昨日の蛙ブログのコメント欄で教えていただいた、朝日新聞13日朝刊の13面、オピニオン紙面、3分の2は上段「『大嘗祭 改めて考える』耕論」です。残り3分の1の下段は原真人編集委員 による「多事奏論」。この記事が、韓国映画『国家が破産する日』と政治スローガン「反緊縮」を絡めて論じています。
◎まず、今日は「皇位継承に伴う皇室行事『大嘗祭』の中核行事『大嘗宮の儀』」が行われます。昨年だったか、秋篠宮が「宗教行事は身の丈に合った形で」と言われましたが、どうしてこれが議論されなかったのか。当事者から出た訴えを無視して大掛かりにしていく今の政府のやり方は賛成できません。
◎さて、下段の「多事奏論」のタイトルは、「反緊縮の先 国家破産の日は突然に」です。コメント欄にいただいたSPYBOYさんのコメントは、「韓国の話は他人事じゃなくて、世界1の借金国日本で、これ以上のバブルを引き起こしかねないMMTなんかやったら将来大変なことになるんじゃないか、というものです。珍しく朝日と意見が一致したなーと思いました(笑)」。
いつもなら経済苦手で敬遠してしまうところですが、今回は、SPYBOYさんの簡潔な内容紹介があって、私にもわかりやすい内容でした。
まず、「反緊縮」=「MMT」のところ、「MMTとは?」を日経で:
MMTとは
2019/4/13付 日本経済新聞 朝刊
現代貨幣理論(Modern Monetary Theory)の頭文字をとった経済理論。通貨発行権を持つ国家は債務返済に充てる貨幣を自在に創出できるため、「財政赤字で国は破綻しない」と説く。主要国は巨額の債務を抱えるがインフラや医療保険などに財政資金をさらに投じるべきとの考えにつながる。
◎前回の選挙で山本太郎さんが訴えていたのが、これでした。それに対して、原氏の論旨をたどると:
・格差縮小や貧困対策で政府財政が果たすべき役割はまだまだある。ただ「そのためならいくら財政赤字を出しても構わない」という主張には賛同できない。歳出を増やすなら、それに見合うだけの歳入を確保する正攻法で臨むべきだ。
・実際、「反緊縮」を掲げるほど、この半世紀、日本で緊縮財政が実施されたことはない。むしろ財政の実力以上に大盤振る舞いを続けてきた。
・国際通貨基金(IMF)のデータでは、日本の政府債務は国内総生産(GDP)の237%で、財政健全度ランキングでも最下位の188位。また、政府の金融資産を除いた純債務でも、日本は世界最下位である。日本は「金持ち」ではない。
・反緊縮派は、それでも、「長期金利は跳ね上がらず、ひどいインフレにもならない、どこに問題があるのか」と反論するかもしれないーーーそれには、こう答えたい。その日は突然やってくる。たとえ危機が近づいても政府は国民に警告などしてくれない。
・そのいい教材が、韓国映画『国家が破産する日』である。
1997年に襲った通貨危機(韓国での通称はIMF危機)が題材。
主人公は韓国銀行の女性スタッフ。迫りくる通貨危機が避けられないと気づき、政府中枢に「早く国民に危機到来を警告すべきだ」と訴える。だが、上層部は問題の隠ぺいと先送りを決める。そして実体のない好景気に沸いていた世の中は、突然の危機勃発でパニックに陥る。
「多くの韓国人も周囲で失業や倒産を経験し、今も心の傷が残っている。だからこの映画をリアルに感じたのでしょう」。この映画は、昨年、韓国で375万人を動員するヒットに。
◎そこで、結論です。
・日本では最近、財政赤字をいくら積み上げてもへっちゃらだというMMT(現代貨幣理論)支持者が増えつつある。彼らは、自国通貨を発行できる国家が破産し滅びることはあり得ないと主張する。
・その通りかもしれない。政府は戦争に負けても、財政が破綻しても、確かに存続してきた。
・ただ、そのとき、政府は一方で巨額の借金を国民に押しつてけている。終戦時には超インフレや預金封鎖、思い財産税などで国民の財産を収奪し、国家財政を立て直した。この現代にそこまでひどい事態は考えにくいだろうか。それでも永久に放漫財政のとがを受けないことはないだろう。
・もし、今財政が急に追い込まれたら、介護や医療の質を著しく落とす、年金年齢を大幅に引き上げる、消費税を30%にする、といった対応は十分ありうる。それらも一種の財政破綻の帰結ではないか。
しかも、それは遠い将来の話ではない。
◎「反緊縮」で財政出動させて格差是正、貧困対策というのも、結局、今だけ、今の問題さえ解決できれば後の世代はどうなろうと・・・という身勝手な考えなのではないかしら、と思えてきました。