「共謀罪3度の廃案と新法案」 (報道特集2/11)


「2月20日、今日はプロレタリア作家・小林多喜二の1933(昭和8)年の忌日。東京・赤坂で特高警察に捕らえられ、その日のうちに拷問によって虐殺された」日だそうです。そして、また「1928(昭和3)年のこの日、日本で初めて普通選挙が実施された。納税額に関係なく、すべての男性に選挙権が与えられた。」
◎さて、2週間前に放送された共謀罪についての報道特集の番組がとても分かりやすかったので、メモを、と思いつつ日が経ってしまいました。共謀罪、過去3度葬られていますが、今回は「テロ等準備罪」と名前を変えて登場です。五輪と絡めて改名の効果絶大のようですが、胡麻化されてはいけない。
この番組で一番良かったのは、国会で安倍首相は、「オリンピックのために必要、これがないとオリンピックができない」とまで。ところが、五輪誘致に必要な法律を検討する文科省のワーキンググループで座長だった方が、「そんな話は出なかった、出たのはドーピングの問題だけ」と明確に否定されていたことです。

安倍首相をはじめ防衛大臣法務大臣とそろいもそろって自分の言葉に無責任。前言翻(ひるがえ)しなんて当たり前、前言を覚えておられないくらいです。
「一般人は対象にしないと」言っていたのを、今度は「一般人でも途中で犯罪集団に”変質”したら対象になるは当然」に大変化。”変質の判断”は警察ということならどんな一般人のグループでも捕まえたかったら捕まえられることに。
かつて「平成の治安維持法を作った総理になりたくない」と廃案にした小泉元首相は自民党首相でもまだまともでした。

◎さて、「報道特集」(2月11日)の「共謀罪三度の廃案と新法案」を文字起しされているブログが見つかりましたので、私が写真で書き起こした分を足してそれに写真を張り付けてみます:(引用元:http://blog.livedoor.jp/gataroclone/archives/49497237.html

その前に、「政府が、2000年に国連で採択された『国際組織犯罪防止条約TOC)』締結のために必要だとしている」というところを、もう少し詳しく説明している毎日新聞の記事がありますので貼り付けます。

山下幸夫・日弁連共謀罪法案対策本部事務局長


 政府は国際組織犯罪防止条約TOC条約)」を締結するため、国内法として共謀罪を作る必要があると言い続けてきた条約はマフィアや暴力団といった組織犯罪を取り締まることを目的にしていたが2001年の米同時多発テロを受けてテロ対策のためのものでもあると読み替え日本も同調しただが従来の法案審議で、政府はテロ対策が主な目的だと説明しなかった。東京五輪パラリンピックを念頭にテロ対策を強調するのは後付けの理屈だ。


 安倍晋三首相は「法案が成立しなければ条約を締結できず、五輪が開けない」とまで言う。そうだろうか。日本はこれまでに国連の求めた13のテロ関連条約を締結し、国際社会の求めるテロ対策を十分に取ってきた

 国連は条約締結のための「立法ガイド」を公表し、重大犯罪について未遂より前の段階で処罰できるようにすればよいとしている条約締結のために新たに共謀罪を作った国は二つしかなく、日本はわざわざハードルを上げている
 日本には既に内乱罪など23の共謀罪、46の予備罪もある。
(引用元:毎日新聞『L i stening<論点>「共謀罪」の是非は
』/最後に引用元紹介しています)

◎それでは、報道特集です:

共謀罪3度の廃案と新法案 (2017/2/11 放送)



「国会では共謀罪の内容を一部変える「テロ等準備罪」をめぐり、激しい論戦が繰り広げられている。共謀罪が過去3回も廃案になった経緯は?テロ等準備罪は本当に必要なのか?検証する。」


 共謀罪は過去3度廃案になったが、政府は今国会に「テロ等準備罪」と名前を代え提出する方針だ。

 政府は、2000年に国連で採択された「国際組織犯罪防止条約TOC)」締結のために必要だとしている。だが勉強会に参加した野党議員の間からは批判の声が相次いでいる。


 この勉強会の講師、平岡秀夫(弁護士)は、6年前、民主党政権法務大臣を務めたが、「条約の批准のために共謀罪の新設は必要ないのではないか」と考え、当時の法務官僚に指示を出した。。

(中略)


 テロ等準備罪をめぐっては、今月初めに刑法学者らおよそ150人が反対声明を発表した。呼びかけ人の高山佳奈子(京大教授)は、こう指摘する
 高山テロ対策のために必要な法律はもう十分にある。これより新しい法律をさらに広く作ることで、新たに守ることのできる自由はない。日常生活に大きく影響が及ぶおそれがあり大きなデメリットなるので、有害無益、プラスの点がなくてマイナスばかりにならざるを得ないと思う


 テロ等準備罪は、オリンピックのために必要だと政府は繰り返す。が、実は高山教授は5年前、五輪誘致に必要な法律を検討する文科省のワーキンググループで座長を務めた。 だが、そこで議題になったのはドーピング対策だけだったという。


