令和に誓う核なき世界 広島きょう原爆の日
中国新聞社 2019/08/06 05:37
被爆地広島は6日、米国による原爆投下から74年の「原爆の日」を迎えた。核兵器を巡る国際情勢が厳しさを増す中、広島市は午前8時から、平和記念公園(中区)で原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を営む。犠牲者を悼み、記憶の継承と核兵器のない世界の実現を誓う。
© 中国新聞社 かがり火に照らされる原爆ドーム(広島市中区)。原爆の日を前にした5日夜、広島県内の有志でつくる「100年後の広島を創ろう委員会」が恒久平和の祈りを込め、炎をともしたいかだを元安川に浮か…
◎京都アニメーションというアニメの制作会社が京都にあることも知らず、また大勢の外国人がアニメを通して日本が好きになったと追悼の言葉を寄せたり、わざわざ火災現場まで訪ねて職員の冥福を祈っている姿を見て、どんな会社でどんな作品を作っていたのか全くわからない私たち夫婦、テレビを見ながら世代間格差を痛切に感じもしました。
作品で描かれた土地や神社を「聖地巡礼」と称して訪ねるのは、テレビ大阪の日曜お昼の番組(テレ東の再放送)「YOUは何しに日本へ」でよく紹介されているので、日本人だけじゃなく、わざわざ遠い海外から来られる人たちがいることは知っていました。
◆ところが、先日「東久留米日記(7月30日))」さんのブログで紹介されたツィッターで知った京都アニメーションの放火事件をめぐる長文の記事『★京アニの惨事を巡る中国人による深い分析』を読んで、やっと京アニの作品が世界で愛されている理由がわかりました。
筆者はこう書いています:「私は今回の事件の詳細について追及したくない。私はこの場を借りて、皆さんに京アニが日本のアニメの過去と未来を背負った会社であることを伝えたいと思っている。我々が失ったのは、京都アニメーションが描き下ろした、日本アニメの過去と未来なのである。」
社長の八田氏が元手塚治虫プロダクション出身というのをテレビでチラッと聞いたのですが、妻である陽子さんが元虫プロの彩色スタッフであり、彼女が起こした会社だということも初めて知りました。筆者が「京都アニメーションとは日本のテレビアニメの歴史そのものなのだ」と書く理由もわかりました。
閑居
@doatease2313
京アニの惨事を巡る中国人による深い分析。原文は中文。中国にも日本のアニメを愛する人がいる。→
◎京都には、精華大学があります。精華大学といえばマンガ科がある大学で、確か前学長は漫画家だったはず。学生時代からの友人mwengeさんは70歳の定年まで精華大学の教授でした。mwengeさんご自身はマンガとは関係がなく専門はアフリカ文学です。10年ほど前のこと、mwengeさんの案内で京都国際マンガミュージアムを訪ねたこともありました。(師走の京都一泊 - 四丁目でCan蛙~日々是好日~)
◆そのmwengeさんが、あの杉田水脈議員を訴えた裁判の京都地裁傍聴記を書いておられます。
◎そもそもの事件については:
杉田氏は2018年以来、「反日学者に研究費を与えるな」という攻撃をインターネットやテレビや自身のツィッターで繰り返し、国会質問でも取り上げてきた。同年3月にはフォロワー(13万人超)に向けて科研費について検索することができるサイト先を示し「誰がどんな研究で幾ら貰ったかすぐわかります。『慰安婦』とか『徴用工』とか『フェミニズム』とか入れて検索もできます」とツィート。こうした扇動により、ネット上では一部の研究者に対する誹謗、中傷が起きた。
4月には、阪大の牟田氏に対して「学問の自由は尊重します。が、捏造はダメです。慰安婦問題は女性の人権ではありません。国益に反する研究は自費でお願いたします。我々の税金を反日活動に使われることは納得がいかない」と書くなど、公正に審査された研究に対しての根拠のない批判を繰り返し、相当数の拡散がされています。(赤旗6/4)
引用元:
杉田水脈議員を訴えた裁判での意見陳述(大阪大牟田教授)と「NHK/本日の安倍総理」(マガジン9) - 四丁目でCan蛙~日々是好日~
◆「東久留米日記」さんの8月5日のブログで紹介されているのが、杉田水脈議員が反日研究に税金を使わせるなと攻撃した大阪大学の牟田教授の「平和の少女像」についての一文です。
◎中止が決まる前のことでしたが、松井大阪市長が、少女像は日本の男性をけだもの扱いしている…と発言したのを知り、かわいい少女がただ黙って椅子に座っているだけの像に対してとんでもない言いがかりだと思いましたが、その辺りのことを、なるほどの説得力で書いておられますので一部引用です:
言論封殺の国、女性の人権が守られない国---「表現の不自由展」中止に追い込んだもの 牟田和恵
権力が扇動する攻撃
公人として彼らには、このようにテロ予告まで招いて展示が中止に追い込まれた責任をどう考えているのか釈明をする責任がある。ところが今のところ、河村市長は企画者を責める発言すらしている。テロと戦い、卑怯な攻撃を許さないのが民主主義国家の政治家の責任ではないのか。これでは今回の事態は、権力者による表現抑圧によりテロが扇動されたと言わざるを得ず、日本は言論封殺する国への道を突き進んでいるのかと戦慄する。
