Nさんからの電話と日曜日の合唱祭

5月最後の日曜日は夫が毎週水曜日の夜練習に出かける合唱団も参加する、1年に1度の市の合唱祭でした。我が家は会場のホールから歩いてすぐのところですので、夫は、当日の朝から練習に出かけて、昼前、家に帰って母と3人で食事して、またホールへ。私も1時半ごろには家を出ました。

その合唱祭の前に、月曜日の朝の思いがけない方からの電話について。去年の秋、小学校の同窓会の前に、電話がありました。6月にすい臓がんが見つかり、手術して抗がん剤を使って治療中ということで、先生や皆さんによろしくという言伝でした。そのNさんからの電話でした。明るくて元気そうな声でしたので、「どうしたの?」とストレートに聞いてみました。「ガンが治ってん、わたし」と。「そう、良かったね、おめでとう!」「すい臓で、めったなことでは治らへんのに・・・」「昨日、見てたよ、『白い巨塔』の財前もすい臓がんだったじゃない」「そう、見てたん! そうやねん、なかなか見つからないし・・・」「見つかったときは、だいぶ進行してるそうだし」「そうやねん、昨日も言うてたね。あれと同じ。そやけど、私の場合は手術で開腹した後、麻酔かけてそのまま転移してないか何時間もかけて徹底して調べてくれはってん」「そう、それが良かったのね。財前みたいに慌てて閉めてしまわなかったのね」。

 そういえば、今から36年前、私の胃の3分の2摘出手術でも、主治医のA先生から「開けたついでに周りの臓器みな調べたけど、なんともなかったから」と言われました。外科医は『直接目で見る』とあのドラマでも言ってましたね。その点、内科医は『怪しいと思ったら検査を重ねて…』と里見先生がいってました。

ちょうど「白い巨塔」の第5夜最終回。「灯台下暗し」で、医者で専門でありながら多大なストレスと働きすぎで財前はすい臓の末期がん、というドラマの話でした。Mさんの担当医は若くて優秀。雑談にも応じる人間的魅力も十分な先生で、病院を変わられたので自分も先生について行って別の病院で診てもらっているということでした。

訪問医の先生が母の診察に来られる時間が迫ってきたので、二人で「じゃ、会おうと思えば会えるね。いつか機会を作って会いましょう」と言い合って電話は終わりました。去年、がん治療が一段落した7月に母親を亡くされて、やっとのことで葬儀に出席したというお話も。結婚されている一人娘さんとは離れて暮らしておられるので、独居。奈良に近い大阪で、「一度来て!」「一度行くね」と言いながら、なかなか実現しません。お互い生きているうちに訪ねておかないと、今度こそ。昨日のヨーガ、帰るとき、同じ小学校の同窓仲間のMさんにも電話のことを伝えたら、そう、よかった、電話してみるわ~と喜んでおられました。

↑写真は母の庭に咲いた八重のドクダミ(十薬)と、八重のゼラニウム

さて、日曜日の合唱祭。

第一部の終わりごろに会場に入って空いている前のほうの席に座って聞くことに。31団体が順番にステージに上がり2曲ほど歌って、最後に全員でハレルヤの合同合唱が予定されています。5団体ほど聞いて15分の休憩。その時間に手元にあるプログラムと一緒に渡されたチラシやメープルホールのイベント情報に目をやりました。そこに、グッドニュースを見つけました。

古今東西の昔の名画の上映が中心の「1コインdeシネマ」のほかに「みのおSpecial Cinema」というのがあって、こちらは新作の映画の上映会です。1月に「空飛ぶ自動車」の上映があったとき、アンケートに希望作品を書く欄があったので、見逃した「日日是好日」を書いておきました。6月12日には、樹木希林さんと市原悦子さんの最初での最後の共演作品「あん」が上映され、これはチケット二枚購入済み。

なんと、9月11日には同じく樹木希林さんの「日日是好日」です。文庫本の原作を手に入れてからすぐ読んでお茶の稽古の楽しみが一層深まった気がしていましたが、映画も見られることになりました!!

さて、さて、合唱の後半です。今年も次郎丸智希氏の作曲と伴奏でコールアオという合唱団が万葉集の歌を歌いました。額田王の「あかねさす紫野行き 標野(しめの)行き、野守は見ずや君が袖ふる」をしめやかに歌い上げました。女性13名男性7名ですが、男性パートに一人、とんでもなく美声の若者がいて、この人の声が本当に美しい。この人、一人で持っているし,一人で十分という、合唱ではあってはならない事態ですが、圧倒的でした。

全体に、高齢化していて、声が通らなくなるのは避けられません。その分、若い方の声が飛びぬけて美しく聞こえます。最後の市民合唱団の前に歌ったのは、アサンプション国際中学校高等学校聖歌隊(元被昇天学園)は女生徒5人でしたが、天使の声に聞こえました。

さて、市民合唱団のキリエの合唱が終わると、いよいよ、全合唱団が舞台に上がって、グランドフィナーレのハレルヤです。5年目なのでフルオーケストラ付き。ハレルヤ祝祭管弦楽団と銘打ってアンサンブル・アルモニの弦楽器と青少年吹奏楽団のトランペットとティンパニーが加わって、指揮者が子ども代表、今回は高校生です。

合唱祭の実行委員長の林誠さんから指揮棒のプレゼントがあっていよいよ演奏です。自信なさそうでなよなよしていた高校生、壇上に上がると指揮者然としてしっかり指揮棒をふっています。女声合唱、男声合唱とも、高齢化で声が通らないとか高音が伸びないとか思いながら聞いていたのに、どうして!?というぐらいのが張りのある声と声量で素晴らしい歌声でした。オケが入るとこんなにも違う!!とびっくり。歌っていても気持ちよさそうです。

名演!!でした。高校生指揮者と、管楽器奏者とあと一人に花束が渡されて、合唱祭が終わりました。団員が舞台に上がると、客席がごっそり減るものなのに、今回は8割がた残っていたと林氏も舞台の上から。見ごたえ、聴きごたえ十分でした。

ホールを飛び出して、5時過ぎ我が家に帰って、6時からの食事にそんなに遅れずに準備できました。本当に便利なところに住んでいてラッキーです。ホールが移転すれば、こうはいかないので、今のうちに楽しんでおかなきゃと改めて思いました。