実感できる。他山の石。

トルコ、3カ月間の非常事態宣言 反乱分子排除、大統領が表明

東京新聞2016年7月21日 12時48分


 【アンカラ共同】トルコのエルドアン大統領は20日夜、首都アンカラで演説し、クーデター未遂を受けて3カ月間の非常事態を宣言すると表明した。大統領は、反乱の黒幕と断定した在米のイスラム指導者ギュレン師を念頭に「テロ組織関係者を全て排除する」ことが目的だと訴え、憲法の範囲内で民主主義に反する措置ではないと強調した。


 トルコメディアによると、非常事態宣言によって大統領は議会に諮らずに法律の施行が可能になる。既に国家公務員だけで5万人を公職追放した反乱勢力の大規模な粛清が、さらに勢いを増す恐れがある。


以下、憲法学者、木村草太さんの「緊急事態条項」に関する見解を再掲載しておく

http://webronza.asahi.com/politics/articles/2016030100008.html?iref=wr_fbpc



 第一に、緊急事態宣言中、内閣は、「法律と同一の効力を有する政令を制定」できる。つまり、国民の代表である国会の十分な議論を経ずに、国民の権利を制限したり、義務を設定したりすること、あるいは、統治に関わる法律内容を変更することが、内閣の権限でできてしまうということだ。例えば、刑事訴訟法の逮捕の要件を内閣限りの判断で変えてしまったり、裁判所法を変える政令を使って、裁判所の権限を奪ったりすることもできるだろう。


 第二に、予算の裏付けなしに、「財政上必要な支出その他の処分」を行うことができる。通常ならば、予算の審議を通じて国会が行政権が適性に行使されるようチェックしている。この規定の下では、国会の監視が及ばない中で不公平に復興予算をばらまくといった事態も生じ得るだろう。


 第三に、「地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる」。つまり、地方自治を内閣の意思で制限できるということだが、これも濫用の危険が大きい。


 例えば、どさくさに紛れて、首相の意に沿わない自治体の長に「辞任の指示」を出すような事態も考えられる。実際、ワイマール憲法下のドイツでは、右翼的な中央政府が、緊急事態条項を使って社会党系のプロイセン政府の指導者を罷免したりした。今の日本に例えると、安倍内閣が、辺野古基地問題で対立する翁長沖縄県知事を罷免するようなものだろうか



 第四に、緊急事態中は、基本的人権の「保障」は解除され、「尊重」に止まることになる。つまり、内閣は「人権侵害をしてはいけない」という義務から解かれ、内閣が「どうしても必要だ」と判断しさえすれば、人権侵害が許されることになる。

 

 首相は緊急事態条項は世界中どこの国でももっているものだというが、例のごとくウソか、官僚のレクチャを鵜呑みにしただけのせりふである

 

 つまり、アメリ憲法は、大統領に議会招集権限を与えているだけだし、ドイツ憲法も、議会の権限・手続きの原則を修正するだけであって、政府に独立の立法権限を与えるものではない。また、フランスや韓国の憲法規定は、確かに一時的な立法権限を大統領に与えているものの、その発動要件はかなり厳格で、そう使えるものではない。


 これに対し、先ほど述べたように、自民党草案の提案する緊急事態条項は、発動要件が曖昧な上に、政府の権限を不用意に拡大している。


 他の先進国の憲法と比較して見えてくるのは、自民党草案の提案する緊急事態条項は、緊急時に独裁権を与えるに等しい内容だということだ。こうした緊急時独裁条項を「多数の国が採用している」というのは、明らかに誇張だろう。



<追記7月23日>


 トルコのクーデターは、エルドアン大統領の自作自演ではないかという推測が出ています。あるいは事前に情報をキャッチしていたが、それをあえてやらせて、この機に乗じて、緊急事態宣言を出して、大統領が立法権まで掌握して、反対派をすべて処分してしまうつもりではないか、とも言われています。大統領は立法権を得たので死刑復活まで示唆しています。


 1933年、ヒトラー国会放火事件を起こして、これは共産主義者のしわざだと断定して、「大統領緊急令」を発して、ヴァイマール憲法の定めた基本的人権を停止して共産主義者を徹底弾圧しました。さらに社会民主主義者も国会から追放しました。・・・なんだか、構図がそっくりに見えますが、真相は藪の中です。


 私たちにとっては他山の石です。現在、公にされている自民党憲法改正草案の「緊急事態条項」のねらいが、上記のようなことをするためであるかどうかはわかりません。しかし、草案の条項のままであれば、容易に上記のような悪用をされうるものであることは事実です。超巨大地震がせまる状況にあって、なんらかの緊急事態条項が必要であるとするならば、独裁に陥らないために適切な歯止めをかけておかねばならない。