籠池夫婦の長男が語る「父母勾留4ヵ月。いくらなんでも酷すぎる」

今年の漢字は「北」が選ばれましたが、私なら「嘘」を選びます。今年の始まりは森友問題の安倍首相の嘘に始まって、加計問題の嘘、国会解散の理由の国難の嘘へと続いています。その嘘に付き合う人たちの忖度の度合いも酷いものです。もう日本は民主主義国家とは到底言えない状況になっています。籠池夫妻の長期勾留、これは、安倍首相に逆らえばどんなことになるかの”見せしめ””のようなものです。

籠池氏の長男の籠池佳茂氏の記事(↓)を読むと、安倍首相の発言の中に、忖度を招くきっかけのような言葉があることがわかります。2月、国会で安倍首相が籠池氏のことを「しつこい方だ」というと、それまで籠池氏を持ち上げていた日本会議系の人たちが一斉に引いていく。櫻井よしこ百田尚樹青山繁晴など、それまで森友学園で講演して、教育勅語を唱える安倍記念小學院設立に力を貸していた人たちがサッと蜘蛛の子を散らすように引いていく。また、10月に安倍首相は「籠池さんは詐欺を働く人間。昭恵も騙された」と発言すると、テレビも司法も素早くその方向で動いてしまう。佳茂さんは「恐怖政治」という言葉を使っていますが、まさに、日本のマスメディアや公僕である官僚たちまでが『殿のお怒りに触れぬよう』とばかり忖度を働かせる。安倍恐怖政治が行われていると受け止めても間違っていないと思います。籠池夫妻が娑婆に出て来て、これ以上要らぬことを喋っては困るということですね。

想田和弘
@KazuhiroSoda
◆n class="deco" style="font-weight:bold;">もうこうなると法治国家とはいえないよね。法ではなく人が支配する国。→籠池夫婦の長男が語る「父母勾留4ヵ月。いくらなんでも酷すぎる」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53752 … #現代ビジネス


◆籠池氏の幼稚園を絶賛していた者たちは、籠池が安倍のアキレス腱になるとわかった瞬間から、籠池を捨ててしまった。これが大日本帝国から続く「美しい日本」の伝統です。そういう意味では、彼らはまさに「真正保守」と言えますね。

◎それでは現代ビジネスが掲載した「週刊現代」12月16日号に掲載された記事全文をコピーです:


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籠池夫婦の長男が語る「父母勾留4ヵ月。いくらなんでも酷すぎる」
あんなに安倍さんを応援してきたのに…

週刊現代 (講談社 毎週月曜日発売)
プロフィール


昭恵夫人に「100万円を返す」パフォーマンスをやってみたり、街頭演説では「アベやめろ」コールをやってみたり、誠に元気だったこの夫妻が、なぜ沈黙を強いられているのか?息子の悲痛な叫び。


■囚人扱いですよ


「父や母は一時期まで、誰よりも安倍総理を応援していました。あのまま何事もなく応援し続けていたら、(加計学園理事長の)加計孝太郎さんのように学校は認可され、安倍夫妻との関係も良好なままだったと思うんです。しかし途中で梯子を外され、逮捕されてしまった」


こう語るのは籠池佳茂氏(37歳)。森友学園の籠池夫妻の長男だ。


森友学園への不自然な国有地売却について、疑惑が解明される気配はない。当事者が口を閉ざしているからだ。森友小学校の名誉校長だった安倍昭恵夫人、近畿財務局職員、財務省理財局長だった佐川宣寿氏……。


だが、最大の当事者・前理事長の籠池泰典氏と、妻の諄子氏(ともに被告)は、発言したくてもできる状況にない
7月31日、大阪地検特捜部に詐欺容疑で逮捕されてから4ヵ月にわたり、夫妻は大阪拘置所に勾留されているからだ
この間、家族さえ接見は禁止、保釈される見込みもない。森友問題を封印させるための「口封じ」ではないか?長男・佳茂氏が、両親に代わって重い口を開いた。


「4ヵ月、この国の良識、世の中のバランス感覚がきちんと作動するかどうかを見定めてきました。心休まる日はなかったです。なぜこんなことになってしまったのか……」




――すでに森友学園には民事再生法が適用され、経営する塚本幼稚園は、事実上の閉園状態です。


「上の妹・町浪は幼稚園の理事長として、世間の風当たりも受けながら、職務をこなしています。下の妹は、両親の差し入れに行ったり代理人接触したりしています。私も2〜3週間に一度は差し入れに通っています」


――籠池夫妻が勾留されている大阪拘置所内には冷暖房がありません。夫妻は弁護人以外との面会ができない状況だとか。


「もうすぐ真冬ですから、母には厚手の靴下を差し入れています。母が父と同じように勾留されていること自体ありえないことです。接見禁止のまま勾留4ヵ月。はっきり言って囚人扱いですよ。


『これ自体が懲罰ではないか、日本の司法制度は中世並みだ』と言った人がいますが、本当にそうかもしれないと思います。公平公正な取り調べ、調査、裁きが機能して初めて近代国家と言えるのに、その大前提が崩れています。


これまでも、日本の司法制度によって理不尽な思いを余儀なくされてきた人がたくさんいます。だから、冤罪事件に巻き込まれた元厚労次官・村木厚子さんの『私は負けない』のような書籍も差し入れているんです」


――特捜部は、籠池夫妻は立件に踏み切ったが、本丸の近畿財務局に対しては動きがありませんね。


「特捜部がなぜ財務省をやれないかというと、国税庁から情報をリークしてもらう関係があるのと、検察庁自体が財務省から予算をつけてもらう立場だからです。そういう組織が抱える宿痾ですね。父と母だけが逮捕され4ヵ月も勾留されていることは出来レース以外の何物でもないと思います」




■みんな去っていった


――10月、安倍総理は「籠池さんは詐欺を働く人間。昭恵も騙された」と発言しました。それについてはどう思いますか?


