七尾旅人「兵士A」予告編と「ル・モンド紙がみた”神道のいま”」


◎雨の成人式の日の朝のコーヒータイムのこと。母が、「今年の世界はどうなるんだろうね〜アメリカはいよいよトランプさんになるし、イギリスも大変だし、フランスもドイツもどうなることか、毎朝新聞読むのが楽しい」と。『読んでる新聞は讀賣なんだけどな〜あんまり熱心に読まないでほしいんだけど…』とこれは私の心の声。そのうち、母が、「世界のリーダーがいなくなって、安倍さんぐらいが世界のリーダー?」と言い出したので、ビックリして「違うわよ。安倍さんは首相になって長いだけで【それもメディアを手懐けて】(これも心の声)、リーダーなんてとんでもない!!」と私。「あ、そうか、そうじゃないよね」と笑っています。讀賣読んでるとそうなるのか…と思いましたが、「世界の中心で輝く日本(=安倍)」なんて御本人が新年早々言ってるくらいだから、そう思う母のような人がいても不思議はないのか…とちょっと考え込みました。
母娘というのはこういう時困ったものです。以前、読売新聞の役割を話したときは失敗。付き合ってる友人や愛読書をけなされると嫌なのは子供も親も同じですね。『戦争だけはもうやってはいけない』、これは母の思いですし、ついこの間も口に出していました。ところが、讀賣新聞も”反戦平和”を記事にはしているのですね。これがなかなか難しい。

「平和」を口にして戦争をする、「八紘一宇」で戦争してきた歴史なんですが、どうやって騙されてきたのかが、母もわかっていません。これもこの前、母が言っていたことです。真珠湾攻撃の10年前、小学校4年生の地理の時間に先生が大きな世界地図のアメリカ合衆国を差しながら「日本はこの大きなアメリカといずれ戦争することになるかもしれん」と仰ったそうです。その時、子供心に『こんな大きな国と本当に戦争するのかな〜』と思ったのを今でもよく覚えている。ところが10年後ほんとうに戦争になって、大人の先生には分かっていたのだろうけど、結婚した当時でも、なんで戦争になったのかさっぱり分からなかったし、今もわからないと。そういえば以前、あの頃の日本は今の北朝鮮みたいだったと言ったこともありました。
読売新聞の熱心な読者で、偏向”討論?”番組「そこまで言って委員会」の熱心な視聴者の母の説得が一番難しい。母の反戦平和の思いが安倍政権の思いのままにからめとられていくのを直ぐそばでどうすることもできない無力感・・・つくづく人の意見を変えるのは難しいと思います。母娘ゆえの難しさもあります。それでも、どこかとっかかりがないか、今年も挑戦です。夫は、95歳にもなる親の意見を変えようなんて思うな…と呆れています。
◎さて、山崎氏のツィート欄で見つけました。こんな歌を歌う人がいるんですね〜幼稚園児が唱和する言葉にゾッとします。私もあの塚本幼稚園の園児たちを思い出しました。こんな時代が来るとは思いもしなかったし、それを私たちが作った、許したと思いたくないし・・・そう、私が母にわかってほしいのは、今はもう『戦前』になろうとしているってことです。

山崎 雅弘 ‏@mas__yamazaki
七尾旅人『兵士A』予告編


《戦後生まれのお父さん、お母さん、ありがとうございます。僕たち、私たちは、大きくなりました。そして今、戦前を、戦前を生きています。》

ずっと耳に残る。穏やかな心では聴けない。あの幼稚園の園児を思い出す。


七尾旅人 "兵士Aくんの歌" (映像作品『兵士A』より)

◎シンガーソングライター七尾旅人−初めて聞く名前です。週刊女性の記事が紹介しています。
★見出しを並べてみますが、全文はコチラで:(http://www.jprime.jp/articles/-/8851

日本の“今”を歌う七尾旅人人々の目が届きづらい場所で、国の本性が現れてくる
週刊女性2017年1月17・24日号(http://www.jprime.jp/articles/-/8851


