「忖度を生むシステム」と忖度社会日本


◎もうずいぶん前のことのようですが、国会で籠池氏が証人喚問されたとき、付き添っておられた弁護士の山口貴士さんのツィートを見つけました。引き受けた理由を語っておられます。忖度で物事が動いていく危険な今の政治を憂えておられます。

菅野完さんがリツイート
山口貴士‏ @otakulawyer 4月10日

証人喚問の補佐人をお願いしたいと打診を受けた時、二つ返事で引き受けた訳ではありません。籠池氏の人柄も分からないし、思想信条は全く異なり、彼を批判していました。結局、引き受けたのは、「首相への侮辱」で決まったスラップ証人喚問に対する憤りもありますが、別の危惧感と不安感もありました。

スラップ(英: SLAPP、strategic lawsuit against public participation、威圧訴訟、恫喝訴訟は、訴訟の形態の一つで、大企業や政府などの優越者が公の場での発言や政府・自治体などの対応を求めて行動を起こした権力を持たない比較弱者や個人・市民・被害者に対して、恫喝・発言封じなどの威圧的、恫喝的あるいは報復的な目的で起こす訴訟である。


籠池氏の依頼を断り、弁護士抜きで籠池氏を証人喚問に臨ませたら、国会は、弁護士不在のまま「人民裁判」の場となりかねません単なるスラップ証人喚問に止まらず、日本は、近代立憲国家として超えてはいけない一線を軽く超えてしまうのではないかという危惧感と不安感です


近代立憲国家が、忖度の積み重ねをきっかけとして壊れかねないことを森友学園事件は明らかにしました恐ろしい話です忖度を生むシステムそれ自体を替えない限り、野党が政権についても、忖度の対象が変わるだけでしょう。特定の政権を打倒すれば解決する単純な問題ではないと考えます

安倍昭恵さんの安倍記念小学校名誉校長就任の日の講演全文(昨日の蛙ブログの最後に紹介)を読みますと、この「忖度」があまりに効率よく働いた結果、昭恵さんはある種の全能感を持たれたのではないでしょうか。

お付きの女性官僚を5人もつけ、私の秘書と呼び、その人たちをフルに動かし、首相夫人という肩書の威力もあって全自動忖度機システムが見事に働き、あれよ、あれよと『私の夢』が現実化していくことに、私には善きことを為す力があると思い込まれた…私の使命は人と人を結ぶことです、つなげることですと言っておられますが、そこに忖度が働いたことに気づかず…”神から与えられた使命”感に燃えて…これは罪なことです。

首相夫人付き職員 1→3→5人に」の東京新聞 の見出し
安倍政権から3人になり5人に増員。政府の言い分は「業務増大のため」。どこから見ても公的職員だが、私的なスキーイベント、海外旅行、選挙応援にも同行。公私混同の最たるもの

◎4月2日の「世相を斬る あいば達也」さんのブログのタイトルは「●忖度・そんたく・Sontaku 美徳と悪意なき犯罪社会の構成」です。忖度について書いておられます。忖度といえば国政だけでなくて地方でも、身近には学校のPTAから老人会まで、組織と名の付くものに関われば、自ら「忖度」したり、されたりした方もあるかもしれません。
私は子どもたちが未だ未成年だった頃、同窓会でいやな経験をしたことがあります。子供のいない出世頭の男性のために、その人のお世話になっていると思われる友人同窓生の一人が、自己紹介では子供の話はしないようにと皆に言って回っていました。茶坊主め、でした。家族の話はしないで自分のことを話そうよというのは、それはそれでわかりますが、余計なお世話の忖度は気持ちが悪いです。先回りされる方も良い気持ちではないはずです。それとも、いい気持ちなんでしょうかね。
〇あいば達也さんは、こんな風に書いて、最後にフィナンシャルタイムズの記事を紹介されています。ブログの途中から引用です。

「●忖度・そんたく・Sontaku 美徳と悪意なき犯罪社会の構成

(前略)

 「忖度のつけいる隙などあり得ない」と、忖度シャワーを浴びるに良いだけ浴びているご本人が、国会でぬけぬけと語って不思議とも思わないのだから、“何をか況や”だ。「忖度」とは、日本社会では、つけいる隙だらけで、おそらく、日本社会で起きている出来事すべてに、「忖度」が紛れている籾井と云うNHKの会長がいたが、「政権が右だと言うのに左とは言えない」と云う発言は、馬鹿正直すぎたが、それが忖度日本病の本質を指摘しているのである


 山本七平の「空気を読む」もしかり、儒教の精神も居残っている、理屈を言えば角が立つ、総論的には流れに身を任せるのが、今の日本社会を覆っていると云うのが事実だ。しかし、この社会的な病に、断固闘いを挑んでも、実際勝つことは皆無に近い。負け犬根性と云うより、冷静沈着に状況を判断すれば、ネトウヨ政権が自壊するまで、身を低く構えるのが賢明と、国民の総意があるのだろう実は、これも空気の一種なのだ


 安倍昭恵夫人の行動は、良人晋三の心を「忖度」して動くから、良人にプラスになるであろう行為に勤しむ。それを聞いた、役人等々は、表向き難しいと言いながら、裏で「忖度」を働かせ、事を為す。この流れにおいて、どこにも「忖度」等と云う印は押されていない。「忖度」と云う空気が覆いかぶさっているだけだ司法である検察や裁判所も、当然、「忖度のニオイ」を感じるので、「忖度案件」として、流れ作業な司法判断をする。原発訴訟、沖縄の一連の訴訟など、この「忖度案件」そのもの、忖度は、法を凌駕するのだ。



 国会における状況も、忖度国会であり、与党連中も、安倍双六が終わるまで、ヌクヌクと居眠りする腹なのだろう。国会とは無関係な第二立法府閣議において、エイプリルフールのような決定がバンバン決まっていくのだから、口あんぐり、ついつい笑ってはいけない事情なのだが、笑ってしまうような出来事が連続している。パン屋が和菓子屋になるのも気づかいの一種に違いない。いまに、見たことも聞いたこともない明治の遺物が、小学校の教科書を埋め尽くすに違いない


 現代と隔絶した教科書を子供たちに学ばせグローバルだ、欧米的普遍的価値だ、TPPだ!どれ程安倍晋三に忖度しても、馴染まない21世紀の笑い話だが、今後5年間くらい、この笑い話のような時代は続くのかもしれない。まさに「ブラックユーモア政権」である。まあ、その後から、次の政権が、またぞろ「閣議決定」で、一つ一つ潰す作業に大わらわになるに違いない中学の武道に柔剣道の採用など悪夢でしかない。

(後略)

◎全文とフィナンシャル・タイムズの記事「Sontakuがつなぐ日本のスキャンダル」はコチラで:http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/c713e313d2d1af30ce1a7ba92cbc2c3b?fm=rss
(花の写真は、次から次と咲いている斑入りの椿、ツルニチニチソウの紫の花、寄せ植えの鉢にグイグイと伸びたノゲシ、種が混じっていたらしく養分全部吸い取ってしまうのではと心配なぐらいの成長ぶり、そして、花かご一杯に咲きこぼれるパンジーをyoo-sann制作の流木の花台に乗せて)