名誉毀損で訴えることも検討したんですが、両親の刑事問題に不具合が生じる可能性を考えてやめました。
政権の森友問題に対する見解を知るたび、どうしようもない気持ちになります。反論したいものがたくさんある。だからこそ接見禁止が続くのはよくないのです」


――11月20日、籠池夫妻は保釈請求を出したものの、却下されました。


「特捜部としては総理が『詐欺』だと繰り返している以上、詐欺罪で立件して『総理の意向』とのあいだに整合性をつけなければならないのでしょう。これが日本という国の実態かと思うと愕然とします。こんなこと絶対許しちゃあかんと思う。


いま安倍総理をヨイショしている人たちの中には、父母の顛末を意識している人がいるんじゃないですか。自分も一歩間違えれば籠池のようになりかねないと。それは一種の恐怖政治なんです」


――そして11月22日に、国有地の売却経緯を調べた会計検査院が、試算では最大でごみの量は約7割減ると指摘。森友学園への不自然な売却に関して、疑惑が深まります。


言えることは、国有地の購入価格についてはどんなにこちらがお願いしても決裁できるのは財務省であって森友学園ではないいということです


――気がつけば、籠池さんの周囲にいた人が、安倍総理を含め、みんな籠池攻撃にまわった。


2月、安倍総理が国会答弁で『しつこい方だ』と手のひらを返すやいなや、保守団体・日本会議は『6年前に退会している』と言い出し、父を突き放した。塚本幼稚園を素晴らしいと言っていた保守の人たちも一気に離れていったのです。


国会での証人喚問で、父は松井一郎大阪府知事)の名を何度もあげました。自分はまったく関係ないかのような態度ですが、学校建設の地鎮祭の時に祝電まで送ってくれてるんです。忘れたとは言わせん。『籠池さんとは会ったこともない』なんて、よく言えたもんやなと




昭恵夫人に仁義をきった


――その結果、籠池さんは「反安倍」ととれる発言を繰り返しました。その真意はなんでしょうか。


「3月の小学校認可取り下げと理事長辞任だけで、幕が引かれていたらどうなっていたか。世間は『なにか悪いことをしたんやろうけど、安倍総理を応援している人たちだから権力が守ってあげてんのやろな』と思うでしょう。
父はそういう道をとらず、どこまでも筋を通そうとした。それは親父の小学校開設にかける想いゆえです。10年間もかけて開設準備をしていた。安倍政権の皆さんにはわかってほしかった」

――「交渉資料は破棄した」と言い続けた佐川氏は国税庁長官に栄転し、かたや籠池氏は詐欺罪で逮捕されました。


「父も母も逃亡するはずないし、証拠隠滅する気もないから、逮捕はないと思っていた。下の妹は泣き崩れていましたが、夢を見ているようでした。


逮捕前、父は一貫して誠意ある対応をしてきました。国有地払い下げに関して、情報も資料も、出したのはすべて父の側からです。政権からは一つも出ていない。非難されるいわれはないんです。


父が今こうなっていることに口をつぐみ、一転して父を悪者のように平気で言う人たちには二度と改憲だの教育だのと言ってほしくありません。
彼らは利権のために安倍さんに付き従っているだけではないか。それは『保守』ではなく『エセ保守』だよと言いたい


――安倍昭恵夫人が籠池氏に100万円を寄付した疑惑もうやむやです


「父は当初、表に出すつもりは毛頭なかったんです。でも、出さざるをえないほど追い詰められていた。昭恵さんには、仁義もきりました。
3月16日、父は視察団を前に『100万円を頂戴した』という事実を明かしますが、その前日の15日、昭恵さんから両親のもとに電話がありました。
父は昭恵さんに『もう、あの話を言わなければならなくなりました』と伝えています
。私はやりとりを隣で聞いていましたから、父の苦渋はよくわかる」



――森友学園の小学校名誉校長を務めていた昭恵夫人の証人喚問を野党は求めてきましたが、実現しないままです


「昭恵さんは周囲から黙っているように言われてかなり苦しんでいると思うんです。幼稚園の園児たちの姿に本当に感動していたのですから、思い切って本当のことをお話しになったほうが楽になるんじゃないでしょうか。


3月ごろ、安倍さんの秘書の初村滝一郎さんから頻繁に電話やFAXで『昭恵さんを名誉校長から降ろしてほしい』と要請がありましただけど父にはその理由がまったくわからない。小学校開設という悲願達成まであと少しなのに、なんで一緒に頑張ってきた昭恵さんを名誉校長から降ろさないといけないのか


――安倍昭恵氏への忖度は、あったのかなかったのか。肝心な点が、今回の国会でもまったく解明できませんでした


私たちは日本社会に大きな石を投げたつもりです。残念ながら響いていませんが、国民の皆様も他人事とは思わずに、自分自身の問題として考えてほしいんです」


籠池夫妻は、7月の逮捕後、勾留期限の8月21日に再逮捕、その勾留期限の9月11日に追起訴というように、勾留延長が続いてきた。今、接見禁止すら解除される見込みはない。背後にはなんらかの忖度がある、というのはうがち過ぎだろうか。 週刊現代」2017年12月16日号より

(写真は張り子の猫のマトリョーシカ