「駆けつけ警護」の新任務が可能になるなど安保関連法は本格始動、憲法改正への流れも固まりつつある。大きな曲がり角に立つ平和国家ニッポン。未来を志向する前に、過去をありのまま見つめ、今をとらえて課題に向き合うための「言葉」を探りたい。戦争の危機感を鋭く表現した映像作品『兵士A』が話題のシンガー・ソングライター七尾旅人(ななお・たびと)に聞いた──


「彼は鈴木くんかもしれないし、山田くんかもしれない」
「日本もいよいよここまで来ちゃっているんだな」   戦後71年の歴史が切断される大きな局面に立っているのに、みな、あまり気にしていないし、自覚もないことに焦りを感じています」
「黙々と頑張っている人たちから影響を受ける」「本土で暮らす僕たちの無意識が反映されている」

◎<「ル・モンド」紙が見た”神道のいま”>、こんな記事を日本の新聞が書かない、ということが母のような人を生んでいるんだと思います。このままいくと、母は二度目のさっぱりわからないうちに九条を掲げる憲法がなくなって民主主義から独裁になったのよと言わなければならなくなります。

山崎 雅弘 ‏@mas__yamazaki 1月8日
神社の政治利用から初詣ラッシュまで 「ル・モンド」紙がみた“神道のいま”(クーリエ)http://courrier.jp/news/archives/71942/ 


( 2016年5月、伊勢神宮を歩くサミット参加国首脳 ・PHOTO: CHUNG SUNG-JUN / GETTY IMAGES)


・「安倍晋三首相が2016年5月のG7サミットで各国首脳を迎えるのに、この神道の聖地を選んだのには下心があったはずだ
・「先進国首脳会議を伊勢神宮の目と鼻の先で開催し、各国首脳を神宮参拝に誘ったことは、現代日本における宗教と政治権力の曖昧な関係を表している
・「オーストラリア国立大学名誉教授の歴史学者、ガヴァン・マコーマックの意見では、安倍首相は、1945年の敗戦で失われたとされる日本の誇りを取り戻すために、『靖国神社の代わりに伊勢神宮を利用しよう』としている
・「京都の国際日本文化研究センター歴史学者、ジョン・ブリーンは、安倍首相のことを『戦後の歴代首相のなかで、最も神道にこだわる首相』だと言う」
「(国会や地方の)議員は現在、宗教団体やそれに近い組織の力を借りて、票や資金を集めている

この「ル・モンド」紙の記事は、日本の大手メディアとは対照的に、問題の核心に鋭く踏み込んでいる。

・「国家神道とは『伝統のでっちあげ』であった国家神道民間信仰としての神道と大きく異なっている」
・「それでも国家神道は、アイデンティティを形成するイデオロギーの源になり、天皇を中軸にした大衆の結束を強固にし、やがて1930年代の国粋主義につながっていく国家権力に、国民を従属させたのである
・「超党派の政治グループである『神道政治連盟国会議員懇談会』には、与党自民党と野党民進党の304人の議員が参加している。この組織の会長は安倍晋三であり、安倍内閣の大半の大臣も会員である」
・「準宗教的右派の中心には、日本会議が存在している。1997年にふたつの団体が合併してできたこの組織には、様々な分野の人物が参加している


こんな自国の政治状況に関する重要な事実を、多くの国民は知らされていない。


国家神道的な「主観」のサングラスをかけて状況を見ている人間には、今の安倍政権の政策遂行が国家神道への回帰である現実が見えないが、外国メディアの報道が物語るように、「客観」で状況を見れば、その現実はもはや疑いようがない日本の大手メディアはいつまでこの現実から目を逸らし続けるのか。


歴史教育で「日本史」と「世界史」を統合する政策の目的は、日本史という「日本中心の視点=日本人の主観」と世界史という「日本の外側から観る視点=客観」の両面から歴史を振り返る思考形態を排除して、全体を「日本中心の視点=日本人の主観」だけで理解する形へと、子供の思考を狭めることにある。