駐韓大使召還について『ル・モンドの記事から』(内田樹氏)

伊勢志摩ドライブから帰って翌日の6日金曜日はゴミ出し日で生協さんの日でした。ゴミは出しましたが、生協さんは一週間先かと思ってチャイムで呼び出されるまで気が付かずでした。頭の中はまだお正月でした。7日は午後から新春コンサート。徐々に日常生活に戻さないとと思っていますが、政治の世界は日々何かとよからぬ方向へ。
8日の日曜日、雨だったので、夫がクリームパスタを作ってくれるというので、母を呼んで3人でランチ。父は丁度起きたところで母が用意した朝食を一人でゆっくり。母が「パスタをお土産にもらってくるからね」と声をかけて出てくるそうです。小皿に取り分けたパスタを父は夕食時ワインを飲みながら楽しんでいるようです。そんな具合で、去年の秋から、一週間に一度の夫のパスタ料理が続いています。それに『私食べる人』だったのが、去年は仕事を辞めたので『私片づける人』も加わって、夕食の洗い物をやってくれるようになりました。それで、私はその空いた時間にネットの情報に当たることができるようになりました。
今年に入って、韓国での少女像設置に対して菅官房長官が駐在外交官を引き揚げさせるという対抗措置を発表しました。そもそも、真珠湾で安倍首相が不戦の誓いのコメントを発表、その時一緒にいた稲田防衛大臣が帰国後すぐ靖国神社を参拝しました。そのことが何を意味するのか、日本では批判的な報道はなく、海外での受け止め方を伝える報道もあまりなかったようです。安倍首相はノーコメントを通しました。
日本の政治は本当に内向きです。安倍官邸が相手にしているのは日本の右からの反発だけです。真珠湾慰霊訪問は、あの戦争を肯定する勢力の反対を気遣って謝罪抜きでした。それでも、訪問自体に反発する右の人たちに気を使っての靖国参拝。しかし、国際的には、安倍首相の慰霊の際の不戦の誓いを反故にした行為でした。それに対する反発であって、そのことを指摘する報道がなぜないのか?と思っていたら、ル・モンド紙が書いていました。内田樹氏が早速フランス語から日本語に翻訳してブログに載せておられましたので、コピーします。その前に・・・・

内田樹さんがリツイート
海渡雄一 ‏@kidkaido 1月6日
5日自民党役員会で安部首相が #共謀罪 法案提出に意欲
治安維持法共謀罪は、団体構成員を処罰する団体規制法であること、処罰範囲が不明確で拡大適用すれば、体制に抵抗する団体に対する一網打尽的弾圧が可能となる点が共通。団体の共同目的は共謀罪の方が広い平成の治安維持法を許すな!

◎それでは、内田樹氏の「ル・モンドの記事から」http://blog.tatsuru.com/2017/01/08_1049.php)です。

2017.01.08
ル・モンドの記事から


「ルモンド」1月6日は慰安婦問題について短いニュースを報じた
海外ではこの問題は通常はこういう語り口で報じられているのである


慰安婦」で日本政府はソウルの駐韓大使を召還。


日本は釜山領事館前への帝国軍の性奴隷(des esclaves sexuelles de l’armée impériale)を記憶する像の設置に抗議する意向である。
日本は1月6日金曜日に釜山の領事館前に12月に日本帝国軍の性奴隷(いわゆる「慰安婦」)を記憶する像が設置されたことに抗議して大使を一時的に召還すると発表した。
この問題は日韓関係に長年にわたって毒してきた。韓国人たちの多数はこれを1910年から45年にかけての植民地支配時代に日本によって犯された権力濫用と暴力のシンボルと見なしているからである。
歴史家たちの多くは最大で20万人の女性たち(多くは韓国人、その他に中国人、インドネシア人,その他のアジア諸国民を含む)が帝国軍の売春宿に強制的に徴募された(ont été enrôlées de force dans les bordels de l’armée impériale)とみている。


日本と韓国は2015年に締結された協定が慰安婦問題について決定的かつ不可逆的に解決したと認めている。これにもかかわらず像が設置されたことは両国関係にとって遺憾な結果である」と日本政府のスポークスマンである菅義偉は述べた
長嶺安政大使の召還に加えて、菅氏は釜山総領事も一時的に召還し、経済についてのハイレベルの会議も延期し、二国間為替についての新協定についての折衝も中止することとした。日本側は像の撤去を求めている。
ソウルは外務省スポークスマンCho June-Hyuckを通じて、日本政府の決定を「きわめて遺憾」なものとした上で、韓国政府は引続き「韓国と日本の相互の信頼関係を追求してゆく」と述べた。
両国は「決定的かつ不可逆的な」協定に合意し、それに則って、日本は「誠実な遺憾の意」を表し、10億円の損害賠償を生存者の支援のための基金に供与した。


像は12月28日に釜山の南港市街に韓国の活動家によって設置されたが、これはソウルの日本大使館前に建てられた像のコピーである。いったんは撤去されたが、釜山の地方自治体が決定を撤回したために、活動家たちは再びこれを設置した。
この決定撤回は12月29日の日本の稲田朋美防衛相の靖国神社参拝を承けてなされた。靖国神社は日本の戦争犯罪者を祀った神社である。このふるまいは韓国、中国からは挑発とみなされた。


ソウルの像は肩に小鳥がとまったブロンズの少女の座像であり、韓国内ではよく知られたものである。日本は2015年の協定調印後にこれが撤去されるべきものだと考えているが、ソウルはその可能性を検討すると言うに止めている。以来一年活動家たちはその撤去を阻止するために24時間体制で監視している。
韓国内には同じ像が20以上あり、米国やカナダなど他の国にも10ほどの像が設置されている

◎2015年の協定日韓合意以後の新たな像の設置に対して政府が何らかの意意思示をするのは分かりますが、「日本は10億円払ったんだから今度は韓国が誠意を見せる番だ」という言い方は、日本人はなんでもお金さえ払えば解決できると思っているのかと受け取られ、日本人の慰安婦問題に対する「誠意」は、認めたり謝罪したりすることではなくて「カネ」なんだと改めて言ってるようで、イヤだな〜と思います。
(写真は実家に飾ってある一刀彫の鶏と、我が家のは20年前、安芸の宮島で買ったお土産の鶏)