少女像がなぜ「日本人の心をふみにじる」のか:被害者を責める
・河村市長は中止を求めるにあたって、少女像が「どう考えても日本人の心を踏みにじるものだ」と発言した。河村市長に少女像展示について電話したという大阪市の松井市長は「我々の先祖がけだもの的に取り扱われるような展示物」と報道陣に語っている。
・驚きの発言ではあるが、彼らのこうした態度は、私たちになじみのものではないか。気づく人もいるに違いないが、これはまさに性暴力において「被害者を責める」やり口だ。彼らは、「慰安婦」問題に限らず、女性が性的な被害を訴えること、告発することそのものに対して、生意気だと怒りを感じ、「名誉を傷つけられた」と考えているのではないか。そしてそれは残念ながら、河村・松井市長など今回の登場人物に限らない。
・今回の少女像への逆切れ攻撃は、韓国・「慰安婦」問題に対してのものだが、性暴力被害者をめぐる現状をみれば、いつ私たちが「日本の男の名誉を傷つけた」と攻撃の矛先になるかわからない。「慰安婦」問題が解決できないのは、性暴力を許容し加害を正当化しようとする日本の「文化」と地続きだ。賭けられているのは女性の人権なのだ。
◆上野千鶴子さんが代表を務めるWAN(ウィメンズアクションネットワーク)が「表現の不自由展・その後」の中止について反対の署名呼びかけています(mwengeさんも牟田阪大教授もメンバーです)
★★★署名できます
◆最後に、愛知県知事、5日の記者会見。京アニと関連付けた卑劣な脅迫についても語っておられますが、公人こそ「表現の自由」を守ることの大切さを訴える内容に救われる思いです:
内田樹 Retweeted
異邦人 @Beriozka1917 8月5日
これは本当に全文を読んだ方がいい。どこを切り取っても見事な模範解答。逃げも予防線も一切なく、ただひたすら「表現の自由」を擁護する公人たるに相応しいコメント。
「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」の中止をめぐって、愛知県の大村秀章知事が5日午前、記者会見を開き、名古屋市の河村市長からの展示中止求める発言や文書、愛知維新の会からの文書について厳しく批判した。
大村知事は展示中止の判断に至る経緯について「電話の回線も増やして職員も増やし、本庁にも部屋を増やしてやってきたが、大変残念なことに脅迫、恫喝、そしてまた電話対応した職員の名前を聞き出してネットに掲載し誹謗中傷するなど、心無い動きがたくさんあった。なんといっても"ガソリン携行缶を持ってお邪魔しますね"というテロ予告のようなものもあった。芸術祭を安心・安全に、残る日程を多くの方に楽しんでいただくという観点から、津田大介監督とも相談し、3日までということにさせていただいた」と説明。「テロに屈したのではないか」との記者からの質問には、「手荷物検査まで含めて全部やれということか。それはそういうこと言う方もおられるかもしれないが、実務として本当にできるのか。自ずと限界がある」と反論した。
さらに「今朝も5時前に一通のメールが県に届いた。愛知県芸術文化センターへ宛て、"私の部下青葉真司が実行した京都アニメーションへの放火はお楽しみいただけましたでしょうか"として、日時も特定し、ガソリンを散布すると書いてある。何を言っているのか支離滅裂ではあるが、卑劣で言語道断だ。見るに耐えない。直ちに警察に連絡した。本当かどうかはわからないが、住所も名前も書いてあったので、きっちりと対応をしていただきたい」と明かした。
その上で、展示中止を求めてきた河村市長の一連の発言について「憲法違反の疑いが極めて濃厚ではないか。憲法21条には、"集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。"、"検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。"と書いてある。最近の論調として、税金でやるならこういうことをやっちゃいけないんだ、自ずと範囲が限られるんだと、報道等でもそうことを言っておられるコメンテーターの方がいるが、ちょっと待てよと、違和感を覚える。全く真逆ではないか。公権力を持ったところであるからこそ、表現の自由は保障されなければならないと思う。というか、そうじゃないですか?税金でやるからこそ、憲法21条はきっちり守られなければならない。河村さんは胸を張ってカメラの前で発言しているが、いち私人が言うのとは違う。まさに公権力を行使される方が、"この内容は良い、悪い"と言うのは、憲法21条のいう検閲と取られてもしかたがない。そのことは自覚されたほうが良かったのではないか。裁判されたら直ちに負けると思う」と厳しく批判。
また、愛知維新の会からの文書にも触れ「維新の会は表現の自由を認めない方々なのか。憲法21条を全く理解していないと思わざるをえない。戦後民主主義の原点ではないか」と訴えた。