奈良少年刑務所保存運動と山下洋輔会長

都知事選投票日前の先週の新聞に、奈良少年刑務所の保存が決まったというニュースの記事と一緒に写真(白黒)が載っていました。これは山下洋輔氏のお祖父さんが設計された刑務所に違いないと思いました。あのユニークな塔のあるレンガ造りの門は、山下氏の著作に掲載されていた写真に似ています。(蛙ブログ:「ドバラダ門(不思議な体験)」(http://d.hatena.ne.jp/cangael/20140727/1406452932
ネットで山下氏の名前が出ている記事を見つけました:(http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160729/dms1607291206017-n1.htm
(以下の写真と地図はすべてネットの画像からお借りしました)


現役最古の奈良少年刑務所 ホテルとして活用へ 設計者の孫・山下洋輔氏「保存決まって本当にうれしい


 法務省は、明治時代に造られた現役最古の刑務所、奈良少年刑務所奈良市)を廃止し、保存・活用するため民間の事業者を募集すると発表した。歴史的価値の高い建物は今後、重要文化財に指定される可能性もあり、複数の事業者がホテルとしての活用に高い関心を持っているという。

 建物は旧司法省技官の山下啓次郎氏が設計、1908年に「奈良監獄」として建てられた。重厚なレンガ造りで、ドーム屋根をもつアーチ型の表門が特徴的だが、老朽化が進み、耐震性にも問題があるとして同省が耐震補強や新築移転などを検討していた。

 地元住民らは2014年に市民団体「近代の名建築 奈良少年刑務所を宝に思う会」を発足させ、設計者の孫で世界的ジャズピアニストでもある山下洋輔さん(74)が会長に就任。重要文化財の登録を目指して署名活動を展開していた。山下さんは夕刊フジに「残されることが決まって本当にうれしい」と語った。

 同刑務所は26歳未満の初犯受刑者を中心に収容しており、裁判中の被告を含め20日現在で404人(定員696人)を収容しているが、今年度内に収容を停止する。

◎少し調べると、山下氏は保存運動をなさっていたようです、それも会長として。法務省に提出された要望書を読んでみると、ハード面のみならずソフト面の継承についても訴えておられます。「教誨師篤志面接委員をはじめ、多くの市民ボランティアが、少年たちの更生と社会復帰を願って、心を合わせて長年活動を行なってきました」と書かれ、ユニークな活動がたくさんあり、これはなかなか力が入っていますね。全文をコピーしてみます:

近代の名建築 奈良少年刑務所重要文化財に!https://www.facebook.com/naraprison

7月28日 3:16 ·
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【奈良少年刑務所の保存活用に関する要望書】
2016/7/26 「近代の名建築 奈良少年刑務所を宝に思う会」は、法務省に要望書を提出しました。以下、全文。

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法務大臣 岩城光英 殿                                  2016年7月26日
  奈良少年刑務所の保存活用に関する要望書
                
     近代の名建築 奈良少年刑務所を宝に思う会              会長 山下洋輔
             会員代表 寮美千子


 拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素より本会の活動につきましてご理解を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 このたびの奈良少年刑務所の突然の廃庁のお知らせをお伺いし、大変驚くとともに、明治の名煉瓦建築を重要文化財指定し、保存・活用する方針であることを知って、ほんとうにうれしくありがたく存じております。



 建物というハード面は残されることになりましたが、奈良少年刑務所の更生教育のソフト面が今後どのように継承されるかを案じております。ご承知のように、教誨師篤志面接委員をはじめ、多くの市民ボランティアが、少年たちの更生と社会復帰を願って、心を合わせて長年活動を行なってきました。教誨師の中には、指導歴が半世紀に及ぼうとしている方もいらっしゃいます。若者への教育では「東の川越、西の奈良」と言われるほど、先進的なことを行なってきたともっぱらの評判です。建築物としては一番古い刑務所で、一番先進的な教育を行なってきたわけで、このような伝統が、廃庁とともに、もしも雲散霧消してしまうのであれば、大変残念なことです


 奈良少年刑務所は、旧奈良監獄として、民間に託され、営利事業を行なう予定であると報道されました。ぜひ、そのなかに、奈良少年刑務所の教育の伝統を生かし、一般社会に還元する場を作ってください具体的には、元教誨師や元篤志面接委員による講話や面談、刑務所内で行なわれていた暴力回避プログラムや命の教育などの授業を、一般に向けて行なうカルチャースクールのような場や、困難を抱えた少年少女を受け容れ、彼らが心を癒やし、その居場所となるような場を設定していただければと存じます



 また、町の人々からはアートの拠点に、音楽祭の開催を、など、さまざまな希望やアイデアが寄せられています。これらも含め、一般市民の声を受け止めて、新施設に生かすための「窓口」を、ぜひ設定してください。
 さらには、新施設完成の暁に、運営企画にも、市民が参加できるような体制を整えていただければと存じます。そのために、管理業者募集の条件として「市民及び奈良の企業が、必ず企画運営の一部に携わること」といった文言を提示していただければと切望します。充分に収益を上げつつ、高度な文化発信をしていける場所になることを確信しています。
 貴下におかれましては、これらの旨あらためてご理解いただき、ご検討くださいますよう、深くお願い申し上げる次第です。敬具

◎山下氏のお祖父さんが、ペンシルベニアの刑務所を参考に放射線状の建物にしたと本に書かれていましたが、奈良の建物にそれがよくわかる写真がありました。有効に活用されると本当にいいなと思います。