サンデー毎日(7月30日号)より「半藤X保坂X青木」対談と細川元首相「特別手記」

◎昨日の閉会中審査、トップは青山氏、残念ながら見逃しましたが、また元愛媛県知事の加戸氏の件をもちだされたとか。菅野氏がツィッターに載せた写真は籠池氏と青山夫人の千春さん。水産学博士でメタンハイドレートの発見者。青山氏は籠池バンザーイだったのに、国会での籠池氏証人喚問では目が合わないように逃げ回っている様子がネットで話題に。この写真では夫妻ともに籠池応援団だったようですね。

菅野完‏ @noiehoie 13時間

いけ!青山繁晴センセ!籠池のオッサンも応援しとるぞ!


青:「それでは総理にお伺いします。総理は加計の加計理事長と昵懇であられたが、今治市における計画については、ご存じなかった、と、こういうことですね?」
安:「本年1月まで知る立場にありませんでした。」
青:「お答えありがとうございます。総理の答弁に曇りはない。仰る通りと思います。」


さて、先日、白井聡氏の記事をアップする前に、サンデー毎日を買っておこうと本屋さんへ。表紙がなになに?日本生まれのスーパー戦隊!? パラパラ中身を見ても白井氏の字はないし、目次を探しても無い。日付を見ると7月30日になっている。中身は、「加計学園問題」に、「熱闘座談会」(反動x保阪x青木)、「細川護熙元首相の特別手記」、そして「知の巨人内田樹」。内田さんもツィッターでお世話?になってるし、サンデー毎日さんの記事を引用するための借り賃だからと買って帰ることにしました。
それで、ネットの白井氏の記事を読み直して記事にする作業をしながら、週刊誌を拾い読みしていると、座談会の内容が白井聡氏の記事と一致するように思いました。私の理解の中で一致すると言うべきかも。一部書き移してみます:

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半藤 戦後という意識から変えなければいけないと、最近になって思うのです。この72年間、戦後何十年と数え上げてきましたが、韓国やベトナムでは建国何十年と呼びます。私たちは大日本帝国からの延長に戦後日本国があると受け止めていて、日本国という新しい国を建国したのだという意識がない。だから戦前の日本を徹底的に検証しなくてはと言っても、うやむやな連続性の中にいるため、問題意識が伝わらない。」
青木戦前の問題は議会政治の堕落にあり、そこに乗じて軍部が暴走した。議会も政府も追認せざるを得ない状況がずるずると続き、最終的には勝てもしない愚かな戦争の泥沼に突き進んでいったわけですね。」
保坂「今は軍部がないから軍事独裁が起こらないかのような錯覚に陥っています。しかし戦前の日本を振り返って、あの軍事独裁の実態は行政独裁とみるべきなんです。東条英機を長とした軍事政権が、立法、司法、行政を支配した。そして今まさに安倍政権がやっていることは行政独裁ですよ。安倍は無意識に本音を露呈する人で、「私は立法府の長だ」と口走ったことにも顕著ですし、加計学園問題を見れば「私は司法の長だ」と言っているに等しい。昭和史を教訓に、今、三権分立が壊されつつある恐怖に対峙しなければいけない。

 まだ昭和10年ごろまでは三権分立は機能していた。しかし、2・26事件が起こるや否やそれを利用して軍のテクノクラートたちが一気に軍事独裁に持ち込んだ昭和10年代、500人弱の代議士がいたと思うが、その中で最後まで軍部に抵抗できたのは、斎藤隆夫、濱田國松、尾崎行雄ら数人で、大多数が屈服しました。

 その激流を見ると、軍部が議会を押さえつけるテクニックがいくつかわかる。一つは、軍人が国会の傍聴席から代議士の発言をチェックして威圧する。二つ目は、機密費を代議士にばらまいて親軍派に取り込み、彼らに議会を動かさせる。三つめは直接的な暴力の行使です。在郷軍人会をバックに「あの発言はなんだ。選挙で落とすぞ」などと脅迫する。つまりカネと暴力で代議士を黙らせていく。安倍政権はそれに近いことをやっているように見える。
青木 文部科学省事務次官前川喜平氏の「出会い系バー通い」を『読売新聞』が大々的に報じましたね。どう考えても官邸がネタ元であり、警察が動いて集めた情報でしょう。それを大新聞が報じ政権に対峙する告発者を威圧、恫喝した
保坂 あれにかかわった役人やジャーナリストは民主主義の教育を受けてきたのか。右翼団体特高警察が調べて、それを議会に持ち込み、御用新聞が過剰に書き立てて、特定の人物を潰すという戦前の暴力が、露骨に繰り返されている
半藤 共謀罪の施行がそれに拍車をかける。 <以下中略>


