サッカー日本チームの応援歌について「新しい愛国は、新しい革袋に」


半月ぶりにヨーガに。先生のお話では、今日の出席者は3人かと思ってたのに、倍以上の7人の出席でした。皆さん、月曜日の地震の話。いかりスーパーに買い物に出かけた方は駐車場が満車で向かいの市の駐車場に止めて、中に入ったらものすごい人。レジ待ちの列がとても長かったそうです。地震の日、壁に掛けた時計が落ちてガラスが割れたという人も。帰り道、Mさん宅の石灯籠がアルミの塀に引っかかって塀が大きく歪んでいました。被災地の皆さんには今日の雨が気の毒です。
こんな時に、サッカーの話題は気が引けますが、昨夜のワールドカップの初戦はコロンビアに2:1で勝利。そのサッカーの応援歌についてです。最近、ツィッターで知ったことですが、RADWIMPSの「HINOMARU」という歌の歌詞がとんでもない軍国調?で問題になっているそうです。RADWIMPSと言えば、あの大ヒットした映画「君の名は。」の主題歌を作ったグループ。最近の日中共同製作映画「空海」のテーマも。現在ロシアで開催中のサッカーのワールドカップの日本チームの応援歌(フジテレビ系「2018 FIFA WORLD CUPロシア大会」テーマソング)を作ったところ、その歌詞が何故か戦前を思わせる軍国調とか。ハフィントンポストが詳しく取り上げています:

NEWS
2018年06月08日 19時14分 JST | 更新 2018年06月11日 18時53分 JST
RADWIMPSの新曲「HINOMARU」が波紋 「日出づる国の御名のもとに」これは右傾化なのか?
石戸 諭

・人気ロックバンド「RADWIMPS」が6月6日にリリースした新曲「HINOMARU」の歌詞が波紋を広げている。「この身体に流れゆくは 気高き御国の御霊」「さぁいざ行かん 日出づる国の御名のもとに」といったナショナリズムを高揚させるような言葉が散りばめられているからだ。
曲について、次のように述べた。
・「日本に生まれた人間として、いつかちゃんと歌にしたいと思っていました」
・「世界の中で、日本は自分達の国のことを大にして歌ったりすることが少ない国に感じます」
・「純粋に何の思想的な意味も、右も左もなく、この国のことを歌いたいと思いました」
https://www.huffingtonpost.jp/2018/06/08/radwimps_a_23454012/?utm_hp_ref=jp-homepage

●この歌詞が、ネット上で批判され、6月11日、ボーカルで作詞を担当した野田洋次郎さんが自身のTwitterでコメントを発表:

山崎 雅弘
@mas__yamazaki
RAD野田「HINOMARU」歌詞について謝罪 「軍歌だという意図は1ミリもない」(excite music)https://www.excite.co.jp/News/music/20180611/E1528701941230.html

この歌詞が「軍歌でなく日本の歌」だという弁明は、主観的にはウソではないと思う。あの「海ゆかば」も、1937年の国民精神総動員運動で「国民歌」と位置づけられた。日本の古語のつもりで戦前戦中の「国体ワード」を無自覚に使ってしまうのも、学校できちんと問題点を教えていないのだから仕方ない。自分の生まれた国への愛着を表現したいと思った時、心の隙間にスッと入り込んでくるのが、伝統らしきものをたくさん背中につけた、戦前戦中型の「愛国の価値体系」という怪物。


野田洋次郎さんの英文と日本語で発表された謝罪の内容を少し引用すると:

時代に逆行するのではなく、前進しようと。二度と繰り返してはいけないと。
HINOMARUの歌詞に関して軍歌だという人がいました。そのような意図は書いていた時も書き終わった今も1ミリもありません。


この曲は日本の歌です。この曲は大震災があっても、大津波がきても、台風が襲ってきても、どんなことがあろうと立ち上がって進み続ける日本人の歌です。みんなが一つになれるような歌が作りたかったです。


日本の歌を歌う上で歴史の上に成り立っているこの今の僕ら、その想いものせたかったので古語的な日本語を用いたのも一つの要因かもしれません。
色んな人の意見を聞いていてなるほど、そういう風に戦時中のことと結びつけて考えられる可能性があるかと腑に落ちる部分もありました。


●「軍歌の意図は1ミリもない」けど、出来上がった歌詞は、古色蒼然、戦前の明治憲法下の軍歌を思わせるものだったというところが大問題ですね。今どきの青年(32歳)が今どきの愛国を歌おうとすると、言葉はこんな言葉しか出てこなかったというのが悲しいというか情けない。愛国心から沖縄の普天間基地の撤廃、辺野古移設反対を訴える、愛国心で日本の森や田や畑を福島のようにはしたくないから原発再稼働反対という愛国者がいるはずですね。ところが、こういう言動は今や「反日」と言われる。そこを今どきの若い人たちはどう考えているのか聞きたいところです。

山崎 雅弘
@mas__yamazaki 6月13日

人気ロックバンドが、戦前戦中の国体思想的な「日本愛ソング」を素朴な感情で歌うのを、道義的観点から批判しても仕方ない日本愛を表現するのに適した語彙や概念を、戦後の日本が別のもので上書きしてこなかったのだから自然な感情としてそれを求める若者は、戦前戦中の国体思想に自然と惹かれる


・新しい愛国心の問題について書くと、ジョン・レノンの「イマジン」を引用して「国という概念」を自分は認めないという「個人レベルの好き嫌い表明」を送ってくる人もいるが、社会全体の問題と自分個人の理想論を区別して考えられないなら重症だと思う。自然な感情の発露としての自国愛は否定できない。


●だからと言って、愛国心を否定したり、拒否してはいけないですね。生まれ育った国を愛する気持ちは、郷土愛と同じく自然な感情。それを抑えることは、「愛国」を右(と右より)の人たちの専売特許にしてしまいます。戦後の新しい愛国を、新しい言葉で表現できることが大切ですね。新しい酒は新しい革袋に、と聖書の言葉にもあります。RADWIMPS野田洋次郎さんには、別の歌詞を期待したいです。

山崎 雅弘
@mas__yamazaki13日 6月15日

山崎 雅弘さんが増田聡リツイートしました
これも同感。日本よりも民主主義が成熟した北欧や西欧の国々でも、自国愛は自然な形で社会と共存しているし、時代と共に国境が変わっても、それに適応する柔軟性を持っている。「愛国」という言葉が持つ禍々しさへの過剰な拒絶反応は、自然な自国愛をも全否定する弊害を生む。

増田聡
@smasuda
愛国心よくない」と思うなら「いい愛国」をデザインすればいいんだよね。例えば戦後のドイツとかそうしようと努力してきたわけでしょ。戦後憲法に基づいて戦争しない民主的で自由で外国人に親切な日本がいい、みたいな「いい国」の理念とかもっと歌ってもいいと思うんだよね

●そうなんですよ〜、まさにこういうことが問題なんだと思います:


内田樹さんがリツイート

ryozanpaku
@gnpthnt311  6月16日

#HINOMARU
「国を愛することがどうして悪いの?」ではなくて、『国を愛してるということを言うために、どうして大日本帝国時代を連想させるワードばかりを使うのか?』という疑問だと思うよ。
 
御国」「御霊」「日出る国の御名に」「高鳴る血潮」「千代に」

☆☆☆リテラにこんな記事がありました:lite-ra.com/2018/06/post-4078.html

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