「東久留米日記」さんのブログで手塚治虫さんの素晴らしい言葉が紹介されていました。貞本義行という漫画家?があいちトリエンナーレで撤去された「平和の少女像」に対して「キッタネー少女像」「低俗なウンザリ」と書いたツィッターを巡っていろいろ取り上げておられます。
香山リカ @rkayama
貞本氏って57歳なんだ。ガソリンファックスで逮捕おじさんは59歳。私と同世代やんけ。手塚治虫や藤子不二雄や水木しげるで育ってきてどうして排外主義になるの?デビルマン読まなかったの?マンガの読みすぎじゃなく足りなかったからこうなったんじゃない?もう一度一から読み直してほしい。 2019年8月10日 Twitter
ShuN @ShuN_antihate
オタクってこれですよ。本当に頭が悪い。「戦争や災害の犠牲者をからかうようなこと」をやってるのが少女像の批判者だろうが!貞本義行のツイートを読んでみろ!
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あおすな@C96①一般②日進その後はサーカス
@aosuna0522 · Aug 6
どっかのトリエンナーレが炎上してますがここで漫画の神様手塚治虫神のお言葉をお聞きください
(拾い画で申し訳ない)
◎素晴らしい言葉ですので書き出してみます。漫画家だけでなくて政治家の皆さん(特に大阪の維新の会)に読んでほしい言葉です:
漫画を描くうえで、これだけは絶対守らねばならないことがある。それは、基本的人権だ。どんなに痛烈な、どぎつい問題を漫画で訴えてもいいのだが、基本的人権だけは、断じて茶化してはならない。
一、戦争や災害の犠牲者をからかうようなこと。
一、特定の職業を見くだすようなこと。
一、民族や、国民、そして大衆をばかにするようなこと。
この三つだけは、どんな場合にどんな漫画を描こうと、必ず守ってもらいたい。
これは、プロとアマチュアと、初めて漫画を描く人とを問わずである。
これをおかすような漫画がもしあったときは、描き手側からも、読者からも、注意しあうようにしたいものです。
◎関西フィルハーモニーオーケストラの首席指揮者の藤岡幸夫氏が朝日新聞の木曜夕刊「おおきに!関西」という頁に「音楽はお好きですか?」というコラムを持っておられます。先週木曜は先月に続いてベートーヴェンでした。ベートーヴェンの1812年についてのお話です。ベートーヴェンの死後、熱烈なラブレターが発見され、あて名が「不滅の恋人」とあるだけ。これは何年か前そのまま映画のタイトルにもなって、ゲイリー・オールドマンがベートーヴェンを演じていて、私も映画館で見ました。
現在では、「不滅の恋人」はアントーニア・ブレンターノで間違いないとされているそうです。「ベートーヴェンはアントーニアと1812年に忘れられない夏を過ごし、その思い出は交響曲8番に込められました。2人にとって特別な旋律が織り込められ、晩年にベートーヴェンは自身の一番好きな交響曲を問われて、『8番』と即答」している」とか。これは初耳。8番を聞いてみたくなりました。
「ところが、この夏の終わりに突然の破局」その後、パトロンを失ったり、不運、不幸が続き、スランプから抜け出すのに約7年かかります。
「踊り狂ったような喜びにあふれた交響曲7番は思い出の夏の前年,1811年にアントーニアに出会ったときに作曲されました」。そうか~あの爆発的な推進力のイケイケどんどんの7番は幸福の絶頂期の曲なんですね。これはもう一度7番、8番を聞き直さないと。
偶然ですが、9月にはアンサンブル金沢でベートヴェンの7番の交響曲、10月には及川浩二のピアノリサイタルでベートーヴェンを聴くことになっています。タイトル名がついているピアノ曲ばかり、「悲愴、月光、ワルトシュタイン、エリーゼのために、テンペスト、熱情」です。来年2020年はベートーヴェン生誕250周年だそうです。
ところで、ベートーヴェンと手塚治虫といえば・・・5年ほど前のこと、私は偶然に手塚治虫さんの絶筆「ルードウィヒ・B」(1989年潮出版社)を生涯学習センターの古本市で100円で手に入れました。未完なのが本当に惜しい。表紙カバーの表側の裏にはウィーンでモーツァルトと会った場面でベートーヴェンが言い放つ言葉が書かれています:
音楽は人間みんなのものです。貴族だけのものじゃありません
音楽家も貴族の召使いじゃありません
ぼくは……一生のうちにきっと ぼくの音楽の前に
貴族をひざまずかせてみせます!!
そして裏表紙のカバーの裏には:
ぼくは耳がどうせ いつか聴こえなくなる
その前にこの音を 全部記憶しておかなくちゃならんのだ!
この鳥の声 小川のせせらぎ 風の音 木の葉のそよめき……
みんな楽譜に表せないだろうか……
生まれ故郷のボンからウィーンへ、時代はフランス革命で王政から共和制への移行期、ベートーベンはシラーの詩を好んで読み、作品の中にも取り込みます。手塚さんは漫画で伝記を描いているのでは勿論なく、最初から複雑巧妙な仕掛けがあります。架空の人物、貴族のフランツを絡ませます。フランツはルードウィヒという名前の孔雀の呪いを受けて誕生。そのことで母を失い、父の憎しみを受け、声を出すなと命じられ恨むならルードウィヒをと言われて育つ。成長したフランツが8歳年少のルードウィヒという名の幼いベートーヴェンと出会い、耳を殴りつける。萩尾望都さんが解説を書いています:
ルードウィヒは、この時のけががもとで、次第に耳が聞こえなくなっていく。一方に音を失っていくルードウィヒがいて、一方に声を取り戻すべきフランツがいる。フランツは、ベートヴェンがルードウィヒという名を持つがゆえに”生涯の敵”と決める。と同時に、”もう他人ではない”とも言う。
未完なのが本当に惜しまれるストーリーですが、 絵も意欲的。
ピアノ曲や音楽を漫画で表現した場面があります。
これはバッハの平均律クラヴィア曲集を描いたもの。
当時の宮廷で演奏するシーンと、最後(絶筆)のシーンです。