保坂 今、保守と呼ばれるものの実態が、極右と右翼になってしまって、かつての権力の暴走に歯止めをかけてきた健全な保守が論陣を張るメディアがない青木 ええ。残念ながら、アマゾンの売り上げランキング1位が流行作家の『今こそ、韓国に謝ろう』。米国人タレントの『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』が40万部を売り上げている。もはや極右とすら呼べないヘイト本が、かなりの勢いで蔓延してしまっている。半藤 戦時体制を作り上げるため、出版によるプロパガンダが行われる。今の出版の動向も、戦前によく似ています。昭和15年ごろのナチス礼賛の出版状況は、それはもうひどいものでしたからね。
保坂 なんでもいいから状況を正当化して安心したい、そんな心理が庶民のなかに潜在的にあるんでしょう。歴史的に見れば、こういった本は時代の陽炎(かげろう)です。そういった見識を庶民自身が醸成しなければならない。(以下一頁以上省略)

     MMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM


2つ目の記事「細川護熙元首相特別手記」について。
7月21日の「特別な1日」さんでも取り上げられて、全文が読めるサイトの紹介もありました。
気になる個所をコピーして羅列しておきます。

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政治家で肝心なのは「国のかたち」をどうするかのビジョンを示すことだ私は産業政策としても環境政策としても、そしてなにより文明論として原発ゼロを実現すべきだと思う。3年半前の都知事選にその1点で共鳴した小泉純一郎氏と挑んだ。小池さんにも原発のことは話している。ただ、どこに気を使っているのか、返事は「?」。少しあいまいな表現でもいいから、原発ゼロを目指すとの方向性くらいは示さないと、多くの国民はついてこないのだが
・ 小池さんはパフォーマンスは上手だが、本心が見えないところがある。改憲なのか、護憲なのか、親自民なのかどうか。・・・・・腹の内は見せたり、見せなかったりするぐらいの方がいいのかもしれないが。いつか小池さんが日本初の女性首相、日本新党から3人目の首相になるか? そればかりは運としか言いようがない。
「小池新党は飛躍の役割狙え」
 問題は野党である。民進党の責任は重いが、相変わらず浮足立ってバタバタしている。私のところに連絡がくるのは、逃げ出したい連中ばかりだ。落城とわかっても野田(佳彦)さんや岡田(克也)さんのようなサムライは最後まで城に立てこもる覚悟を決めているだろう。そこに初めて倒幕のための薩長同盟という可能性も生まれてくる。

・ 私は本質的に保守中道路線だ。保守中道とは、不完全な人間による不完全な政治、政策は常に改革―微調整をし続けなければならないということだ。ただ現実的には改革は一定速度というものではなく、時に停滞し、時に飛躍するものだ。日本新党自民党を38年ぶりに下野させたが、それよりも55年体制を壊したことにより、社会党がぶっ壊れた(あだ花はいくらか残ったが……)。日本新党は飛躍の役割だった。小池新党もその役割だろう
安倍首相よ、今は改憲すべき時ではない!
・ さて、ここにきて安倍晋三首相は憲法改正を露骨に、かつ声高に主張し始めた秘密保護法、安保法制の改憲的解釈(集団的自衛権の行使)、共謀罪――。その流れは歴史認識を含めて戦前に回帰したいという妄念である妄念ではあるが、教育勅語への認識、靖国へのこだわりなども重ね合わせると、本気で戦前の価値観に戻したいと考えているに違いないつまり反動なのだが、それを「戦後レジームからの脱却」という言い換えで「美しい日本」をつくり、「美しい憲法」をつくろうという論法なのだ。
・ 私は安倍さんの安倍さんによる安倍さんのための改憲には反対だ。改憲のための改憲にも反対だいまは改憲すべき時ではない安倍首相としてはなんとか小池さんを改憲賛成の立場に巻き込みたいし、そう立ち回るだろう。その時の小池さんの判断が日本のこれからを大きく左右するさらに日本の行く末は、公明党もまたその鍵を握っている。細川連立政権時、公明党は頼りになる政党だった。これからも日本の将来に責任ある判断を期待したい。
(全文はこちらで:https://mainichi.jp/sunday/articles/20170717/org/00m/010/001000d
内田樹氏の記事は別の日に。