 高山共謀罪”の立法については全く問題になっていなかった。だからオリンピックに必要ということではなくて、ほかのところに本当の立法目的があるんじゃないかと推測した。つまり、警察の規制権限を広く保持したいのではないかと


 刑法学者らが懸念するのは、テロ等準備罪が「通信傍受法」の対象になることだ。現在、通信傍受の対象は薬物犯罪などに限定されているが、その対象が際限もなく広がるおそれがある金田法相は、将来的には「検討すべき課題だ」として通信傍受の可能性を否定していない。
 高山実際に摘発されるかどうかは別として、萎縮効果まで考えると市民生活が大きく制約されることになるし、政府に敵対的ではない一般市民もターゲットになる恐れが十分あると思っている


 先月、都内で東京オリンピックの開催と共謀罪に反対のデモが行われていた。それを取り囲むマスク姿の集団は、公安部門の警察官だ。60人ほどの参加者に対し同じ数ほどの警察官がメモを取ったりビデオカメラで撮影したりしてながら列をなして同行していた。衝突する場面もあった。デモ参加者が警察官に暴行したとして公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された



 デモに参加していた小倉利丸(富山大名誉教授)は、
 「オリンピックというものと例えば共謀罪であるとかテロ対策というものをリンクさせて、市民の抗議・異議・批判の声を封じ込めたいということが露骨に分かる


法務省幹部これまで共謀罪を出した時には官邸がGOを出さなかった。今回初めてGOが出たのだから共謀罪を通すのは今年しかない。去年北朝鮮が条約を締結したので、もはや北朝鮮以下になってしまう。」(この条約というのが、『国際組織犯罪防止条約TOC)』)



 野党・日弁連・日本弁護士連合会は、現行法だけでも十分、条約を締結することができると主張する。
 日弁連の弁護士として条約の起草段階から審議を傍聴してきた海渡雄一弁護士は、日本政府は当初、共謀罪を導入しなくとも条約に加盟できる道を模索していたと指摘する。 
非常に抑制のとれた条約になるように積極的に修正案を出したりしています
日本の国内法の原則では、犯罪は既遂か未遂段階に至って初めて処罰されるのであり、共謀や参加については特に重大な犯罪に限定して処罰される。共謀や参加罪を導入することは日本の法原則になじまない



 しかしある協議を境に日本政府の態度は一変したと海渡弁護士は指摘する。2000年に日・米・加の間で行われた黒塗りの文書である
 海渡条約を批准するために国内法全部をそろえてからでないと批准できないというそのものはない。条約を批准するということは、将来にわたって条約を守る努力をします、ということを言っているわけである
 (中略)
過去三度共謀罪は廃案になっている:

「”目くばせ”と”まばたき”の違い?」について質問する保坂衆院議員(当時):

衆議院議員早川忠孝弁護士600以上あった共謀罪の対象犯罪を160余りに絞り込むといっています

あの当時の議論が今は継承されていない
アリの一穴じゃないけど共謀罪は)変な方向委流れてしまう危険性はある
一般の市民団体は適用対象にならないと言ってるんだったら、もし間違えた時にはどうするのという仕組みは用意しておかないと
自民党の中からそういう声が出てこないと変えられない
   KKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKKK  

スタジオで 金平キャスター歴史上最悪と言われた治安維持法だが、国会審議のあった1925年当時の新聞をちょっと調べてみた
 朝日の見出しに”(「赤」の)定義はハッキり下せぬがこの法律は必要だといふ”(治安維持法委員会)、”治安維持法は伝家の宝刀に過ぎぬ、社会運動が同法案のため抑圧せられる事はない”や、”純粋な運動は傷つけはせぬ”などとあった。



 2006年に共謀罪が廃案になったとき小泉首相が、『自分は平成の治安維持法を作った首相とは言われたくない』と漏らしていたと保坂展人さんが言っていた。」

毎日新聞の記事「Listening/<論点>「共謀罪」の是非は」の全文はコチラで:http://mainichi.jp/articles/20170215/org/00m/010/004000c

Listening <論点>「共謀罪」の是非は


 「共謀罪」の成立要件を絞り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が今国会に提出されようとしている。過去の共謀罪は、捜査機関による乱用や人権侵害が懸念され、三たび廃案になった。今回、政府はテロ対策を前面に出して成立を目指すが、問題点は払拭(ふっしょく)されたのか。

国民のプライバシー侵害も 山下幸夫・日弁連共謀罪法案対策本部事務局長

「反権力」への萎縮効果絶大 大谷昭宏・ジャーナリスト

健全な運用で乱用懸念解消 藤本哲也・中央大名誉教授

計画段階で処罰可能に

最後にツィートを一つ:

川上芳明
‏@Only1Yori
共謀罪テロ等準備罪)と治安維持法。政府答弁がほとんど同じという恐ろしさ。「一般人」に関係ないなんて大間違い!



(引用元:http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-7248.html